Event Report

KARTE Datahubで始めるマーケティングアナリティクス| KARTE Datahub Night vol.1(後編)

前編に引き続き、6月12日に行われたKARTE Datahub Nightの各社登壇内容をレポートいたします!3社の発表を終え、最後の発表は野村総合研究所/NRIデジタルの吉田さんに、「Datahubのデータを分析してマーケティングに活用するための具体的な方法論」についてご説明いただきました。

前編に引き続き、6月12日に行われたKARTE Datahub Nightの各社登壇内容をレポートいたします!(前編はこちら

3社の発表を終え、最後の発表は野村総合研究所/NRIデジタルの吉田さんに、「 Datahubのデータを分析してマーケティングに活用するための具体的な方法論 」についてご説明いただきました。

KARTE Analytics ~KARTE Datahubで始めるマーケティングアナリティクス~

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NRIではKARTEの基本機能及びDatahubをかなり深くご活用いただいているのですが、実際に新規メンバーがプロジェクトに参画した際にどのように育成しているのか、そのオンボーディングの方法についてご紹介いただきました。
ビジネス柄、事業の課題を特定し、施策の実行までを短期間で求められることが多いNRIでは、以下のようなステップでビジネスを進めているそうです。中でも「課題分析と仮説設定」のプロセス部分、「 AARRRフレームワーク 」の活用についてご説明いただきました。

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分析の具体的なステップ

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AARRRモデルの各ステップにおいて、見るべき指標を追っていくのが基本的な考え方だそうで、具体的には以下の手順で行っていくとのことでした。

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1: 対象サービスにおけるAARRRを定義する

まずは対象サービスにおけるAARRRをしっかり定義することから始めます。何の商材を売っているのか、コンバージョンポイントはどこなのかなど、ビジネスモデルによっても異なってくるので、サービスごとに定義を行います。必ずしも収益が発生しなくても、資料請求や問い合わせなどは事実上のコンバージョンになるので、擬似的に読み替えていくことも必要です。

2:必要な設定を追加・データを入手する

次に、上記で定義したデータを取得する上で足りないものがあれば設定を追加したり、データを入手していきます。例えば、会員サイトであれば会員情報をKARTEに連携できるようにしたり、ページ遷移しないサイトであれば、ページ遷移しなくても取得したいデータが取れるように設定を追加するといったことです。また、Webのデータだけでなくオフラインのデータと紐付ける場合は、商品のマスタデータやトランザクションデータなどを事前に入手しDatahubに連携しておくことで、クロスチャンネルでの分析も可能になります。

3:各ステップの分析をする

実際に各ステップごとにデータを分析していきます。吉田さんのおすすめはGoogle Analytics(有料版でなくても可)、Datahub、Googleデータポータル、という構成だそうです。比較的ライトにデータを分析することができること、またDatahub以外は無料で提供されているので誰にでもスタートしやすい、というのが理由です。分析方法はシンプルにクエリを流して可視化をする、またクエリを流して可視化をする、の繰り返しですが、闇雲に分析を行うと時間がいくらあっても足りなくなってしまうので、分析の優先度を考えることが重要です。

4:課題のあるステップを特定する

優先度をつけるために、対象のサービスの課題がAARRRのどの段階にあるのかを予め見定めておくことが、まずは大事になってきます。吉田さん曰く、殆どのサービスはAcquisition(ユーザー獲得)に目がいきがちだが、実はActivation(ユーザー活性化)、Retension(継続)でスタックしているケースが多いとのこと。そこを分析するために再訪率や継続率を分析して、サイトのコンディションを見極めていくことが重要です。

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5:コホート分析で課題を深掘りする

ここまでできたら、セグメントを分けてセグメント同士で行動にどういう違いがあるのかを見ていくことになります。例えば、活性化のステップで見るのであれば、入会した人/入会してなかった人で比較しますし、継続化のステップで見るのであれば頻繁に訪問したする人/してない人で比較するなど、ステップごとに設定するセグメントが異なってきます。
セグメントを決めたら、今度はユーザー単位で行動を集計、フラグ化していきます。ユーザーIDをキーに、集計結果、フラグを横持ちしたデータ構成にしておくことで、このデータを機械学習へのインプットとして活用したり、可視化がしやすくなるそうです。

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6:施策を実行する

最後は施策の実行になります。AARRRの各ステップごとに効く施策を予め整理しておくと実行しやすくなるのと、とにかく「やみくもに実行するのではなく、仮説にもどづいて実行する」ことが大事、とお話いただきました。
吉田さん発表ありがとうございました!

各社の発表を終えて

以上、4人の発表について簡単にまとめさせていただきました。「外部DMPとの連携」「新規事業開発における基盤としての活用」「メディアにおけるグロースハックの事例」「デジタルマーケティング分析の方法論」などテーマも非常に多岐にわたり、実際にDatahubに携わる身としても非常に勉強になりました。

パネルディスカッション

続いてのパネルディスカッションでは、事例紹介の中で感じた疑問点や感想などを集め、弊社池上が随時ピックアップし登壇者に答えていただく、という方式で進めました。

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会場内で一番人気のあった質問は「 A/Bテストの結果を判断する際に、ネガティブ指標を加味するか? 」というものでした。
例えば、サイト内でポップアップを表示することによってCVRは上がるかもしれないが、反面、数値に表れないネガティブな事象(不快に思われる、アンインストール率が上がる、ブランドのイメージが悪くなる、など)も発生しているのではないか、そこを各社どう捉えているのか、という内容です。各社の回答は以下の通りでした。

吉田さん:加味していない企業が多いと思います。ただ、ここは課題として認識はしていて、CXのマネジメントをどうしていくのかが社内ではホットなトピックになっています。KPIに寄らない指標を取りに行くという動きが先端的な取り組みとして一部始まりだしてはいるものの、まだ多くの企業ではできていないのが実情だと思います。

瀬沼さん:我々も気にはしているが指標化はまだできていない。最初の設計が大事。予め上限を定めておいてその上限の範囲内で、今の優先順位に基づいて判断する。A/Bテストの更に上段のA/Bテストをする、といった考え方で実施している。まだ正式に型化ができていないので、そこがKARTEで見れるようになるとすごくいいなと思っています(笑)

榎本さん:方法論としては、ネガティブな印象を持っている人はどんな人なのか?をデータに基づいて分析してみる。例えばポップアップをクリックした人/クローズした人でその後の継続率にどんな違いがあるのかをデータで見てみる。そこでクローズした人とクリックした人で比較して継続率が低かったら、ポップアップはあまりよくないよね、といった判断ができる。そういう意味でも、Datahubはまだまだ活用できると思う。

弊社池上:KARTE自体も単一の施策に対してどうだったのか?という分析はできるが、複数の施策を受けたユーザーが最終的にどうだったのか?ということはまだ見れないので、そこは各社手探りでやっていただいている。今後これをプロダクトで支援できるといいな、というステータスです。

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続いての質問は、「 データを直接Datahubに入れるのではなくてTDに入れる利点は何か? 」というものでした。KARTE Datahub Nightということで、データをどこに溜めるのか、という質問が多かった中で、特に注目されました。

榎本さん:もともとTDを採用していたのはあるが、オフラインのタッチポイントが多いのでそれも考慮すると、KARTEだけでなく他のDMPにデータを溜めるほうがいいのではと考えた。あとは社内にエンジニアがいないので、クエリを書かずにデータ抽出ができるツールが良いなとも思った。さらに細かいところでいうと、WebのアクセスログとかもTDのSDKで取得できるので、パブリックDMPとも簡単に繋ぐこともできる。データ溜めるところはTDを利用して、KARTEはどちらかというと接客メインでお互いの強みを生かして棲み分けています。

弊社池上:逆に瀬沼さんの場合は、他のDMPを使わずにDatahubにデータを寄せている構成になっているが、できること、限界に感じることなどはありますか?

瀬沼さん:ベースの考え方としてツールはたくさん使いたいとは思っているが、予算のCAPやナレッジ共有の意味で、1つに揃えたほうが全体が効率化されると思っていて、KARTEを採択している。一方で別の観点として、Datahubはクエリを書くことが前提になっている。今の体制では担保できているが、スケールしたときに賄えるかどうかは考えなければいけないポイントになる。必ずしも社内で賄う必要はないが、誰かしらがその機能を担保する必要がある。なので、そこの体制構築が難しい場合は、TDを使うといったケースも考えられると思います。もう1つ大きいのはBigQueryを使っているので、Datahubとのつなぎ込みがとても楽なこと。BigQueryのアカウントをまたいでデータ参照できるので、現状の基盤でBigQueryを使っているとDatahubに寄せやすいのではないかと思います。

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パネルディスカッションの最後に、現状β版として提供している「クエリコレクション」の正式版リリースのデモも行いました。是非リリースにご期待いただければと思います。
時間の都合上、全ての質問に答えてもらうことはできませんでしたが、皆さん積極的に発言いただき、終始議論が尽きませんでした。

懇親会

最後は懇親会でした。パネルディスカッションで触れられなかった質問を登壇者へ聞いてみたり、他の参加者同士で交流いただいたりと、懇親会中も引き続き、各所でお話が盛り上がっていました。

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最後までご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

登壇資料

登壇者の方々に、資料公開へご協力いただきました。

ストライプインターナショナル 榎本様

リクルート 瀬沼様

野村総合研究所 吉田様

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