顧客視点で導入するチャットとは?CX向上に繋がる活用事例5選を紹介
顧客に適切なサポートができるように、Webサイトやアプリにチャットを導入する企業が増えています。今回はチャットを通じて、CX(顧客体験)向上に取り組む企業をご紹介します。
顧客に適切なサポートができるように、Webサイトやアプリにチャットを導入する企業が増えています。今回はチャットを通じて、CX(顧客体験)向上に取り組む企業をご紹介します。
顧客体験を向上させるチャット活用事例
チャットには、オペレーターが回答するタイプもあれば、自動で回答するタイプもあります。自動で回答するタイプにも、あらかじめ設定されたシナリオ通りに応答する「ルールベース型」や、聞かれている内容をもとに適した回答を自動で判断する「機械学習型」などいくつのタイプに分かれます。では企業は、どのようにチャットをCX向上に活用しているのでしょうか。
有人窓口で対応する前にチャットで疑問を解決 | LOHACO
アスクルが展開する個人向けネット通販「LOHACO」では、「マナミさん」というキャラクターと対話形式で進めるチャットボットを設置しています。チャットボットとは、ユーザーと自動的に会話するプログラムです。
有人窓口での問い合わせは、営業時間等によってはすぐに回答がもらえないことも珍しくありません。ボットを使ったチャットであれば、顧客の都合のよいタイミングで確認ができるので、利便性が高まります。
チャット上で質問を選択もしくは入力すると、キーワードを解析し、あらかじめ用意された回答のなかから、適切な答えを提示します。約600種類の回答文を用意しており、様々な問い合わせにマナミさんのみで対応が可能です。
ネットショップ担当者フォーラムの掲載記事によれば、「LOHACO」は2019年時点で電話やメールを含む問い合わせ総数のうちの約半分をチャットで対応しているそうです。
参考:人材不足を救うチャットボット LOHACOで5割の問い合わせに対応
9人月分の働きをするアスクルのAIチャットボット「マナミさん」「アオイくん」運用の裏側
購入体験を全てチャットで完結 | UNIQLO
ユニクロは2018年に、チャットボットを活用した買い物アシスタントサービス「UNIQLO IQ」を公式アプリに搭載しました。
チャットボットを利用するのは質問に回答するケースが多いですが、「UNIQLO IQ」では、AIによるおすすめのコーディネート提案から、商品ページの閲覧、在庫状況の確認、購入などのショッピング機能などもチャットで行うことができます。
チャット上で欲しい商品を対話しながら、提案等も受けられるので店舗での接客に近しい体験を顧客に提供しています。
参照:チャットでショッピングを楽しめるAIコンシェルジュ「UNIQLO IQ」の試験運用を開始
ユニクロに聞く、「UNIQLO IQ」リリースで得られた成果 :MarkeZine(マーケジン)
購入意欲が高い顧客をチャットでフォロー | ナノ・ユニバース
アパレルショップ「ナノユニバース」では、公式オンラインショップに「KARTE」を導入し、顧客の検討段階にあわせたコミュニケーションを行っています。
サイトでのページ閲覧やクリックなど特定の行動によりユーザーをスコアリングし、ユーザーの購買意欲をランク付けしています。例えば、商品ページを3回以上閲覧しているなど、アイテムへの購入意欲が高い顧客に対し、「スタイリストに相談する」というようなポップアップを表示して、チャットに誘導しています。チャットでは、専属スタッフにおすすめのコーディネートなどのやりとりができ、商品の購入を後押しするフォローを行うことができます。
店舗に来店したお客様の中には、スタッフの声がけを好まない方もいるように、Web上でも提案をしすぎると不快に思う方もいます。Web上での行動からスコアリングを行うことで、顧客一人ひとりの購入意欲に合わせた対応を実現しています。
参考:購買意欲の高いお客様をスコアで特定しスタイリストとのチャットに誘導した結果、CVRが+107%上昇(ナノ・ユニバース)
ECにおける画一的な接客の限界を超え、パル、ナノ・ユニバース、ZOZOがKARTEで取り組んだこと|Apparel Halloween Night
チャット活用による顧客の疑問に一歩踏み込んだ対応 | 株式会社IDOM
株式会社IDOMは、中古車買取・販売事業『ガリバー』のオウンドメディアに「KARTE」を導入しています。ポップアップ表示や、顧客がスムーズに中古車を見つけられるサポートを行えるチャットをKARTEを活用しながら提供しています。
サイト上のポップアップで疑問がないかを尋ねるだけでなく、具体的な困りごとを先回りして提示しています。例えば、販売車のページを一定以上閲覧したら、「総額を聞いてみる」のポップアップが表示され、チャットでやりとりができます。チャット上では見積もりだけでなく、アドバイザーによる希望条件にあった車両の提案なども行えます。
このように、顧客の抱く質問を提示しチャットでやりとりすることで、店舗で接客しているようなコミュニケーションを行えています。
参考:
チャットでCV直前の機会損失を防ぎ、前年比50%増のCVを達成(ガリバー)
早いコミュニケーションで質の高いサポートを実現| 株式会社ユーゴ
株式会社ユーゴの展開する印刷通販サイト「Suprint(スプリント)」は、自社ECサイトで「KARTE」を導入。オンラインにおける顧客とのタッチポイントを増やすために、バナーや割引クーポンのABテストを行っています。また、印刷物を届けする速度だけではなく、発注前後のコミュニケーションの早さも重要視していることから、チャットを導入しました。
従来のカスタマーセンターの窓口は電話のみでした。しかし、オペレーターが他の顧客の対応をしていると、すぐに対応できないこともあります。チャットを導入することで、オペレーターが複数の問い合わせに同時対応でき、問題解決までの「早さ」を担保できるようになりました。
有人対応のチャットでは、顧客の悩みから実現したいことをオペレーターが想像し、コミュニケーションをとることで、質の高いサポートの提供を目指しています。
参考:Webでも顧客の感情をリアルタイムに知りたい。印刷ECサービスのCS施策
目的に応じてチャットを導入を検討しよう
チャットを用いてCXを向上させるには、機能を実装させるだけでなく、Webサイトやアプリでどういう体験を顧客に届けたいかを考えていくことが大切です。目的に応じて、チャットがどのような役割を果たすのかを考えていきましょう。