アトリビューションとは?多様化する顧客行動を正しく理解し、コンバージョン改善を目指す考え方
顧客がコンバージョンにいたるまでにどの接点を辿ったかを理解し、改善に繋げるために各接点の貢献度を測る指標が「アトリビューション」です。
広告やSNS、検索、メールマガジン、メッセージアプリ、オウンドメディアなど、顧客と企業の接点は多様化しています。コンバージョンを促進するためには、顧客がコンバージョンにいたるまでにどの接点をたどったかを理解し、改善に活かす必要があります。そのために重要な考え方が「アトリビューション」です。
今回は、アトリビューションの定義やアトリビューション分析に必要なモデル、Googleアナリティクスを用いたアトリビューションの分析方法について紹介します。
コンバージョンまでの接点に着目する「アトリビューション」
アトリビューションは、英語で「〜に帰する、〜のせいにする」を意味する言葉です。広告・マーケティングにおいては、コンバージョンにいたるまでの顧客との各接点が、どのくらいコンバージョンに貢献したかを割り振る考え方を指します。
モバイルアプリの広告効果測定のソリューションを提供しているAppsFlyer Japan株式会社のカントリーマネジャー大坪直哉氏は、アトリビューションについて、何の“おかげ”で成功(あるいは失敗)したかをたどることと表現しています。
例えば、商品の購入をコンバージョンに設定しているECサイトで、顧客が以下のような接点をたどって、コンバージョンにいたったとします。
- スマートフォンからSNSの投稿を見て、商品Aを認知
- 数日後、パソコンから商品Aの載ったバナー広告を閲覧
- 数分後、スマートフォンで商品Aの名前を検索、ランディングページを訪問
- 商品Aを購入
この場合、コンバージョン直前の接点、つまりランディングページだけを見てコンバージョンへの貢献を評価してしまいがちです。
実際にはSNSやバナー広告といった接点の“おかげ”で、コンバージョンにいたっていますが、最後の接点だけを見ているとそれらの貢献度は評価できません。
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一方、アトリビューションの考え方では、ランディングページやSNS、バナー広告など、コンバージョンまでに顧客がたどった接点に着目します。そのうえで各接点がどれくらいコンバージョンに貢献したかを分析していきます。
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なぜアトリビューションが重要視されるのか?
アトリビューションの考え方が重要視される背景には、インターネットやスマートフォンの普及による顧客行動の多様化があります。
近年、顧客は商品の購入やサービスへの会員登録などを決めるまでに、広告やSNS、検索エンジン、オウンドメディアなど、多様な接点で情報を得ています。どのような接点をたどるのかも顧客によってさまざまです。
そのため、コンバージョン直前の接点を重視するだけでは、コンバージョンにいたるまでの流れを把握できません。間接的に大きくコンバージョンに貢献している接点も「成果につながっていない」と判断し、予算を削減してしまう可能性もあります。
各接点がコンバージョンにどれだけ貢献しているかを把握できれば、どの接点に注力すべきかをより精緻に判断できます。
アトリビューションの考え方を取り入れることで、多様化する顧客の行動をより正しく理解し、各接点でのコミュニケーション、ひいてはコンバージョンにいたるまでの体験全体を改善していけるのです。
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各接点の貢献度を探る「アトリビューション分析」とは?
アトリビューションの考え方をベースに、各接点がどのくらい貢献したかを分析する手法は「アトリビューション分析」と呼ばれます。
アトリビューション分析では、各接点がどの程度コンバージョンにおいて重要か、複数のパターンで各接点の数値を見ていきます。
例えば、商品やサービスの認知度が低い場合、顧客がコンバージョンにいたるためには、認知のきっかけである最初の接点が重要だと仮定できます。その場合には、コンバージョン直前の接点だけでなく「コンバージョンに貢献した、顧客との最初の接点」にも着目し、数値を見ていく必要があるでしょう。
また、検討期間が長い商品やサービスであれば顧客が複数の接点を行き来することも想定されます。どの接点もコンバージョンに影響していると仮定できる場合、直前と最初の接点に加え「コンバージョンにいたる過程のどこかでコンバージョンに貢献した接点」の数値も重要でしょう。
分析に用いる5つのアトリビューションモデル
アトリビューション分析では、よくある分析のパターンをまとめた「アトリビューションモデル」があります。
以下では代表的な5つのアトリビューションモデルを紹介します。各接点の貢献度を合計で100%になるよう割り振ることで、貢献度を考えるモデルです。
1.ラストクリックモデル(終点モデル)
- 最後の接点に100%を割り当てるモデル
- コンバージョンまでの検討期間が短く、コンバージョン直前の接点がより重要な場合によく用いられます。
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2.ファーストクリックモデル(起点モデル)
- 最初の接点に100%を割り当てるモデル
- 商品やサービスの認知度が少なく、認知のきっかけとなる接点に注力したいときにい、よく用いられます。
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3.リニアモデル(線形モデル)
- 各接点に均等に重要度を割り当てるモデル
- コンバージョンまでに顧客が複数の接点を行き来する、あるいは検討期間が長く、どの接点も重視している場合によく用いられます。
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4.減衰モデル
- コンバージョンに近い接点ほど重要度を多くを割り当てるモデル
- 終点モデルと同様、コンバージョンまでの検討期間が短い場合によく用いられます。
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5.接点ベースモデル
- 最初と最後の接点に重要度を高く割り当て、残りをそれ以外の接点へ均等に割り当てるモデル
- 認知のきっかけとなった接点と、コンバージョンに直接貢献した接点を把握したい場合によく用いられます。
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Googleアナリティクスでのアトリビューション分析
実際のツールをみながらどのようにモデルを活用するのか見てみましょう、アトリビューション分析を行うためのツールはいくつかありますが、ここでは利用者の多い「Googleアナリティクス」を使った分析方法を紹介します。
モデル比較ツール
Googleアナリティクスでアトリビューション分析を行う際には「モデル比較ツール」を利用します。
モデル比較ツールでは、すでに紹介した5種類のアトリビューションモデルに加え、以下の2種類のモデルを利用できます。
- 最後の間接クリックモデル…最後の接点にいたる1つ前にクリックした接点が最も重要だと仮定するモデル
- Google広告のラストクリックモデル…最後にクリックしたGoogle広告が最も重要だと仮定するモデル
以下のように7種類のモデルを選択できます。
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以下の画面では、終点モデルと起点モデル、線形モデルを選択しています。モデルごとに各接点のコンバージョン数が表示されています。
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数値を見ると、どのモデルを用いるかによって、各接点の貢献したコンバージョン数は変動しています。モデル比較ツールでは、これらの数値の違いを参照しながら、各接点がどの程度貢献しているかを分析していきます。
上の画像では「参照元サイト」の貢献したコンバージョン数は、終点モデルだと「246」と、ノーリファラーやオーガニック検索よりも低くなっています。一方、起点モデルではコンバージョン数が「435」とノーリファラーに近い数値です。線形モデルでも「319」と、終点モデルよりは高い数値になっています。
これらの数値から、参照元サイトは主に最初の接点として、コンバージョンに一定の貢献を果たしていることが把握できます。
コンバージョンにいたるまでの体験全体を改善する
アトリビューションは、顧客の行動をより正確に理解し、各接点におけるコミュニケーションを改善するために欠かせない考え方です。
コンバージョンの改善のみならず、広告やSNS、オウンドメディアなどの各接点を通して、顧客にどのような体験を届けるかという視点を忘れず、アトリビューションの視点を取り入れていきましょう。