データに基づいたコミュニケーションを「サイト外」でも実現する。KARTE Message導入によりレンティオ社内に起きたポジティブな変化
レンタル・サブスクサービスである「レンティオ」では、メールやアプリプッシュなど「サイト外」でのコミュニケーション施策の実行をサポートするKARTE Messageを導入していただいています。KARTEシリーズのプロダクトを組み合わせて実行しているコミュニケーション施策の裏側を伺いました。
家電製品を中心としたレンタル・サブスクサービスである「レンティオ」のグロースチームが「小規模な体制のまま、プロダクトのグロースを実現するために」KARTEを導入したのは2021年のこと。
導入から2年が経過した2023年に実施したインタビューでは、同チームの関根光翼さんと高橋瑞生さんに、KARTE導入の背景と活用方法をうかがいました。
その後、同チームはメールやアプリプッシュなど「サイト外」でのコミュニケーション施策の実行をサポートするKARTE Messageを導入。今回、グロースチームのお二人に、KARTE DatahubやKARTE Liveなど、導入済みのKARTEシリーズのプロダクトと組み合わせて実行している、さまざまな施策の裏側を伺います。
サイト内で実現した理想のコミュニケーションを、「サイト外」でも実現する
まずは、レンティオのサービス内容から教えてください。
関根:レンティオは、家電を中心としたサブスク・レンタルサービスです。短期間のレンタルをご希望されるお客様向けの「ワンタイムプラン」と、長期間のレンタルを前提とした「月額制プラン」を提供しています。
お二方はどのような業務をご担当されているのでしょうか。
関根:私と高橋はともにグロースチームに所属しており、私は主にデータ分析を、高橋はデザインとマーケティングを担当しています。
グロースチームの役割やミッションはどのようなものなのですか?
高橋:端的に言えば「顧客体験を向上させ、プロダクトを成長させること」ですが、見ている指標はかなり多岐にわたります。レンティオでは注文時にお客様がレンタル期間を柔軟に選択でき、その期間の延長も可能です。商品のラインナップも幅広いので、一般的なECサイトに比べると、考慮すべき情報が多いのです。
お客様の属性はもちろんのこと、どのような商品をレンタルしたことがあるか、現在どのような商品をレンタルしているのか、あるいはレンタル期間はいつまでで、現在はどれくらい経過しているかなど、見るべきデータが幅広い。
そのため、これまでも「どのような目標を立てるべきか」についても試行錯誤してきました。UXを磨き込むうえでは、とにかくたくさんの施策を実行し、少しでも多くのお客様からフィードバックをいただくことがポイントになっていました。
しかし、グロースチームは4人体制の小さなチームなので、実行・分析できる施策の数には限界があったんです。そこで2021年にKARTEを導入し、少人数でもたくさんの施策の実行と分析を進められる体制を整えてきました。
急速な事業成長を支えるレンティオの小規模グロースチーム。成長サイクル確立におけるKARTE活用
2023年に実施したインタビューにおいて、KARTEやKARTE Datahubを導入したことによって、ユーザーの行動データに基づいたコミュニケーション施策が実行できるようになったことを伺いました。さらにこのたび、KARTE Messageを導入いただいた背景を教えてください。
高橋:KARTEを導入してから1年半ほどで、お客様ごとにレコメンドを適切に出し分けるなど、パーソナライズした施策を実行するための基盤が整いました。しかし、それはあくまでもサイト上に限定した話であって、サイトの「外」ではそのようなコミュニケーションが取れていない状態でした。サイト上で実現したコミュニケーションを、メールでも実現したいと考え、KARTE Messageの導入を決定しました。
レンティオ株式会社 グロースチーム 高橋 瑞生氏
以前はメールでどのようなコミュニケーションを実施していたのでしょうか?
関根:メールという手段に関して言えば、週2回、特定の曜日と時間に、特定のフォーマットで書かれたメールマガジンを全てのお客様を対象に配信しているのみでした。もちろん、そのメールマガジンも重要なコミュニケーション手段の一つではあるのですが、よりパーソナライズした内容のメールを送りたいと考えていたんです。
高橋:しかし、メールマガジンの配信に使っているツールには、私たちが理想とするパーソナライズを実現するための機能が備わっていませんでした。より最適なツールを探し始めたタイミングでプレイドのカスタマーサクセスのご担当者から、KARTE Messageをおすすめしていただいたんです。何回かお話を伺っているうちに「どのようなことができるのか」の理解を深め、導入を決めました。
理解が深まったというのはどのような部分についてだったのでしょうか?
関根:KARTE MessageはKARTE内外のデータを統合するKARTE Datahubと連携し、KARTEのセグメントをメッセージ送信に活用できるという部分です。
サイト上では、お客様の属性や利用状況、各製品の在庫量などのデータを組み合わせてコミュニケーション施策を設計しており、そのままの流れでサイト外のコミュニケーションでもパーソナライズが実現できると理解できたので、それなら効果が出るのではないだろうかと。
KARTE Liveを活用し、KARTE Message導入前に大量の施策を立案
導入はスムーズに進みましたか?
関根:導入にあたって、グロースチームが手を動かすことはほとんどありませんでしたし、エンジニアチームにKARTE DatahubとKARTE Messageの連携作業をお願いしたところ、即座に作業を完了させてくれたので、導入はかなりスムーズに進みました。導入を決定したのが2023年12月初旬のことで、中旬にはオリエンテーションを受け、下旬には最初の施策を打っていたほど、スピード感のある導入でした。
レンティオ株式会社 グロースチーム 関根光翼氏
それだけの速度で施策実行まで進んだということは、どのような施策を打つかも事前に決めていたのでしょうか?
関根:そうですね。導入を決定した時点で、30〜40ほどの施策アイデアがありました。というのも、KARTEの導入以降、私と高橋を含む4人のグロースチームのメンバー全員で「ユーザーログ会」という会議を開催しているんです。
隔週で開催しているこの会議ではKARTE Liveを使ってお客様が画面を操作する様子を見ながら、お客様がつまずいていそうな部分や離脱につながってしまっているポイントを特定しています。この会議の中で、「メールでこういったフォローができればいいかもしれないね」と施策のアイデアを蓄積していたんです。
あとは、事業上の目標数値から逆算して「このような属性のお客様にこういったキャンペーンを訴求すべきではないか」と仮説を立て、その仮説に基づいてどのようなメールをお送りするかを考えていました。
具体的にはどのような施策を実行されましたか?
関根:たとえば、レンタルした商品を返却せずに購入できる「そのまま購入™」というサービスに利用できる、クーポンを送付した施策です。気に入った商品をお安く購入できるのであれば、お客様にとっては「そのまま購入™」の選択を後押しする大きなメリットになります。私たちにとっても、商品を気に入っていただいたうえで「そのまま購入™」を選択いただけたらありがたいこともあり、クーポンを発行する施策を実施しました。
高橋:クーポンをお送りする際、どのお客様に送付するかは重要です。たとえば、レンタルを開始して3日しか経過していないお客様に「そのまま購入™」に利用できるクーポンを送付しても大きな効果は期待できないと考えられます。しかし、商品を返却する数日前のお客様であれば、同じ施策でも効果は上がるかもしれません。
冒頭でも申し上げたとおり、私たちのサービスは一般的なECサイトと比較して、見るべきデータが幅広い。こうした施策を実行するうえで、幅広いデータを組み合わせることが必要不可欠でした。
関根:そのため、この施策を実行するうえでKARTE Datahubを使って商品に関する稼働率や在庫状況といったデータと、レンタル中のお客様のデータを組み合わせ、KARTE Messageを使ってターゲットとなるお客様に対してメールをお送りしました。これはKARTEシリーズの複数のプロダクトを組み合わせたからこそ実現できた施策だと言えます。
誰にでも使いやすいプロダクトだから、社内の巻き込みが進む
KARTE Messageを導入したことによって、社内にはどのような変化がありましたか?
関根:さまざまな部署からサイト外でのコミュニケーション施策に関するアイデアが寄せられるようになりました。KARTE Messageを使って実行した施策の内容やその結果を、積極的に発信するようにしたところ、社内のメンバーが「KARTE Messageを使えば、こんなことができる」とイメージできるようになったのだと思います。すると、私たちのところに「このようなユーザーに、こんなメールを打ちたい」と相談に来るメンバーが増えたんです。
これにより、グロースチームの仕事にも変化がありました。私であれば「どのようなメールを打つか」ではなく、データ基盤の構築により一層注力できるようになりました。実際にメール文面を作成する作業も、アイデアを持ってきたメンバーに任せられるようになってきています。これからはさらにオープンに社内からアイデアを募り、私たちがサポートしながら施策の実行までを担当してもらう。そのような形でさまざまなチームと協働できるのではないかと思っています。
高橋:こうした社内の巻き込みが進んでいるのには、KARTE MessageのUIの使いやすさも影響しています。多くの企業で利用しているMAツールは、海外製であることが多いです。私たちが以前からメールマガジンの配信に利用していたツールも海外製です。もちろん、国産サービスを含めてすべてのものを使ったことがあるわけではありませんが、MAツールを使い慣れていないメンバーにとって、使いやすいのは国産のツールなのではないかと考えています。
実際、以前のツールを用いたメールマガジンの配信は、まずは私たちのチームで運用の仕組みを構築し、運用は別のチームに任せていますが、運用に慣れるまで少し時間がかかったと聞きました。対して、KARTE Messageはどのような人にとっても使いやすいUIになっていると感じています。ですから、今後施策の立案から実行までを他のチームに任せるとしても、スムーズに運用できるのではないかと思っています。
関根:「誰でも簡単に施策を実行できること」はとても重要なことだと思うんです。いいアイデアを思い付いたとしても、それを実行できる環境がなければアイデアは無駄になってしまいます。「環境が整っていないから、実行できない」ことが続くと、そもそもアイデアを考えようという気持ちも起こらなくなってきてしまいますよね。
KARTE Messageの導入によって「アイデアを形にできる環境」が整ったからこそ、さまざまなアイデアが私たちのところに寄せられるようになったのだと考えています。「関根が実行してたあの施策ができるなら、これもできるのでは?」と考えるメンバーが増えていることを実感しています。
メールの開封率と遷移率が高くても「施策が成功した」わけではない
KARTE Messageを使った施策の振り返りはどのように行っていますか?
高橋:先ほどもお伝えした「ユーザーログ会」で、KARTE Liveを見ながら振り返りを実施しています。新たな施策を実施したあとは、そのメールから流入したお客様がサイト上でどのような動きをしているかを、必ず確認するようにしています。メールを開き、その中にあるリンクをクリックしていただいたからと言って、私たちが伝えたいメッセージが正しく届いているとは限りません。
こちらとしては「お客様にこのようなアクションを取ってもらいたい」という狙いを持ってメールをお送りしているわけですが、そのメールからサイトに遷移していただいたお客様の動きを見ていると、狙い通りのアクションをしていただけてない場合があるんです。
その場合は、メール文面や配信条件を変更してしかるべきお客様に、しかるべきメッセージをお送りできるよう施策を見直すことになるわけですが、メールの開封率や遷移率を見るだけではこういった改善はできません。
ではどのように改善を進めているのでしょうか?
高橋:たとえば、何らかのキャンペーンのご案内をメールで送ったとしましょう。そのメールの開封率と遷移率がともに高ければ、一見そのメールは「成果を出している」ように見えます。しかし遷移した先、つまりサイト上でお客様が行動に迷ったりつまずいたりして、キャンペーンを利用しないまま離脱してしまったとしたら、成功とは言えませんよね。
だからこそ、私たちはKARTE Liveを使って振り返りを実施しています。もちろん、開封率や遷移率も重要な指標ではありますが、目的は「メールを開いてもらうこと」でも、「サイトに遷移してもらうこと」でもありませんからね。
メール配信後のサイト内行動をKARTE Liveで可視化。メールコンテンツの課題の発見につながった。
メールを活用したコミュニケーションが、事業にインパクトを与える
これまで実施してきた施策の中で、特に高い効果をあげたのはどのようなものでしたか?
高橋:レンタル中のお客様に対して、レビューの記載を依頼する施策です。お客様のリアルな声を知るためにも、レビューを集めることは重要です。レンティオのお客様は積極的にレビューを書いてくださる方が多いのですが、タイミングとしては「レンタル終了後」であることがほとんどでした。
ですから、必然的にレンタル期間の短い「ワンタイムプラン」を利用していただいたお客様のレビューが多くなります。対して、レンタル期間が長い「月額制プラン」の方のレビューはどうしても集まりにくい。レンタル期間が長期にわたるので、レビューを書くタイミングがなかったのだろうと想像していました。
ですが、レンタル期間中でもレビューを書くことができる。そのことをお伝えしたいと思い、「レンタル中でもレビューを書くことができるので、ぜひ書いてください」といった内容をメールでお送りしました。
利用アイテムのレビューを依頼するメールのイメージ
関根:結果的には、この施策を実施した後、レンタル中のレビュー投稿率が約2倍になりました。
関根さんの印象に残っている施策はありますか?
関根:「お気に入り」機能を利用したお客様に向けた、リマインドメール施策が印象に残っています。レンティオには気に入った商品に「お気に入り」をつける機能があります。この機能を利用したものの、その後数日経ってもアクションがないお客様に対して、お気に入りの商品のレンタルをプッシュするメールをお送りしたんです。
すると、通常のサイト訪問と比較して約5倍以上のCVRとなりました。利用するモチベーションが高いお客様に対して、メッセージをお送りし、実際にレンタル率を向上させられたという意味で、いい施策だったなと思っています。
カートやお気に入りに商品を追加したままのユーザーへお知らせを送るメールのイメージ
どれだけ利用者が増えても、一人ひとりのユーザーに寄り添うために
今後、KARTE Messageを活用してどのようなことに取り組んでいきたいと考えていますか?
高橋:引き続き、サイト上で実現できているパーソナライズしたコミュニケーションを、メールでも実現するための施策を実行していきたいですね。すべてのお客様が適切な情報を、適切なタイミングで手に入れられるような、そんな「かゆいところに手が届く」コミュニケーションを、メールという手段で実現したいと考えています。
レンティオは「一度売ったら終わり」のサービスではありません。レンタル期間中は常にお客様との関係がつづいている状態ですから、コミュニケーションの量と質を上げることは顧客体験を向上させるうえでの最重要事項だと考えています。
関根:私がよく想像するのは、「もしレンティオの社員がお客様の隣にいたら、どんなことができるだろう」ということ。その想像の中で「きっとこんなことをお伝えするだろうな」と思うことのほとんどは、メールでお届けできるのではないかと思っています。
メールをうまく使えば、いつでも「レンティオの社員が隣にいる状態」を実現できると思っていますし、むしろそれ以上の価値を提供できるのではないかと思っていて。というのも、いくらレンティオの社員といえど、すべてのデータが頭に入っているわけではありませんよね。
そのお客様の嗜好性、これまでの利用歴、製品の在庫状況など、さまざまなデータが頭に入っていれば、より質の高いコミュニケーションが取れるはず。一人の人間がありとあらゆるデータを把握し、それをアップデートしながらお客様とコミュニケーションを取ることは難しいですが、KARTE Messageであればそれができるわけですよね。
もちろん、人が提供するサポートも重要ですし、レンティオのカスタマーサクセス部門が提供するサポートの質はとても高い。そういった人の手によって提供されるサポートとメールを掛け合わせて、よりよい体験を提供したいと思っています。
高橋:私たちは行動指針の一つとして、「カスタマーファースト」を掲げています。現在、月間14万人以上のお客様にレンティオを利用していただいていますが、さらにサービスが成長し、よりたくさんのお客様に利用いただけるようになっても、KARTEシリーズのプロダクトを活用して一人ひとりのお客様の生活に寄り添い続けていきたいと思っています。
そのための一つの手段としてメールは非常に有用だと感じているので、これからもKARTE Messageを活用しながら、一人ひとりのお客様に最適化したコミュニケーションを図っていきたいと考えています。
記事内でご紹介した施策事例は下記よりご確認いただけます。
お気に入り、カート落ちをフォローするリマインドメールを構築。メール経由の注文が増加。