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社内が活発になるとCXへの感度も上がる。リクルートキャリアが実践するEXへの取り組み #exp_liveout

社内が活発になるとCXへの感度も上がる。リクルートキャリアが実践するEXへの取り組み #exp_liveout

13th Nov, 2020

2020年9月29日に開催された「Experience LIVE OUT」では、顧客にとっての価値を高めるCXと「DX(Developer Experience / Digital Transformation)」および「EX(Employee Experience)」という、「3つのX」の連環に取り組む企業から、実践と背景にある思想が語られました。

EXに注力している企業をゲストにお招きした「EX Session」では、株式会社リクルートキャリア エージェント事業本部 顧客ロイヤルティ推進部のマネージャー、安食 健太郎氏、同部のリーダー、富井 眞理氏が登壇し、株式会社Emotion Techの須藤 勇人氏がモデレーターを務めました。

「EXに向き合うことでCXも高まる」。この良い循環ができる仕組みを取り上げた本セッション。リクルートキャリア エージェント事業本部では、どのような取り組みを行ってきたのでしょうか。

お客様の声を伝え続け、CX向上のための意識の土台を形成

リクルートキャリア エージェント事業本部の顧客ロイヤルティ推進部では、同事業部の顧客サービス品質の向上や従業員のコンディションを維持するメッセージ作り、社内活性施策などを実施しています。今からおよそ5年前、エージェント事業の市場が拡大し、新規サービスも進出してきたころ、安食氏をはじめとした当時の担当者は壁にぶつかっていたそうです。

「お客様に対するサービス品質が事業の拡大に追いついていない気がする」

その課題感の実態を確かめようにも、社内で取っているアンケートからは特に課題が見出せない。悩んだ末に取り組んだのが、NPS®(ネットプロモータースコア)を使ったパネル調査でした。

注:ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。

富井氏「パネル調査では、同業サービスと比較して低い結果が出てしまいました。この時に初めて、客観的に自社の現在地を知ったのです。この結果は、社内では一大事件でしたね。それからCXについて取り組む体制をきちんと作らないとダメだと、エージェント事業本部全体で受け止めていきました」

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NPSの実施によってCX向上の必要性を認識。社内で体制をつくるために、顧客ロイヤルティ推進部は、大きく分けて2つのアプローチをとったそうです。その2つとは、「意識の土台形成」と「CXに関する具体的な運用」です。

安食氏「特に意識の土台形成には、1~2年ほどの時間をかけました。サービス品質を上げることが、事業計画や今後の経営戦略にとってどういう意味があるのか。経営陣の中でも認識を揃えることが一番大事だと考えたのです」

富井氏「大方針に『同じことを言い続ける』、『確認することをやめない』ことを掲げています。例えばCXに本部で取り組むことを、四半期に1度、本部の全員が集まる事業本部キックオフで発信し続けました。以前は業績状況などの報告からスタートしていましたが、事業本部キックオフをCXの状況を確認することから始まる場に変えていったのです。

また、週次の役員会議でも最初のアジェンダで必ずお客様の生の声を取り上げ、役員が意見を言う『確認する場をなくさない』というのを続けています」

時間をかけて議論を続け、組織全体へのCXが重要だという認知を広めていく。それと同時に、具体的な行動へとつなげていきます。CX向上のためにまず実施したのは、カスタマージャーニーマップの作成。Emotion Techが提供するツールを用いて、お客様満足度の行動項目の評価から、推奨度や改善ポイントが可視化されたそうです。

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富井氏「お客様の属性ごとに情報を展開し、現場の皆さんが納得感とともに『次変えるべき行動はこれだ』と言える状態が作れるよう推進しました。実際に現場でサービスを提供する人が、顧客の声やCX向上のためにどう行動を変えていくべきか、現場起点で納得感をもって推進されていく状態が、目指すべきあり方だと思ったのです」

認知・納得・実感を指標に、従業員が生き生きと働ける仕組み作り

CXの向上のために、EXが関係することは様々な事例からも明らかになりつつあります。リクルートキャリアでも、CXの向上に向けた前提の一つとして、従業員の状態にも目を向けていったと富井氏は言います。従業員の声を聞き、最初に取り組んだことは、労働時間を減らすことでした。

安食氏「当時、従業員からあがった声で一番多かったのは、何かをやめたり、業務オペレーションを改善したりしないと、新しいことを取り組む時間がないというもの。そこで、労働時間の適正化に向けて、それまでより一段踏み込んだタイムマネジメントルールを決めることにしました」

労働時間について四半期と月間の上限を設けて可視化を徹底。休日出勤の禁止や、それに反した場合は表彰の対象としないなどのルールを作り、労働時間削減への取り組みを強化したそうです。

安食氏「特に、労働時間の波を平準化することを大事にしました。毎月一定の基準の中に収まり続けることが、従業員の皆さんにとって、生き生きと健康的に働くうえで大切だと考えたのです」

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さらに、自分たちの組織の状況を、組織の従業員全員が共通認識できる指標で、社内の状況を可視化し続けることも行ったと安食氏は話します。組織の状況を測る指標にeNPS℠とサブ指標を導入し、状況の可視化を2年ほど続けたそうです。

注:eNPS℠はベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの役務商標です。

安食氏「サブ指標には3つ項目を置きました。会社の取り組みに対する『認知』、『納得』、そして、実際にサービス品質が向上しているか、もしくは働き方が改善しているか、ということについての『実感』です。可視化サーベイを作り、これらの項目の状態を四半期ごとに把握し続けました。

その後、認知の面では8割ほど達成した段階でのこと、納得度がなかなか上がらない状況に。ヒアリングしてみると、成長支援の機会や、自身のキャリアアップにつながる仕事にもっとチャレンジしたい、業務以外でも学びの機会や、自身が学んでいることを発信したいという声が数多くあったのです」

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そこでロイヤルティ推進部では、誰でも講師・生徒になれお互いに学び合える社内仮想大学「AGENT COLLEGE」を社内に設置。毎月2~3講座のペースで100講座ほどを実施したそうです。セッションの中では、講座の一つ「DXセミナー」の様子が例にあげられていました。ITマーケットのマネージャーが、「自分の知見を会社全体に発信したい」と、登壇を希望したそうです。

安食氏「講座には毎回150~200名くらいの応募があります。コロナ前は会場の都合上30~40名でしたが、オンラインに移行してからはその恩恵を受け、人数の制限なく受けられるようになりました」

一方で、現在のコロナ禍では以前よりも状況が見えづらい部分があるため、社内サーベイの頻度を上げるなどして、社内の関係者とのコミュニケーション頻度を多くとるように心がけているそうです。

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社内サーベイやアンケートの実施にあたり、気を付けるべき点はあるのでしょうか。

安食氏「受け取った声に対して、どのようなメッセージや施策をフィードバックできるか、事前にイメージしながら実施することがとても大事だと思っています。サーベイやアンケートをおこなったものの、結果的に聞くだけになってしまい、その後何もフィードバックができないと、逆にEXが下がることもある為です」

受け取った声に対してフィードバックを届けると、回答者との双方向コミュニケーションが生まれる。これにより、さらに声が集まってくるという循環が生まれるのだそうです。

社内の活性化はサービスの活性化につながる

CXとEXの両方に取り組むようになってからは、顧客からの評価の数値が顕著に変わったそうです。社外のNPS評価は4年連続で上昇、改善から3年ほどで競合サービスとの比較で有意差が出るようになったと富井氏は語ります。

富井氏「社内が活発になると、自分たちのサービスの在り方についての情報流通も活発になります。そのためEXがいい状態の組織であるほど、CXへの感度も上がった感覚がありました」

CXとEXは二つで一つ。このメッセージを本部方針として掲げ続ける上で、アイコンとキャッチコピーも作成したと安食氏は言います。キャッチコピーは「GO FAR、GO HAPPY」。サブフレーズは「遠くに行くなら楽しくいこう、共に」です。

安食氏「サービス品質を上げて、より遠いところに、次の次元に向かいたい。そこに至る上で、生き生きした『HAPPY』な状態で、みんなで一緒にいきたい。このようにメッセージを丁寧に設計し、全員が共通認識として第一想起できる、シンボルのようなもので共有できることは、組織作りで大事なことだと思います」

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最後に、CXやEXへ取り組む際に大事なことを改めて共有し、セッションは終了となりました。

安食氏「5年間の取り組みの中で、可視化がとても大事だと感じました。可視化をすることが、現場の従業員一人ひとりから自律的に生まれる打ち手につながり、結果として、組織全体における最適化が自然に進んでいきました。

この取り組みを進めていくうえで常に念頭においていたのは、リクルートキャリアが『人材観』として掲げる『誰もがかけがえのない持ち味をもっている』ことでした。人には、一人ひとりにそれぞれの個性や持ち味があり、それにあった仕事の進め方があるはず。CX、EXに取り組むとさまざまな課題が可視化されますが、打ち手は1つではありません。課題に向き合う皆さんの中に答えは既にある。その事例も収集して、組織全体に展開、可視化していくのです」

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富井氏「常に現場起点で発想することにもこだわり続けました。お客様にサービスを提供するのは従業員の皆さんです。お客様の体験を考える従業員の体験を、我々は一緒に考えます。情報を流す潤滑油のような役割を担い、どういう環境にあったとしても一番良い形になるにはどうしたらいいかを、調整しながら進めることが大事だと思っています」

サービス提供者は従業員。従業員が気持ちよく働いているからこそ、顧客への価値を提供し続ける余裕が生まれます。顧客体験の向上には、身近な従業員の体験に向き合うことが必要だと実感できるセッションでした。

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