阪急阪神ホテルズのデジタル化を「PLAID ALPHA」が伴走支援──KARTEシリーズで顧客コミュニケーション基盤を変革

株式会社阪急阪神ホテルズはそのDXの一環として顧客データを統合し、各顧客接点を横断して一貫性のあるコミュニケーションの実現を目指していました。そこで同社はKARTEシリーズのプロダクト群を一気に導入。CX変革を加速するプロフェッショナルサービス「PLAID ALPHA」が伴走支援を行い、顧客コミュニケーション基盤の変革に取り組んでいます。今回はKARTEシリーズ導入の背景とPLAID ALPHAの伴走支援の概要を伺いました。

運営する客室の累計は1万室を超え、会員数も75万人を超える株式会社阪急阪神ホテルズは、ホテルサービスのDXを進める一環として、さまざまな顧客データを統合し、各接点を横断して一貫性のあるコミュニケーションの実現を目指していました。

そのために同社は、KARTEシリーズの「KARTE for App」「KARTE Datahub」「KARTE Message」を一気に導入。CX変革を加速するプロフェッショナルサービス「PLAID ALPHA」が伴走支援を行い、顧客コミュニケーション基盤の変革に取り組んでいます。

今回、阪急阪神ホテルズの経営戦略本部 営業企画部 営業企画部長 松宮弘林さん、メンバーズクラブ 平島圭さん、マーケティング チーフ 光田弦生さんの3名に、どのような背景からKARTEシリーズの導入を決定し、PLAID ALPHAがどのように伴走支援したのかを伺いました。

伝統に裏付けされた変革を進め、顧客の想いに寄り添ってきた阪急阪神ホテルズ

まず、貴社が目指していることについて教えてください。

松宮:私たちは、「心豊かな社会の実現に向けて」という経営理念を掲げています。そのために、常に変革に取り組み、「安心・快適」そして「夢・感動」をお届けすることで、心豊かな社会の実現に貢献することを目指しています。

1926年にオープンした宝塚ホテルや1938年にオープンした第一ホテル(現 第一ホテル東京)などの伝統的なホテルブランドを、一世紀近く運営してきました。東京オリンピックが開催された1964年には大阪新阪急ホテルを開業するなど、時代に適応したホテルを経営し、事業を拡大しています。

近年では、「もっとよい眠りを」という思いをコンセプトにした「レム」をはじめ機能性を高めた新たなホテルブランドの展開も手掛けています。伝統に裏打ちされた変革を進め、時代ごとに変化するお客様のニーズや想いに寄り添ったサービスを展開し、感動を提供する。それが私たちの目標です。

貴社が目指していることに向けて、みなさんの部署ではどのようなことに取り組んでいるのでしょうか。

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株式会社阪急阪神ホテルズ 経営戦略本部 営業企画部 営業企画部長 松宮弘林さん

松宮:私たちは経営戦略本部の営業企画部でマーケティングの領域を担っています。職域としては事業環境分析やマーケティング戦略全般、実務としてはCRMやWebサイト運営、SNSのマーケティングなどの領域を担当しています。

どうすればお客様が私たちのサービスのリピーターになってくださるのか、そのためにはどの接点で、どういった情報をお渡しできるといいのか。こうしたことを考えながら、お客様とのリレーションを構築すると同時に、現場スタッフを後方から支援するのが私たちの役割です。

部署におけるみなさんの役割や経歴についても教えてください。

松宮:私は同部署の責任者を務めています。30年近く前に新卒で入社して、最初は現場のレストランやフロントでの業務を2年ほど経験し、その後はバックオフィス、総務、人事、経営企画などのキャリアを経て、現職になりました。

平島:私はマーケティングとメンバーズクラブの運営を兼務しています。メンバーズクラブでは会員組織の管理、マーケティング領域ではCRMの業務などを担当しています。職歴としては、入社後にまず現場業務を経験し、次に営業企画を十数年担当、その後システム関係を担い、現在の担当になりました。

光田:私はマーケティングの一環として、宿泊とレストランの業務に従事するスタッフを支えるシステムの導入やデータの活用などを担当しています。入社後はまず現場業務を担当し、新しいホテルの開業準備などを経て、親会社の阪急阪神ホールディングスに出向しました。そこでSNSのマーケティングやDX関係でアプリ開発などを経験し、今年の4月から復職して現職を担当しています。

リアル接点でのサービス品質をいかにデジタルでも実現するか

マーケティング活動を進める上での課題はどのようなものだったのでしょうか。

松宮:現在、阪急阪神第一ホテルグループは直営で17軒、フランチャイズで23軒、合計40軒のホテルを運営してます。客室の累計は1万室を超えています。阪急阪神第一ホテルグループの「メンバーズクラブ」という会員サービスを提供しており、こちらの会員数は75万人以上となっています。

メンバーズクラブにご入会のお客様向けのアプリも提供しています。お客様のデモグラフィックデータや行動データ、購買データといったデータを統合して解析し、アプリを通じてお客様に対してどういった情報や体験をご提供するかが大きな課題となっています。

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株式会社阪急阪神ホテルズ メンバーズクラブ 平島圭さん

平島:私たちが運営するホテルやレストランといったお客様とのリアル接点でのサービスにおける親しみやすさやアットホームさをご評価いただいており、これが一番の強みとなっています。この価値を生み出す現場をどうしたらサポートしていけるのかは長年の課題でした。

以前は、お客様とコミュニケーションをするとしても、メールの送付だけだったり、単発のDM送付だったりと、点の施策となっていました。アプリを導入して以降は、お客様とのコミュニケーションを線で捉え、実施していけるように模索しています。

光田:理想は、リアルとデジタルを組み合わせて、お客様に感動を与えられるような体験を提供すること。そのために、私たちの強みであるリアルでの顧客体験をデジタルでも実現できるよう、お客様とのコミュニケーションにおいてきちんとPDCAサイクルを回していくことが重要だと考えています。

松宮:あとは、お客様のデータを共通化することでナレッジを現場に浸透させ、リアル接点の価値をさらに高めることも目指しています。一つひとつの現場で、スタッフがお客様とコミュニケーションするなかで得られている知見を、共有するのは非常に困難です。お客様のデータを統合し可視化していくことで、現場スタッフがお客様像を捉え、適切なアクションを見定めるためのヒントを提供していきたいと考えています。

各チャネルで顧客に適切なメッセージを届けるために欠かせない顧客基盤の構築

目指す状態と現状には、どのようなギャップが存在していたのでしょうか?

松宮:デジタルの各チャネルにおいて課題がありました。私たちが活用したいと考えていたチャネルは、主にメール、アプリ、Web接客の3つ。それぞれの接点において、お客様に対してメッセージを適切かつ効率的に発信できていない状態でした。

メールは全ての会員の方に同じような内容を送付するにとどまっていたんです。本来は、たとえば地域やご利用経験のあるホテルブランドなど、お客様の情報に合わせてセグメントを設定してメールをお送りできるようにしていく必要がありました。機能的にセグメント設定ができないわけではなかったのですが、運用に手間がかかる状態となっていたのです。

ほかにも、アプリから自分たちで柔軟にメッセージを発信するのは難しい状況となっており、Web接客は会員以外のお客様にメッセージを伝えられるチャネルとして必要性が高まっていたのですが、導入できていない状況でした。

それぞれのチャネルの最適化や効率化を行いつつ、トータルでお客様に向けたコミュニケーションを実施できるように変革していく必要がありました。

そのギャップを解消していくために、どのようなことが必要だったのでしょうか。

松宮:お客様に関するさまざまなデータを統合して、CRMの構築に取り組んでいかなければなりませんでした。CRMを作らなくてはという課題感は社内でもずっと存在していたのですが、なかなかうまく形にできない状態が続いていたのです。

当社が属する阪急阪神ホールディングスグループ全体でお客様の共通ID化を進めていく動きなど、いくつかのタイミングが重なり、改めてCRM構築に取り組むことになりました。そこで、体制を含めてCRMを再構築していくなかで、KARTEシリーズの導入も進めていきました。

顧客とのコミュニケーション基盤の変革に向けてKARTEシリーズを導入

KARTEを認知したきっかけについて教えてください。

松宮:ホテルやレストランの予約エンジンの改修、メンバーズクラブのアプリ開発などを絡めて社内でDXプロジェクトと呼び、親会社と共同で進めていました。このプロジェクトに関する会議の中で、KARTEを知っている担当者がいたのが知ったきっかけです。

KARTEの導入を決めるまでの流れはどのようなものだったのでしょうか。

松宮:CRMやMAなどのプロダクトは、日進月歩で変化するという印象を強く持っていたこともあり、最新の状況はどうなっているのかを国内外含めて幅広く見たいと考えていました。また、この領域には、BtoBをメインとしてるものも多いですが、私たちのサービスはBtoCですので、そこにフィットするプロダクトを探す必要があったのです。そのため、最初は幅広く候補を出し、最終的に8つほどの候補の中から徐々に絞り込んでいきました。

選定の基準となったのはどのような点でしたか?

松宮:ホテルにおける活用事例があるかは重要な基準でした。ただ、まだ国内ではほとんど事例が存在しておらず、この基準では絞り込みができませんでした。次に、当社のようなデジタルに明るくないメンバーが多い体制でも活用しやすいかどうかをチェックしていきました。

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株式会社阪急阪神ホテルズ マーケティング チーフ 光田弦生さん

光田:MAの領域では海外製のプロダクトも多いなかで、KARTEは国内産のプロダクトであることも選ぶ理由となりました。当社にはデジタルに強くないメンバーが多く、海外のプロダクトに慣れてもらうのはハードルが高いためです。

また、直感的に使いやすいUIであることや、テンプレートなどが豊富であることは大切なポイントでしたね。KARTEは当社が必要としている機能を備えていたことに加えて、プレイドの担当者の方からも当社の要望を汲み取った上でのご提案があったこともポイントになりました。

松宮:MAやCRMの導入は、先ほどもお話ししたようなDXプロジェクトの一環であるアプリの開発や機能拡充、予約エンジンの刷新といった動きとも連携していく必要がありました。そのためには、デジタル領域を多面的にコーディネートできるプロダクトであることも重要です。

すでにデジタル化が遅れていた私たちが、単一機能のプロダクトを導入したとしても、大きな変革はできないのではないかという懸念もありました。であれば、このタイミングで必要なプロダクトをまとめてオール・インで導入したほうがいいのではないかと考え、KARTEシリーズの導入を決めました。

KARTEであれば、顧客データの統合から各チャネルにおけるお客様とのコミュニケーションの最適化まで一気通貫で実現できることに加えて、ツールの統合による運用コストの削減も期待できます。

平島:オール・インでの導入であることを考慮すると、値段的にもリーズナブルだと感じました。他のプロダクトのプランでは、カスタマーサクセスの対応が別料金ということも珍しくありません。

その点、KARTEは一定程度の伴走支援は料金に含まれていました。デジタルのリテラシーにまだ課題がある私たちにとって、導入後も頻繁に相談するであろうことは想定されていたので、柔軟に相談できる仕組みであることも安心材料になりました。

ホテル業界特有の課題も含め、PLAID ALPHAが伴走支援

実際の導入プロセスはどのように進んでいったのでしょうか?

松宮:ご提案から導入にかけて、シームレスかつ手厚くサポートいただきました。私たちが実現しようとしているのは複雑なことだという認識はしていたので、特定の機能をただ使っていればいいわけではありませんでした。

KARTEを使いこなすにあたって、つまづくことが少なくなるよう、事前にテンプレートに関する情報やFAQなど必要な知識も教えてもらって、丁寧に導入プロセスを進めていくことができました。

こうした私たちからご相談に対して丁寧にやりとりしてもらっただけでなく、導入前からレスポンスもスピーディでした。KARTEの導入後も手厚くサポートしてもらえたら非常に助かると考えて、プロフェッショナルサービスによる伴走支援もお願いすることにしました。

PLAID ALPHAの伴走支援はどのようにスタートしましたか?

松宮:最初に私たちからご相談した内容は、すでに導入が進行していたシステムとのインテグレーションでした。CRMとCDPのなかに、KARTEをどのように位置付けるのかの計画立案と、プロジェクト進行をサポートいただきました。

あわせて、メール、Web、アプリの各チャネルに、KARTEシリーズのプロダクトを導入するための支援もお願いしました。各チャネルでどのような顧客体験を提供するか、施策を打つべきかといった初期施策のアイデア出しにも参加してくださり、私たちだけでは不足しがちな視点などを補っていただきました。

PLAID ALPHAのサポートがあって助かった、というポイントはなにかありましたか?

松宮:ホテルというサービスでは、お客様が予約時にいくつかのドメインを移動しながら行動する傾向があります。予約システムと自社サイトでドメインが分かれているだけでなく、自社サイト内でもドメインが分かれていることも珍しくありません。

当社もドメインが分かれている状態だったため、どのようにドメインをまたいでお客様のデータを収集可能にするかという技術的なハードルがありました。この課題を自分たちで乗り越えようとしたら大変だったと思いますが、技術的な対応方法をアドバイスいただいたことで無事に進めていけました。

KARTEの導入が進んできて、現状の手応えはいかがでしょうか?

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平島:まずは、すでに動かしている施策が多かったメールを優先してKARTE Messageの導入を進め、PDCAを回し始めています。次はアプリへのKARTE for Appの導入を進めます。Webサイトへの導入は予約システムの改修と合わせて進めるため、その次に対応予定です。

KARTE Messageの導入当初はわからないこともあり、慣れるまで少し時間はかかりました。ただ、慣れてしまった後はいろいろと活用イメージも湧いてきているので、今後試していきたいと考えています。課題が発生したときや、相談があるときはすぐに対応してもらえているので、期待していた通りにサポートを得られています。

松宮:プレイドの方からは難しいことは難しいと、正直に言ってもらえるので、私たちもやりたいことを遠慮なく伝えるようにしています。その上で、どの相談にも素早くレスポンスを返してもらえているので、非常に助かっています。

リアルとデジタルを融合し、顧客のニーズを汲み取ったサービスの提供を目指して

今後、KARTEシリーズを活用して実施したいと考えていることや展望について教えてください。

平島:各チャネルへのKARTEシリーズの導入は進んでいますが、私たちはまだまだお客様像を捉えきれていません。お客様像を明確にするために、お客様のデータを複合的に活用し、ブラッシュアップしていく必要があります。

そのためにも、KARTE Datahubの導入を進めて、手動で実施しているデータのバックアップを自動化する、各種データの連携をよりスムーズにするなど、データに関連するシステムの整備をしっかりと進めていきます。

光田:データの基盤が整えば、ようやくKARTEを用いた施策の改善サイクルをきちんと回していけるようになると考えています。直近は、システム周りの構築と並行して、KARTEを用いた施策のPDCAを回していくことになると思います。

各施策から得られた結果を現場にフィードバックしてサービスの改善に役立ててもらう。サービスが改善されることでお客様に喜んでいただく。お客様に喜んでいただくことで会社にとっても利益が生まれる。そんな良いサイクルを作り出していきたいですね。

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今後、サービスとして目指していきたいことを教えてください。

松宮:私たちが取り組んでいるホテルDXが進んだ先、デジタルを中心にどのような世界観でホテルのサービスを提供すべきかも考えていかなければなりません。

デジタルの強みを活かし、リアルでのサービスとどのように融合させるのか。お客様のニーズをしっかりと把握しながら、期待にお応えしていける体制を目指していきます。

国内のホテルでデジタルをうまく活用している事例はまだ多くありません。プレイドさんと一緒に、ホテルにおけるデジタル活用の事例をつくりあげていきたいですね。

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