より良い顧客体験をつくるオムニチャネル戦略とは?Amazonやスターバックスによる事例5選
顧客が実店舗にいても、スマートフォンで商品やサービスを検索し、いつでも競合ブランドの商品を選べる昨今。小売業界において、企業やブランドが顧客と親密な関係を築くために欠かせない概念が、オムニチャネルです。
より良い顧客体験をつくるオムニチャネル戦略とは?Amazonやスターバックスによる事例5選
顧客が実店舗にいても、スマートフォンで商品やサービスを検索し、いつでも競合ブランドの商品を選べる昨今。小売業界において、企業やブランドが顧客と親密な関係を築くために欠かせない概念が、オムニチャネルです。
オムニチャネルは、顧客のニーズや購買データをチャネル間で共有し、チャネルを超えて顧客に一貫性のある最適な体験を提供することです。
参考記事:オムニチャネルとは?顧客との接点が多様化する時代に求められる購買体験
具体的に企業はどのように最適な体験を提供しているのでしょうか。今回はオムニチャネルによって顧客体験の向上に取り組む企業の事例を紹介します。
顧客体験を向上させるオムニチャネル事例
Amazon:ユーザーに合わせたシームレスな買い物を実現
Amazonは2016年より、レジを通らず決済できるコンビニエンスストア「Amazon Go」をシアトやシカゴ、サンフランシスコなどで展開しています。
同店舗では、店頭で手に取ったり購入したりした商品のデータを、画像認識技術によって顧客のデータと紐づけています。これにより、来店後の顧客がAmazonのウェブサイトを訪れた際、Amazon Goで検討あるいは購入した商品にもとづき「おすすめ商品」を表示しています。
スターバックス:待ち時間のないスムーズな顧客体験を届ける
スターバックス コーヒー ジャパンはスターバックスの会員サービス「Starbucks Rewards™」を軸にオムニチャネルに取り組んできました。
同サービスでは、モバイルアプリで会員登録し、レジで会員証を提示すると、商品と交換できるポイントを貯められます。さらに2019年6月からは、同アプリで、入店前に注文と決済を済ませられる「Mobile Order & Pay」を都内56店舗でスタートしています。
スターバックス コーヒー ジャパンは両サービスを通して、顧客の注文情報や好みを把握、店舗やアプリでの体験改善、新規プロジェクトの開発に活かしています。
Warby Parker:ECサイトと実店舗で一貫した接客を提供する
米国の人気アイウェアブランドWarby Parkerは、主にECサイトで商品を販売してきましたが、近年は実店舗の展開にも注力しています。
実店舗には独自のPOSシステムを導入。店舗スタッフは、顧客がECサイトでお気に入り商品に登録した商品や、過去に購入した商品を検索できます。オンラインの行動からニーズや関心を把握し、実店舗での接客に活かしています。
ユニクロ:チャットボットで顧客一人ひとりの買い物をサポート
株式会社ファーストリテイリングは2011年にユニクロのモバイルアプリをローンチ、国内の競合に先駆けてオムニチャネルに取り組んできました。同アプリは会員証機能や在庫確認機能、おすすめ商品の閲覧機能などを備えています。
会員証情報によって、顧客のアプリでの行動と店舗での決済情報を紐づけ、顧客の興味や好みに合わせたおすすめ商品やコーディネートを提案しています。
さらに2018年からはモバイルアプリにAIチャットボット「UNIQLO IQ」を実装。実店舗と同じように顧客が気軽に質問し、よりスムーズに買い物を楽しめるようサポートしています。
ワコール:テクノロジーを活用して体験をアップデート
株式会社ワコールホールディングスは、2019年より新接客サービス「3D smart & try(スマート アンド トライ)」を東急プラザ表参道原宿、大丸心斎橋店で導入しています。
同店舗では、3Dボディスキャナーを顧客の体型をより細かく計測。データにもとづき店内のタブレットで、サイズや体型、好みに合う下着を提案します。提案された商品は、在庫があればその場で購入、なければ自宅へ無料配送されます。公式ECサイトで検討したい場合も、店舗で選んだ商品のQRコードつきのリストを持ち帰ることができます。
同社は計測したデータを商品開発や顧客への商品提案に活用し、オムニチャネルへの取り組みを進めていきたいと語っています。
チャネルの垣根を超えて顧客一人ひとりを理解する
紹介した事例が示す通り、オムニチャネル戦略においては、顧客が複数チャネルを行き来しても、一貫した顧客体験を得られることが重要です。自社が顧客に届けたい体験とは何かをしっかり定義した上でオムニチャネルに取り組んでいきましょう。