ユーザーの「人となり」が見えて、チームに変化が。キラメックスが実践する、遊ぶように挑戦するKARTEの活用

「自己実現へ向かい続ける人と機会で、社会を満たす」を使命に掲げるキラメックス株式会社は、プログラミングやアプリ開発を学べるオンラインスクール「TechAcademy」を中心に事業を展開しています。受講を検討する一人ひとりのユーザーに寄り添い、決断を後押しするために2020年6月にKARTEを導入。2021年9月ごろから前任からKARTEの担当を引き継いだマーケティンググループの福田保範さんは、改善に向けて「失敗を恐れないKARTEの活用」を推進。n1分析のワークショップやユーザーの行動データをもとに、楽しみながらCXの向上に取り組まれています。

「自己実現へ向かい続ける人と機会で、社会を満たす」を使命に掲げるキラメックス株式会社は、プログラミングやアプリ開発を学べるオンラインスクール「TechAcademy」を中心に事業を展開しています。

受講を検討する一人ひとりのユーザーに寄り添い、決断を後押しするために2020年6月にKARTEを導入。2021年9月ごろから前任からKARTEの担当を引き継いだマーケティンググループの福田保範さんは、改善に向けて「失敗を恐れないKARTEの活用」を推進。n1分析のワークショップやユーザーの行動データをもとに、楽しみながらCXの向上に取り組まれています。

「当初KARTEは単にウェブ接客を行うツールと思っていましたが、ユーザーを真に理解できるところが本当のKARTEを使うメリット、本質だと気付かされました」と話す福田さん。今回、その考えに至るまでの道のりを伺いました。

自己実現を叶えたい人の、学びの先まで伴走する

はじめに、キラメックスの事業について教えてください。

福田:オンラインのプログラミングスクール「TechAcademy」を提供しています。個人向け、法人IT研修・DX研修、そして子ども向けと3つのサービスを主に展開しています。

最近では、従来の受講生向けの転職支援に加え、受講生に副業案件を提供する「テックアカデミーワークス」にも注力しています。GMOメディアと船井総合研究所が発表した調査によると、2022年におけるプログラミング教育市場は302億円といわれていますが、この市場を多くのスクールで取り合っている形なので、このまま単純に学びの場を展開するだけでは選んでいただけず、会社としても成長していけません。そこで、最近はテックアカデミーワークスを通して「自分らしく生きる一手段としてプログラミング副業がある」という選択肢を提案し、卒業した後の出口も提供することに取り組んでいくことで副業市場にもアプローチしています。

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卒業した後の出口も提供する、具体的にはどんなことに取り組んでいるのでしょうか。

福田:卒業生にテストを受けていただき、合格者には必ず1案件以上の仕事を提供しています。ただ提供するだけでなく、講師が納品まで伴走します。とにかく今は採算度外視で一人でも多くの受講生に羽ばたいてもらえたらなと。ここまで案件提供・納品までサポートすることにコミットしている企業は多くないと思います。

キラメックス代表の樋口隆広は「テストの点数を取るためではなく、学びを生かす場があってこそ、真の教育と言える」と口癖のように言っていて、実際に会社のミッションもその内容になっています。

福田さんの現在の担当範囲を教えて下さい。

福田:現在はマーケティンググループの統括として全体の戦略を考えるだけでなく、SEO、ウェブ接客、ウェブ広告、メール、お問い合わせ時のトークスクリプトの改善など戦術の部分も担っています。

その一環として、KARTEの運用も任されていると。導入した背景や、運用を引き継いだ時の課題は何だったのでしょうか。

福田:もともと私が入社する前から、前任の担当者がウェブ接客に注力するために導入していました。受講を検討する一人ひとりのユーザー理解を深め、適切な後押しをするためKARTEを活用したいという理由です。KARTEの接客はかなり活用されていて、一定効果も出していたのですが、サイト内のどこで、どんな接客が行われているのか誰も把握しておらず、以前設定した接客の効果が本当に継続的に出ているのかもわからない状態だったんです。

改善しようにも私自身それまでKARTEを使った経験がほぼなかったので、まずは理解を深めようと、実際に触ることから始めました。すると、想像以上に使いやすくてすぐに使いこなせるようになりました。なのに、なぜ前述のようなカオスな状態が生まれてしまったのか。一番の要因はおそらく、接客の取捨選択・リニューアルを改めてすることを誰もやりたがらなかったからだと思うんです。

なぜ誰もやりたがらなかったのでしょうか。

福田:設定した接客の効果が大きいのでいじることに萎縮して、「間違った施策を打ったらどうしよう」「どこかに悪影響を及ぼしたらどうしよう」などと、失敗を怖がるあまり足踏みしていたのではないかなと。なので、KARTEの活用をチームとして推し進めるうえで、まず「怖がらずに挑戦していいんだよ」という姿勢を周囲に見せていく必要性を感じました。その後、仕切り直しするために、既存の接客をすべてストップしてユーザーの行動に基づいたものに変更。複数パターン考えた接客を出し分けてPDCAを回し、どの接客がどのタイミングで出るかをチームメンバー全員が分かるような管理体制を構築したんです。

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チームに変化が訪れた「n1分析」のワークショップ

福田さん自身がKARTEを活用し始めたことで、メンバーの意識に変化はありましたか?

福田:少しずつ変化はありましたが、大きく変わったと感じたのはプレイドと開催したワークショップからですね。これまで2回開催し、計30名以上のn1分析を行ったり、ユーザーのサイト上での動きを動画で見られる「KARTE Live」から行動を観察したりしました。今までは数字でしか捉えられなかったユーザーの「人となり」が見えることで、具体的にどんな施策をしたらいいのかの解像度があがり、メンバーの施策実施へのモチベーションにつながったように思います。

元スマートニュースの西口一希さんもn1分析の重要性をよく話されていますが(参考記事:事業成長のアイデアは、一人の顧客を深く知ることで生まれる。「SmartNews」急成長の仕掛け人が語るN1分析の重要性)、n1分析は企業にとってより求められるものになると思います。「一人のユーザーも喜ばないものは、誰も喜ばない」という言葉を聞いたこともありますが、本当にその通りだなと。まずは、一人のユーザーを喜ばせるためにどうすればいいのかを考え行動する。ワークショップを経て、その重要性がメンバーにも伝わってきたなと感じます。

具体的に、メンバーの意識の変化を感じた瞬間はありますか?

福田:同じチームのデザイナーを含めた全員が「KARTEでこんな接客ができるんじゃないですか?」と自ら提案するようになりました。先日も「受講生インタビュー」に関連した接客がいつの間にか作られていて、実際に試したところ既存の接客よりも約2倍効果を出したことがありました。チーム内に自由度が生まれてきたのは喜ばしいですし、着実に積極性が増しているなと感じます。メンバーも自分で実行した接客の効果がすぐに分かることが面白いようで、私自身も遊ぶように色んなことを試しています。

メンバーの積極性が高まることで、施策の幅もますます広がりそうですね。n1分析やKARTE Liveの活用を経て、他にどのような施策を行ったのでしょうか?

福田:n1分析をして初めて気づいたのですが、テックアカデミーでは受講に関する無料相談ができるのですが、無料相談をしていただいたあるユーザーの方を観察したところ、相談する2ヶ月前から毎日のように当社のサイトを見ていたんです。よくよく考えると、自分も高い家電を買うときは毎日のように目当ての商品を取り扱っているウェブサイトを見て、購入の検討をすることがあるよなと。そんなユーザーに対して何かできることはないかと考え、継続的な訪問が30日間経過した方向け背中押しのポップアップを出したところ、申し込みまでつながったケースが複数ありました。

また、無料相談が終わったあとに、ウェブサイトを何度も訪れるユーザーもいました。もしかすると、相談したものの受講を決めきれずに「相談の時に聞いたことは本当なのだろうか」と、疑心暗鬼になっているのかもしれない。そんな仮説から、「2回目の相談はどうですか」と提案する接客をしたところ、想像以上に反応があって申し込み率が上がったこともありましたね。

▲複数ページを見ている、FAQを閲覧したユーザーなどに相談を促す接客例。クリエイティブも複数でA/Bテストをおこなった。

ユーザーの行動に基づいた接客から、着実に成果も得られていると。

福田:最近は「KARTE Blocks※」を活用し、ユーザーごとに適したサイト設計にも注力していて。複数パターンのファーストビューを用意し、どんなパターンが、どのユーザーに受けるのか検証しています。例えば、リード情報の有無でページの文字量を変えたところ、リードがない人は文字量が少ないページのほうが申し込み数が多く、リードがある人は多くてもじっくり読んでくれることが分かりました。

※KARTE Blocks:サイトをブロックの集合体として捉えてブロックごとに更新・管理ができ、分析、ABテスト、パーソナライズまで、ワンストップかつノーコードで誰でも簡単に行うことができるプロダクト(詳細はこちら

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積極的に施策を展開するなかで、得られた気づきも多かったのではと想像します。福田さん自身、KARTEを運用するうえでどんな点を意識すべきだと思いますか?

福田:一つは「一人ひとりに合わせて接客方法を変えなければならない」ということです。店舗での接客を考えると、店員に相談したい人と、話しかけられたくない人がいますが、ウェブでも同じなんですよね。ユーザーの中には積極的に相談したい方もいれば、自分のペースでじっくり検討したい方もいます。

実際、説明会の動画を申し込んだ方に無料相談の案内をしたら、申し込み数が非常に少なかったんです。そもそも最初に動画を見たいと思うのは、あまり接客されたくないからなのではないか。このようにユーザーの行動の裏にある気持ちを一つひとつ考えて接客していく重要性に気が付きましたね。なので、ユーザーによっては「接客が一つも出ないという接客」というのが必要かもしれません。

「ユーザーの気持ちを一つひとつ考えた接客」を実現するには、どんな心がけが重要でしょうか?

福田:「ユーザーの立場になりきって、接客を体感すること」だと思います。以前、プライベートブラウザで1ユーザーになりきり、どのタイミングで、どんな接客が出るのかを見ていたんです。すると、違和感のある接客をいくつか発見できました。このタイミングで、この接客が出されたらどういう気分になるのかと、定期的にユーザーの視点に立ち戻る工夫は重要だと感じましたね。

企業都合の接客になるのを防ぐ点では、成功した接客も積極的に見直すことも大切だと思います。成功すると「この接客を止めたら数字が下がる」と恐れて放置しがちですが、長期間出している接客はロイヤルユーザーに飽きられてしまうことも多い。以前、成果の良い接客を思い切って変えたこともありますが、変更後に下がった数字は意外にも2〜3週間で持ち直し、最終的に改善することもありました。効果の良し悪しに関わらず、定期的に接客の入れ替えを検討することは、これからも継続していきたいですね。

▲コース一覧ページを何回も見て、コースに迷っていると思われる方に相談を促す接客例

▲アフィリエイトサイトから流入し、他社との比較で迷っている方へ比較表をお伝えする接客例

個々のユーザーのモチベーションに応じた体験の実現を

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ここまでのお話から、福田さん自身が楽しみながら、KARTEを活用されている印象を受けました。福田さんは、KARTEのどのような点が魅力だと感じていますか?

福田:自由度が高く、やりたいと思ったことの多くがすぐに実現できる点ですね。当初は「KARTEはウェブ接客ツールだ」としか思っていなかったのですが、最近は印象が大きく変わりました。ウェブ接客は一ソリューションにしか過ぎず、「ユーザーを真に理解できること」が本質なのだと感じています。

そんな風に思えるのも、自由に挑戦させてもらえる経営陣の影響は大きいです。大きな企業であれば、一つの接客を出すだけで何十もの承認フローが必要になることは往々にしてあると思います。その点、キラメックスは成果へのコミットメントは求められるものの、スピード感を持ってさまざまな施策を回すことを容認してくれます。担当者としてはありがたい限りです。

今後、KARTEを活用してどのようなことに取り組みたいかを教えてください。

福田:これまでの接客は、受講までの適切な後押しをすることに注力してきました。今後は、受講しているときの満足度を上げることや、最後まで離脱せずに課題の合格を目指せるようなサポートにも力を入れていきたいですね。そのために、現在はさまざまなデータを統合する「KARTE Datahub」を使い始め、CXチームと「どのようにデータを連携し、CX向上を図るか」を検討しています。例えば、途中離脱の兆候と思われる行動が見られたときには、タイミングよく「メンターに相談してみませんか?」「お困りごとがあれば、サポートにお問い合わせください」といった提案ができるといいですよね。

施策の幅を広げる中で、チームメンバーにKARTEの活用をより浸透させていくには、どのようなことが必要だと考えていますか?

福田:大前提として、無理して全員が使いこなす必要はないと考えています。「一人だけがやるのはよくない」という考えもあるかもしれませんが、チームへの浸透よりも、ユーザーの課題解決を最優先に考えた接客を素早く実施すべきです。まずは、私のようにKARTEを使うことに抵抗のない人間が率先して活用し、成果が出たタイミングで活用方法を共有し、メンバーが使えるようにする。そんなスタンスでもいいのかなと思っています。

チームメンバーの自主性を大切にされているんですね。最後に、キラメックスがユーザーに届けたい理想的な体験について教えてください。

福田:今はユーザーの行動に基づいた接客を行なっていますが、モチベーションに応じた接客の出し分けができると理想ですね。例えば、受講の無料相談をしたユーザーの中でも「決めるまで継続的に相談したい」「自分のペースで検討するから接客してほしくない」「接客の必要性を感じていなかったが、今は相談したい」など、いろんなモチベーションがあると思います。それを踏まえた接客を実現したいです。

最近は、広告媒体と連携してサイト内外で一貫した顧客体験を実現する「KARTE Signals」も導入し、全体の戦略も構築している最中です。サイトの訪問前から訪問後までの一貫した体験設計にも力を入れ、自己実現を叶えたい一人ひとりのユーザーに寄り添った接客に磨きをかけていけたらと思います。

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