短期的な数字改善よりも、顧客体験を重視。マッチングアプリpatersでKARTEによって生まれた変化と成果

会員数100万人を突破したマッチングアプリ「paters(ペイターズ)」では、2020年初めに、個別の短期的な数字以上にCX(顧客体験)を重視する方針へと舵を切りました。KARTEもCX向上のために導入し、150以上のユーザーグループをつくり個々のユーザーに合った体験を提供しているほか、エンジニアがより重要な機能開発に注力できるようになり、ユーザーのことを考える余裕ができたと話します。

会員数100万人を突破したマッチングアプリ「paters(ペイターズ) 」を運営する株式会社amica。

同社では2020年初めに、個別の短期的な数字以上にCX(顧客体験)を重視する方針へと舵を切りました。KARTEもCX向上のために導入し、150以上のユーザーグループをつくり個々のユーザーに合った体験を提供しているほか、エンジニアがより重要な機能開発に注力できるようになり、ユーザーのことを考える余裕ができたと話します。

今回はプロダクトマネージャー 田中 智大様とアプリエンジニア 山本 裕太様に、CX重視への転換による運営体制・KPI等の変化や、KARTEを導入してからの約1年間で得られた成果などを伺います。

よりCXを重視するために、組織体制もKPIも刷新

運営するアプリ「paters」について教えてください。

田中:patersは「人生が変わる出会いがたくさん生まれる社会を創る」をミッションに掲げ、夢を持った女性とその夢を応援したい男性を繋げるマッチングアプリです。

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このアプリは、CEOの日高の経験がきっかけで生まれました。彼女が上京した際に、起業家やフリーランスが多く住むシェアハウスに入居したことで、さまざまな関係性が生まれ、良い影響をうけたといいます。こういった機会をもっと多くの方に提供できればという思いが、patersの原点です。

アプリを運営するなかで、社内でよりCXを重要視するようになった転換期があったとお伺いしました。

田中:はい。2020年の初めに、日高から「これまで以上にCXを最重視していこう」という号令がありました。

それまで社内は、新規ユーザーの獲得、MAUの増加、LTVの向上と、それぞれ違ったKPIを追うチームに分かれていました。しかし、それだと各自のKPIを達成するため、短期的でユーザーファーストではない施策も多くなってしまっていたんです。 例えば、LTVを向上する施策として、プッシュ通知をたくさん配信するといったものです。

これに危機感をもった日高が、社内全体で目指す共通の軸として、「短期ではなく長期視点で、顧客満足度を意識して、CXを高めよう」と呼びかけていきました。

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田中さま

方向性が大きく変わったことで、具体的にはどのような変化がありましたか?

田中:まず体制は、先程の3チームを統合し、プロダクトチームひとつになりました。それに伴い、各チームがそれぞれ違うKPIを追うのではなく、CX向上を数値化したKPIを共通で持つことになりました。

そのため、現在は「登録から7日後のリテンションレート(継続率)を高める」ことを共通のKPIとしてCXの向上に取り組んでいます。なぜ登録から7日後のリテンションレート(継続率)を共通のKPIにしたかというと、どのような数値でCXを測るべきかと考えた時に、登録して7日以内にアクティブにアプリを使っていただけるということは、良い体験を提供できており、patersに価値を感じてくれていると考えたからです。また、そのタイミングから週次でNPSを見ていくようにもなりました。

KARTEで試して成果が出たものを実装。エンジニアがより重要な機能開発に集中できるように

KARTEを導入されたのも、よりCXを重視するためだったのでしょうか。

田中:そうですね。CXを高めていくために、もっと一人ひとりを知り、それぞれに合わせたコミュニケーションを実現できるサービスが必要でした。

KARTEを選ばれた理由を教えてください。

田中:決め手は2つあります。まず、細かく柔軟にセグメント※を設定できるので、ユーザーの行動やニーズに沿った最適な施策を行うことができ、ユーザー理解や仮説の立案に活かせると思いました。
※セグメント:KARTE上で特定の条件が共通しているユーザーをグループ化する機能。施策配信のターゲットや分析の際にまとめて見ることができる

もうひとつは、エンジニアリソースを使わず仮説検証がしやすいことです。ビジネスサイドのみで施策を行えるので、エンジニアのリソースをより重要なプロダクト開発に投入できると考えました。

実際にKARTEはどのように使われているのでしょうか。

田中:現在は主に各チームの担当者の6~7人ほどが使用しています。カスタマーサポートでは、NPSを取得したり、新機能のリリースを告知したりします。マーケティングでは、キャンペーンやセール情報の告知など、プロダクトチームでユーザー体験が向上し継続率に繋がる施策を打つために仮説検証などに使っています。

KARTEを導入して変化したことがあれば教えてください。

田中:急に決まった施策でもすぐにKARTEで実装できるので、仮説検証のスピードが圧倒的に早まりました。

たとえば今までは、週末に行うキャンペーンを金曜日に思いついても、要件を決めて開発部門に依頼し、実装、本番へのアップといった工程が必要で、週末には間に合いませんでした。ですが、KARTEを導入したことで、ビジネスサイドだけで一連の作業を完結でき、すぐに施策の実行までできています。また、効果が出るか確証がない施策に関しては、一度KARTEで試す、ということができるようになりました。

山本:私たちエンジニアも、この変化はとても嬉しいです。ビジネスサイドが施策を実行・検証して効果が出た機能だけをネイティブで実装したいと提案してくれるので、エンジニアも納得感を持って開発できます。 イチから開発し実装した結果、全く成果が出なかったという事態を防げるので、安心感がありますね。

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山本さま

導入の決め手であった「リソースの最適化」がKARTEによって実現できているわけですね。もう一つの決め手にあった「顧客一人ひとりへの施策の最適化」部分ではどのように活用されていますか?

田中:KARTEのセグメント機能を使うことで、一人ひとりに合わせた施策を行えていますね。今は150個ぐらいあり、具体的には、ユーザー情報とサイト内での行動を組み合わせてセグメントを作っています。ユーザー情報は、職業、エリア、年齢など。行動は、マッチングのきっかけとなる“いいね”を送った回数や、会員登録後の経過時間、購入しているプランなどです。

また、登録初日に30いいね以上送るユーザーのセグメントを作り、リテンションレートを見たところ、しっかりとマッチングし、KPIとしているリテンションレートも高い傾向があることも判明しました。いわゆるマジックナンバーですね。

そこから、新規ユーザーが、自然と30いいねを送りたくなるような体験を提供できるよう、様々な施策を検討、実施しています。

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関連記事:登録後24時間以内の女性アプリ会員に、ポップアップで自分からの「いいね」を訴求(paters)|App

KARTEの導入によって、ユーザーのことを考える余裕が生まれた

エンジニアならではの観点で役に立っている機能があれば教えてください。

山本:一番は、バナーや文言をKARTEで設定するだけでアプリでも実装できる「設定値配信」です。この機能によって、A/Bテストがすごく楽になりました。

今まで、アプリでバナーやテキストの出し分けをするときは、ネイティブの実装の時点で細かく設定し、ユーザー側にアプリをアップデートしてもらう必要がありました。KARTEを使えば、KARTE内の設定をするだけでテストができるので、実装コストが格段に下がりました。

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KARTEを使うことで、得られた気づきなどはありますか?

山本:エンジニア目線でユーザーを見ることで、さまざまな知見を得られていますね。

今までは、「どの画面が合計で何回見られた」などの定量的なデータしか見られませんでしたが、ユーザーストーリー機能でユーザーの動きを見た結果、こちらが想定していない動きをしている人が多いことがわかったこともありました。現時点で施策に落とし込めてはいないのですが、具体的なユーザー行動がわかることで、エンジニア自身で改善施策を考えやすくなったと思います。

それに伴い、社内で話し合いの時間が増えたことも実感しています。気軽にユーザーの行動を見られることで、一つひとつの開発対象についてユーザーのことを考えながら改善案をしっかり出し、実装方法などを話し合えるようになりました。 施策の実装にかかっていた工数がなくなり開発対象が絞れるようになったことで、時間的な余裕がうまれたことも影響していますね。

あとは、KARTEで実装しているチャットをSlackに連携しているので、不具合の問い合わせなどもエンジニアが直接Slack上で確認できます。例えば、年齢確認のために必要な身分証の写真アップロードができないという声が増えていると感じたので、エンジニア主導ですぐに調査を行うなど、今までにない対応もできるようになりました。

アプリの不具合が起きたときにユーザーの行動ログを見に行くといった使い方もしています。今までは不具合が起きたときのことしかわかりませんでしたが、前後の動きもわかるようになりましたね。

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ユーザー起点で実施する施策が増え、定量的な変化も生まれている

これまで以上にCXを重視していく方針や体制に変わったことで、ご自身の意識にも変化はありましたか?

田中:僕自身、もともと「ユーザーへの提供価値を大切にしたい」という気持ちはありました。ですが、アプリの成長フェーズでは、目の前の売上を着実に伸ばすことを重視する必要もあり、短期的な視点での施策を優先することが多かったんです。

それが日高からのCX重視の号令をきっかけに、社内体制とKPIが変わり、KARTEを導入して一人ひとりのユーザーの動きを知れるようになり、ユーザー起点の施策が増えていると思います。 たとえば、今まで手をつけていなかった登録初期のユーザー体験の整備や、UI改修などに着手するようになりました。

定量的な変化だと、有料会員が増え、解約率が下がっているんです。 KARTEで様々な施策を試して改善を積み重ねていったことで、満足度やCXも高まり、継続的に使っていただけるようになったのだと思います。

山本毎週計測しているNPSスコアも、徐々に改善しています。 ユーザーからの意見を集約して、改善要望が多いものから対応するというのを地道に続けている結果だと思うんです。CX重視の方針に舵を取ったことで、よりユーザーに寄り添いながらアプリ開発ができていると感じています。

田中:ユーザーはサービスを通してどんな価値を体験したいのか。そこを重視することで、自分たちのやっていることに納得感を持ちながら取り組めています。それが成果にも繋がっているのは、とても嬉しいですね。

今後のアプリの展望があれば教えてください。

田中:「patersだからこそできること」を開拓していきたいです。プライベートで関わる機会が少ない年齢層の男女が出会えるからこそ、これまでにない経験や気づきが得られ、お互いに新しい発見や価値が生まれると信じています。そのためにも、安心安全な場作りを意識しながら、様々な出会いが生まれるサービスを作っていきたいですね。

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