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KARTEのポテンシャル、生かしきれていますか?——キラメックス流、KARTE活用を事業成長につなげる秘訣

2023年7月、「事業成長をCXのデジタル変革で牽引する」をテーマに開催したカンファレンス「KARTE CX Conference 2023」にオンラインプログラミングスクールの「テックアカデミー」を運営するキラメックス株式会社の福田保範氏が登壇。KARTEを活用を成果につなげるための10個の秘訣を紹介してくださいました。

「KARTEって実際、費用対効果はどうなの?」
「KARTEの機能が多すぎて使いこなせない…」
「社内で使っているのが自分だけ」

など、KARTEの導入にまつわる、よくある疑問や課題の数々。「事業成長をCXのデジタル変革で牽引する」をテーマに開催した「KARTE CX Conference 2023」内のセッションは、これらの疑問たちに一気に応える時間となりました。

本セッションに登壇したのは、オンラインプログラミングスクールの「テックアカデミー」を運営するキラメックス株式会社 ブートキャンプ事業部マーケティングチーム マネージャーの福田保範氏です。KARTEで実現できないことはなく、『マーケターの好奇心を実現するツール』だと捉えているという福田氏。

KARTEを活用するためには、手法やテクニックの前に前提となる考え方が重要だと前置きした上で、成果につなげるための10個の秘訣を紹介してくださいました。この記事では、いくつかの秘訣をピックアップしてご紹介していきます。

KARTEを活用して事業成長につなげるための秘訣たち

キラメックスでは、KARTEのソリューションをほぼすべて導入し、マーケティングチーム全員が使えている状態だといいます。セッションでは、そんな同社における、成功と失敗の事例を余すところなく共有してくださいました。

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効果の出ている接客も定期的に見直す

例えば、秘訣として共有されたのは接客の定期的な見直しです。目まぐるしく変化する市場や顧客のニーズを正しくとらえるためにも、「50%のユーザーを対象にしたテスト」が欠かせないと福田氏は指摘します。

福田氏「かつて大きな成果を残した接客だとしても、それをそのまま掲出しておくのは、非常に危険なことだと認識しなければなりません。『新規ユーザーにとっては初見の接客だから大丈夫』と思うかもしれませんが、常に市場やユーザーのニーズは変化しており、接客の効果は時間とともに変化します。

サービスに流入してくるユーザーの性質も徐々に変わっているはずなので、かつてのユーザーが『いい』と感じたものを、現在のユーザーも好意的に受け入れてくれるとは限りません。ですから、かつて成果をあげた接客でも放置せず、3ヶ月に1度でいいので、実施と未実施を50%ずつにしたテストを行うべきです」

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ユーザー目線で自社の接客を見てみる

続いて、福田氏が挙げた秘訣は、「どのような接客を配信しているのかを自らユーザー目線で確認すること」です。福田氏自身、月に1度はチェックを実施していると言います。

福田氏「定期的にPCとスマートフォンのシークレットブラウザを使って、どのような接客が表示されているか確認しています。このとき、特に注意すべきポイントは、接客の配信順です。

みなさんも、接客を表示する優先度を設定していると思います。優先度が同じである場合、表示は『更新した順』になります。つまり、最も直近で更新した接客が最初に表示され、更新時期が過去であればあるほど表示順は下がることになる。

この点に気をつけておかないと、意図していない順番で接客が表示されることになってしまいます。こういった事態を抑止するためにも、定期的に『どんな接客が、どんな順番で表示されているのか』を確認しましょう」

KARTE Blocksでリダイレクトテストを行う

秘訣のなかには、KARTE Blocksを活用したものもありました。

福田氏「2023年9月に停止となったGoogle Optimize。ABテストの一種であるリダイレクトテストができなくなり困っている人は多いと思います。KARTE BlocksはGoogle Optimizeの代替サービスとして評価されていますが、これまでは技術的な仕様の問題で、リダイレクトテストができませんでした。

しかし、Google Analytics4(GA4)と組み合わせることによって、リダイレクトテストが実施可能になりました。こちらのスライド(下図)に、KARTE BlocksとGA4を組み合わせたリダイレクトテストの実施方法と分析法を載せましたので、ぜひみなさんもトライしてみてください」

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配信を停止する際の基準を決める

「接客の配信停止設定」に関する秘訣の紹介もありました。大事なのは「しつこすぎない接客」だと福田氏は言います。

福田氏「自分が洋服を買いに行ったときのことを思い浮かべてください。店員さんから声をかけられ、おすすめしてもらうことがありますよね。この時、何度も同じことを言われたら少々うんざりしてしまいます。KARTEの接客もそれと同じ。たしかに、表示が1度だけでは、チャンスを逃してしまうかもしれない。でも、さすがに10回表示するのはユーザーにしつこいと感じられてしまうでしょう。

適切な配信回数の設定は、商材などにもよりますが『配信:3回、閉じる:2回』を目安にすると良いと思っています。つまり、3回配信をする設定にし、その中でユーザーが2回接客を閉じたら、その後は同じ接客を表示させない、ということですね。弊社はこの設定にしていますが、みなさんにもいろいろと試しながら、CXを毀損しない配信停止の基準を探っていただければと思います」

KARTE RightSupportを使ってみる

問い合わせ「前」からユーザーのつまずきを把握し、適切なタイミングで適切なサポートを提供するためのソリューション「KARTE RightSupport」に関する秘訣もシェアされました。

福田氏「KARTE RightSupportは単なるFAQツールではありません。お客様の状況によって、FAQなどのコンテンツを出し分けられる機能があります。私たちが運営するプログラミング学習サービス『テックアカデミー』のサービスサイトでは、各ユーザーに適した卒業生のインタビュー記事を検索するための機能や、診断コンテンツを提供するためにKARTE RightSupportを活用しています」

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福田氏はここまで紹介してきた秘訣の実践をする上でのポイントとして、「すでに実施している接客数の多い秘訣から試してみることで、顧客体験に変化をもたらせるはず」と語りました。

KARTE活用を組織に浸透させるためにナレッジを蓄積し、権限を移譲する

キラメックスではマーケターとデザイナー全員がKARTEを活用し、業務を進めていると言います。続いて、KARTEを組織に浸透させるためのヒントが共有されました。

福田氏「メンバーが実践したいことはあるが実現できるとわかっていない、設定が難しいと思い込んでいると、KARTEの活用は進みません。その状況を変えて、KARTEの活用を推進するためのアプローチとして挙げられるのは『実践パターンを用意する』『権限委譲をする』の2つです」

どのように実践パターンを用意し、権限委譲を進めればいいのでしょうか。福田氏は実践例を交えながら説明します。

福田氏「KARTEを使い慣れていないメンバーに、いきなり『やってみろ』と言っても、当然使いこなせませんし、最初につまずいてしまうと苦手意識を抱きかねません。そこで、まずはどうKARTEを使って接客を出せばいいのかの参考となるパターンをいくつか用意し、そのパターンに沿ってトライしてもらうことが大事です。

おすすめの実践パターンは、ページではなく『初回訪問のユーザー向け』『リピートユーザー向け』『リードがあるかないか』で場合分けし、モチベーションで接客を出し分けること。また、デバイスや流入経路で分けておくのも良いと思います。既存の接客を画像として残しておくだけでもナレッジになるので、ぜひやってみてください」

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福田氏「実践パターンの蓄積が進めば、おのずと2つ目のポイントである権限委譲を進める素地が整います。メンバーがさまざまな業務に取り組みやすい環境をつくらなければ、権限を渡すことはできません。実践パターンを蓄積し、テンプレート化しましょう。弊社では、セグメントや配信トリガーなど、様々な設定をテンプレートにしています。

素地を整えることでメンバーたちが自律的に業務を進め、マネジャーである私が最低限の確認だけをすれば良い状態にしています。権限委譲を進める際、メンバーが発想して、設定した接客は必ず実施することにしています。実際にやってみないと効果はわからないですし、想定外のものが効果を発揮することもありますから。

その他にも、新しいメンバーが来たり、他部署のメンバーがKARTEを使用したりする際の資料として、KARTEガイドラインを作成しています。このガイドラインさえ読めば、基本的な操作方法がわかるようになっています。こういったものを用意しておくことも、組織でのKARTE活用の促進につながるでしょう」

セッションの最後に、福田氏は「ぜひ、KARTEのポテンシャルを信じて、怖がらずにさまざまなことにトライしてみてください」と呼びかけました。会場ではその場ですぐ試してみようとする参加者の方も出るほど、みなさん刺激を受けたようです。

KARTEを使っている方は、ぜひ、これらの秘訣を試してみてください。当日紹介されたすべての秘訣をチェックしたいという方は、こちらからアーカイブ映像をご視聴いただけます(ご登録が必要になります)。

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