瞬間的な顧客の気持ちを知る。小さなコミュニケーションから始める関係づくり(ポケットマルシェ様)
ポケットマルシェでは、Webサイトとアプリで生産者と消費者間のコミュニケーションや販売・購買体験を円滑にすすめるべく、KARTEで様々な取り組みを行っています。
日本全国の生産者が旬の食材を出品し、消費者と直接コミュニケーションをとりながら販売できるオンラインの市場「ポケットマルシェ(以下ポケマル)」。ミッションである「個と個をつなぐ」の実現を目指し、Webサイトとアプリで生産者と消費者間のコミュニケーションや販売・購買体験を円滑にすすめるべく、KARTEで様々な取り組みを行っています。
今回は、より良い体験づくりを行うマーケティング部 小林工馬さんに、ポケマルにおいて、KARTEがどのような役割を果たしているのかを伺いました。
単に数字を改善するだけではない。KARTEにビジョンとの親和性を感じた
どのような背景から、KARTEを導入することにされたのでしょうか。
ポケマルを活用してくださっている生産者や消費者の熱量をもっと知りたいという思いがありました。私たちはミッションに「個と個をつなぐ」を据えています。生産者の食材に込めた思いやこだわり、食にまつわる新たな発見を消費者であるお客様に提供していきたいという思いから、生産者と直接コミュニケーションが取れるサービスになっています。
人同士の関係性づくりに注力していますし、お客様一人ひとりの思いや行動に着目し、より深く理解したい。 それを実現できる方法を模索する中で、KARTEを選びました。
ポケットマルシェ マーケティング部 小林工馬さん
特にKARTEのどのようなところを評価いただいたのでしょうか?
KARTEは「一人ひとりを理解する・知る」ことを大切にしており、実際にそのような機能を多く持たれています。その点が私たちの考え方と近いと感じ、単純にコンバージョンや売上といった数字を上げるだけではなく、サービス価値の最大化に寄与してくれると思ったんです。
“顔文字リアクション”で、コミュニケーションのきっかけをつくる
顧客を理解する機能として、Moment Reaction(※)も活用いただいています。Moment Reactionは、顧客がオンライン上でそのときの気持ちを顔文字で反応でき、企業側は数値で捉えられがちな顧客が「一人の人」として直感的に認識しやすくなる機能です。最初にMoment Reactionについて聞いたとき、どのように感じられましたか?
個人に焦点を当てているという点で、私たちの大切にしていることと共通しているKARTEらしさが反映されている機能だなと思いました。私たちも多くコンテンツをつくっているものの、それぞれのコンテンツに対して顧客がどのように感じているのかを知りたかったので、そのために使ってみたいと思いました。そのようなリアクションは、一瞬の感情を表すため、そのような感情に至った体験はどのようなものなのかを知ることができます。
※Moment Reaction:KARTEの機能の一部としてリリースされた、顧客の気持ちを可視化する機能。詳細はこちらから
どのように活用されているか教えていただけますか?
私たちは、Moment Reactionを使って、Webサイトの下部に「こちらの記事は満足いただいていますか?あなたの声をポケマルにお届けします」と掲載しています。
特に、施策を実施した際には、Moment Reactionのお客様の反応を見ています。先日ポケマルの5周年を記念した感謝祭でお得な福袋の販売やクーポン配布を行った際には、スタートしてから2〜3日間は特に見るようにしていました。
その際、スタンプだけではなく「クーポンが出ません」といったお問い合わせが寄せられました。コメントを確認しながら調整を加え、4日目以降はお問い合わせをなくすことができました。Moment Reactionで お客様から簡単に反応をもらえるからこそ、改善につなげ、負の体験をなくすことができましたね。
その他にMoment Reactionでもらった顧客の反応から施策に繋がったものは何かありますか。
ポケマルは、様々な品種を持つ食材を“品種図鑑”と題して紹介するページがあります。例えば、32種類の品種を持つぶどうであれば、記事内でそれぞれの品種名・特徴・その品種を育てている農家の販売ページを掲載し、気になるぶどうがあればすぐに購入できるようになっています。
ある時、ページを見たお客様から泣き顔スタンプの反応をいくつもいただくことがあったので、どのような問題が起きているのかを調査したところ、多くの商品を掲載していたので、読み込みに時間がかかってしまったり、気になって購入しようと思っても売り切れてしまった商品が多かったりしていたことに気づくことができました。
そのためサイトに来訪した人に対して、今買えるぶどうやみかんのページに飛べるようにポップアップを表示し、この中で買える食材をすぐ見ることができるようにしました。
また、改善につながったものではないですが「昔、旦那さんと山梨を旅行した時に買ったぶどうをずっと探していて、ポケマルで買うことができ、思い出を振り返りながら食べています」といったコメントをいただいたときは嬉しかったです。私たちが大切にしている食を通しての喜びを届けられたと感じましたね。
自分がお客様の立場になったときにも「何か伝えたいけど、問い合わせフォームに送るまでではない」ことってありますね。
これまでもお客様からはお問い合わせをいただくことはもちろんありました。しかし、もっと多くの人に使っていただくためには、そこまで問い合わせまでに至っていないお客様が「何を思っているのか」「何を期待して訪れたのか」を知ることは重要です。Moment Reactionはリアクションが簡単かつ、わざわざお問い合わせフォームにいかずにいつでもコメントを書けるので、そういったお客様の声が集めやすくなっていますね。
そのようなお客様のスタンプやコメントが見えるようになっていくのに対して、私たちも「何か返したいよね」と話し合い、こちらのリアクションも伝える仕組みを一緒につくりました。ポジティブなスタンプが押されたら「スタンプありがとうございます」と、泣き顔スタンプには「いただいた意見をもとに、改善に努めます」と表示されます。コメントをいただいた時は、私が返信しています。
お手紙がくると下部にバナーが表示され、開くと中にメッセージが記載されているこの目的としては、私たちがお客様とつながることもありますが、素朴なポケマルの人格を表現することで愛着を持って欲しいと思っています。あとは個人的にもリアクションしたのに何も反応がないのって寂しいなと1ユーザーとして気になりました(笑)
他に消費者と生産者をつなげる取り組みとして印象に残っているものはありますか?
今でこそKARTEを幅広く活用できるようになりましたが、最初は正直何をすればいいかわからなかったんです。活用方法を見い出すきっかけとなったのが「消費者から生産者に宛てたメッセージを集めるアンケート」でした。
2020年7月に九州を中心に発生した豪雨被害が発生しました。こういうときこそポケマルの価値である、消費者と生産者とのつながりが生産者の方々を元気づけられるのではないかと、消費者から生産者の方々への応援メッセージをKARTEのアンケート機能で集めることにしました。
ですが、メッセージを募集した結果、残念ながら回答数は0件。しかし、アンケートが表示された方の行動を分析してみると、アンケートが表示された方の方が被害にあった生産者の食材を購入する割合が高かったのです。アンケートを通じて、ポケマルが生産者と消費者をつなげるスタンスを提示したことで、共感を生み出すことができ、その後の購入につながったのではないか、と考えています。
「負の体験になっていないか」施策を実施したら、まずは顧客の行動を見に行く
顧客の視点に立った施策にこだわっていることが伝わってきました。常に意識されていることはありますか?
私たちがまず心掛けているのは、お客様に迷惑がかかったり、ストレスになっていないか。施策のゴールは、購入率など数字に置いてはいますが、正直そこまで気にしていないんです。 どちらかといえば、何人くらいの方が閉じるボタンを押しているか、同じお客様に何度もポップアップが出てしまっていないかなど体験の中での反応を気にしています。
サイトに来訪してもらえても、何らかの理由で不満を感じてしまったら、購入にもつながるはずがないですしサービスにまた来てもらえないかもしれない、それが一番あってはならないことです。良い体験を提供できれば、そのときに買わなかったとしてもまたどこかで思い出してくれると思っています。
嫌な思いをさせないために、実施していることはありますか?
何か施策を開始したら、まずはお客様の反応を見ます。KARTEでは、リアルタイムでユーザーの動きや施策の結果を見ることができるので、ユーザーストーリーで行動を見たり、KARTE Liveで施策の前後でのサイト上の動きを見たり。もしも意図しない動きになってしまっている、もしくは使いづらそうであれば、すぐに施策を改善して、それでも良くならないようであればすぐに停止するようにしています。
それから、カスタマーサクセスの宮野さんやプレイドさんの存在も大きいですね。宮野さんとのミーティングは、受注者、発注者という関係を超えたディスカッションの場になっています。サービス提供者側の視点に傾きそうなときには、顧客視点に戻してくれます。とても気付きが多いですね。
サービスや施策について忌憚ない意見と、加えてより良くするためのアドバイスや提案もあわせて伝えてくれる。そういった会話から施策のアイデアが生まれるときもよくあります。私たちは、KARTEを使えばなんでもできると思っているので、本当に色々なことを相談させていただいていますね(笑)
右:株式会社プレイド Customer Successの宮野智世
サービス事業者側から顧客視点に立ち戻るのは難しいかと思うのですが、どのようなお話をされているのですか?
例えば、「XD」※1 での記事を題材に「より良い顧客体験とはなにか」について意見交換したり、「KARTE CX Conference」※2の内容について雑談をしながら情報交換したりしています。プレイドさん主催のイベントを見ることが増え、「この事例、ポケマルの場合だったらどうするか」など、Slack上で議論が活発になったり、お客様からもらった声もどんどんシェアしたりするようになりました。
※XD:プレイドが運営しているCXに特化したメディア
※KARTE CX Conference:KARTEを活用している企業が登壇するカンファレンス
他には「ポケマルの思想を知りたい」と、弊社の社内勉強会に参加されたこともありました。宮野さん以外にも合計8人ぐらい参加していただいて。驚きましたが、ここまで興味を持ってもらい、関係を深めていっていることにすごく嬉しかったです。サービス提供者の方とこういう関係性を築けることは今まであまりなかったので、本当に私たちのサービスに共感して並走してくれていると感じています。
常に顧客視点になることを意識していることが伝わってきました。今後KARTEをどのように活用していきたいか、展望をお聞かせください。
今後は、KARTEを私たちのサービスの中心に置き、KARTE以外で取得したデータも集約しようと考えています。今一部の社員しか閲覧できていないお客様のデータを、多角的に多くのメンバーが見られるようにすることで、顧客理解をより深められるようにし、サービスで一貫した顧客視点に立ったコミュニケーションやアクションをできるようにしたいですね。
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KARTE CX Conferenceレポート
KARTEで声なきユーザーに寄り添うために。食のC2C、ポケットマルシェの“個と個”をつなぐ体験設計
https://cxclip.karte.io/topic/cxconf2021-pocketmarche/
施策事例
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https://cxclip.karte.io/practice/pocketmarche-case01/
顧客ニーズにあったデザインを目指し、非エンジニアだけで改善サイクルをまわし、クリック率が向上
https://cxclip.karte.io/practice/pocketmarche-case02/