コンタクトセンター主導で顧客の自己解決促進と、CS活動の生産性向上を両立。ライフネット生命保険のRightSupport by KARTE活用とは

ライフネット生命保険株式会社 営業本部 コンタクトセンターは、「サイレントカスタマー」の動きを可視化し、分析から施策までワンストップで対応するためにRightSupport by KARTEを導入。これまでの道のりや、今後の展望を伺いました。

ライフネット生命保険株式会社 営業本部 コンタクトセンターは2023年5月に「データ戦略チーム」を新設。コンタクトセンターに集積した、お客さまのお問い合わせデータを集計・分析し、他部署に共有することで、よりお客さま起点の施策につなげるのが役割です。

RightSupport by KARTE導入以前は、サイレントカスタマーが課題を解決することなく離脱してしまう状況があったといいます。RightSupport by KARTEを導入し、シナリオの配置と分析により、サイレントカスタマーの動きが捕捉できるようになったそうです。

本記事では、ライフネット生命保険株式会社 営業本部 コンタクトセンターの松本拓己さん、髙野翔太さんにRightSupport by KARTEの導入背景から活用方法と成果、そして今後の展望を伺いました。

データを戦略的に分析し、顧客起点の施策につなげる

──貴社のミッションや事業内容を教えてください。

髙野: ライフネット生命は「子育て世代の保険料を半分にして、安心して子どもを産み育てることができる社会を作りたい」という思いを持って創業した、オンラインの生命保険会社です。

保険は難しくて複雑なものというイメージが強い中、いかにわかりやすく、スムーズで便利なサービスにできるかを考えて事業を行っております。私たちはコンタクトセンターに所属し、いかに保険という商材をわかりやすくお客さまにお伝えするかに取り組んでいます。

──「コンタクトセンター」という部署になるのですね。

髙野: 「コールセンター」ではなく「コンタクトセンター」という名称になっているのは、電話対応がコミュニケーションの主要チャネルではあるものの、ウェブチャットやLINEチャット、メール対応などの様々なお客さまとの接点が担当領域であるためです。

こちらから行うアプローチとしては電話とチャット以外にも、SMSやLINEでのプッシュ配信など、いろんな方法でお客さまに情報をお届けしています。それぞれのお客さまに合わせたチャネルで対応し、申し込みのサポート、契約後のサポートを行うのがコンタクトセンターとしての役割です。

我々はコンタクトセンターの中でも今年の5月に発足したばかりの「データ戦略チーム」に所属しています。コンタクトセンターに集積した、お客さまのお問い合わせデータを集計・分析し、他部署に共有することで、よりお客さま起点の施策につなげる役割です。

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営業本部 コンタクトセンター 髙野翔太氏

──データ戦略チームの他には、どんなチームがあるんでしょうか。

髙野: 大きく分けると、顧客対応をするオペレーショングループと、品質や企画運営の管理グループがあります。オペレーションを細分化すると、お申し込み前の電話対応をするチーム、ご契約後の電話対応をするチーム、あとはチャットやメールで対応するチームもいれば、保険代理店への対応をするチームもいます。企画運営の管理グループ内には、案件やナレッジを管理をするチームや、センター内のシステムや人事総務的な役割を持っているチームもありますね。

課題の分析から施策までワンストップで対応し、顧客の自己解決を促進

──RightSupport by KARTE導入前はどのような課題感を持たれていたのでしょうか。

松本: 大きく2つの課題がありました。1つ目は、課題があってもお問い合わせすることなく離脱してしまっている状況が多く発生していたこと。いわゆるサイレントカスタマーの存在です。こちらを解消することでストレスフリーな顧客体験を実現したいと考えていました。

2つ目は、コンタクトセンターの稼働が圧迫されてしまっていたことです。KPIである応答率を達成できないことが続いていました。FAQコンテンツも用意し、お客さま自身の自己解決を促そうとはしていたのですが、結果としてコンタクトセンターのほうに電話がかかってきてしまう状況がありました。自己解決を促すことでお客さまにとっての利便性が向上し、コンタクトセンターにとっても稼働に空きができれば、より付加価値の高い保険のコンサルティングや詳細のご案内に注力することができます。

元々、当社ではマーケティング部でKARTEを活用していたのですが、その流れでRightSupportを紹介してもらうことになりました。私たちが抱えていた課題の解決につながると感じ、導入を決めました。

──導入当初、RightSupport by KARTEを使ってみてどんな印象がありましたか。

髙野: 実は入社時に受けたマーケティング部の研修でKARTEに触れたことがありました。当時、「お客さまのこういう行動データが見られるんだ」と驚いたのと同時に、「これだけできることが多いと、操作が難しいのでは」という印象を抱いていました。ただ、実際にはRightSupportのオンボーディングは手厚く、その過程で、想像以上に操作がわかりやすいことや、「こんなことまでできるんだ」という驚きもありました。

松本: 私も最初は勝手に高いハードルを感じていて、「難しそうなツールだな」という印象を持っていました。髙野と同様に、オンボーディングを経て心理的なハードルも下がり、スムーズに導入できましたね。

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営業本部 コンタクトセンター 松本拓己氏

──最初は、どのようにRightSupport by KARTEを活用し始めたのでしょうか。

松本: まずはどのページでお客さまが困っているのか、どこでペイン(お客さまが困る原因)が発生しているのか、離脱が多いのかといった課題の把握に努めました。具体的にはRightSupportのレポート機能とダッシュボード機能を使い、お客さまの行動の全体感を把握し、課題に優先順位をつけて取り組んでいきました。

分析を進める中で、リアルタイムでお客さまの行動がわかるのは他のツールにはない特徴だと感じました。それを踏まえて、分析と打ち手が一気通貫でつながっているのが大きな利点だと思いましたね。

通常、CRMツールに溜まったデータを出してExcelで加工し、数値やグラフに落として、分析して…といったステップを進めるのは手間がかかります。RightSupportではレポートで簡単にサイトや顧客の状態が可視化され、そのまま同じプロダクト上でサポートシナリオやサポートウィジェット(施策)を作成できるので非常に便利です。

シナリオ作成の自動化により、運用にかかる工数も削減

──RightSupport by KARTEを活用して実現できた施策の事例を教えていただけますか。

松本: 申し込みページ改善の取り組みです。4つの保険商品の見積りが一度に可能な「保険料見積り」のページで、見積りだけして離脱するお客さまが多かったんです。その原因として、見積りを終えて、いざ申し込みに進んだ際に生じる、個人情報の入力などの手続きの負担があるのではないかと仮説を立てました。

申し込みが完了するまでのステップのうち、離脱が大きいページを特定し、サポートウィジェットを配信しました。狙いとしては大きく2つ。1つはお客さまに自己解決を促すこと。もう1つは契約内容の照会や請求などお問い合わせいただければスムーズに解決できる内容でお困りのお客さまには、電話に誘導することです。結果として、それぞれ狙い通りの効果を得ることができました。

申し込み完了のフォロー施策(※2023年10月時点で公開中の施策)

髙野: 他には、既契約者様向けの改善事例もあります。ご契約者様のマイページには、基本情報の変更、追加申し込み、減額や解約など様々な機能があります。ただ、マイページ内でお客さま自身で解決できることに関するお問い合わせが非常に多かったんです。

そこで、マイページでできることを紹介したり、実際の手続きをどう行ったりできるかについて紹介する施策を実施しました。まだまだ改善の余地はありますが、自己解決を促すコンテンツの発信や導線の整理を行っているところです。

既契約者向けのマイページ上サポート施策(※2023年10月時点で公開中の施策)

──他にはどういった変化がありましたか?

松本: まだ公開には至っていないのですが、自己解決のシナリオを一括で自動作成できる機能を使ってみています。まず自動である程度シナリオの叩き台を作ってもらい、私たちが少しチューニングをかけるという流れで作業を進めています。これにより、サポートウィジェットの設定、改善にかかる工数の削減ができるようになりました。少ない人数で運用しているので、工数が削減できるのは非常に助かっています。

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髙野: 施策のリリース頻度を高めたいと思っても、取り扱う商材上、どうしても社内での確認フローに時間がかかってしまいます。それも課題だったのですが、シナリオ作成の工数が簡略化されただけでも、前工程を短縮でき、施策のPDCAを回せるスピードが上がりました。

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松本: また、サイレントカスタマーの動きもある程度捕捉できるようになりました。例えば、施策を配信しても、効果が出るページとそうではないページがあります。効果がないページはお客さまがそもそも自己解決できている可能性がある。RightSupport導入前は全くわからなかった、そうしたページ内でのお客さまの動きが把握できるようになったのは大きいですね。

お客さまの“解像度”を上げ、さらなる価値提供を目指して

──今後RightSupport by KARTEを使ってやってみたいこと、展望をお伺いできますか。

松本: これまではコンタクトセンター起点でWebサイトを管理している部門に声を上げることはなかなかありませんでした。ところが、RightSupportを活用することで改善のヒントが見え、定量的なデータも集まれば、議論がしやすくなります。今後は、コンタクトセンターからWebサイトの改善提案にも取り組んでいきたいですね。

髙野: 現状、チャットでは個人情報を含むやり取りが難しい部分があります。この点に関して改善を求めているお客さまも多くいらっしゃると思います。いろんな制約があるので、すぐにできることではないと思いますが、ゆくゆくはこの辺りもうまくプロダクトを使って改善していきたいですね。

松本: 当社のサービスに対してお客さまの声を反映していく余地はまだまだあると思っています。これからもお客さまの視点に立ち、変化を続けていけるようチャレンジしています。その変化に、コンタクトセンターとして寄与したいと考えています。

最近社内で話題になるのは「解像度を上げる」ということ。冒頭で触れた当社のミッションの中でもターゲットは「子育て世代」としているものの、実際にはどのような人たちなのかを改めて考えなくてはなりません。

時代が変わるにつれ、生き方やライフスタイルも含めて「子育て世代」の像も多様化してきています。改めて、私たちがターゲットとするお客さまを知るための試みに取り組んでいるところです。その取り組みにも、RightSupportが価値を発揮してくれることを期待しています。

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