リアルタイムデータ連携とBPRの進化で実現する業務革新!JTBが語るKARTE Craft活用法|KARTE Craft Friends Meetup vol.1
KARTE Craftに関心のあるKARTE Friendsが集うミートアップ「KARTE Craft Friends Meetup」を初めて開催しました。今回はその様子をレポートします。
KARTE Craftは、サーバーレスでKARTEにほしい機能をAIの支援のもと開発できるプロダクトです。今回、KARTE Craftに関心のあるKARTE Friendsが集うミートアップ「KARTE Craft Friends Meetup」を初めて開催しました。今回はその様子をレポートします。
ミートアップ前半では、プレイドのKARTE Craftの開発を担当したエンジニアとカスタマーエンジニアによるプロダクト解説やユースケースを交えた機能紹介、実機を触って簡単なプログラムを組んで動かしてみるハンズオンなどを実施。
後半では、実際の社内業務の運用にKARTE Craftを活用いただいているお客様(KARTE Craft Friends)の株式会社JTBの小野 道隆さんに、活用事例をご紹介いただきました。
ローコードで思い通りの開発を実現する「KARTE Craft」の機能
KARTE Craftは、KARTEの機能を拡張するための開発プラットフォームです。サーバーレスでフロントからバックエンドのプログラムを実行でき、ローコードでKARTEの拡張やWebサイト、アプリ開発まで幅広く対応可能です。さらには「Craft Copilot」というAIによるアシスタント機能が開発をサポートします。
冒頭では、まずKARTE Craftの開発を担当したエンジニアの矢澤から、KARTE Craftの概要や開発に至った背景を紹介しました。
矢澤「KARTEを活用することで、エンドユーザーにとっての価値を高めるために、機能をカスタマイズしたいというニーズはどのKARTE Friendsにもあります。KARTEが多機能であるとはいえ、調整したい点などは出てくるのが自然です。
カスタマイズしたい場合、連携のためのツールを入れる、サーバーを準備して自社で開発する、などを通じて対応いただいてきました。これらの選択肢も悪くはありませんが、お金や時間、人的工数などがかかり、ハードルは高くなります。
こうした課題の解決を目指してKARTE Craftを開発しました。PaaSとして提供しているのでサーバー管理などの手間は必要ありませんし、KARTEに組み込むことでカスタマイズにかかる工数も少なくなるようにしています」
KARTE Craftを活用したソリューション例を紹介
続いて、KARTE Craftを用いた具体的なソリューションの紹介をエンジニアの比嘉と、カスタマーエンジニアの神谷から行いました。
ソリューションを6つ紹介する中で特に注目されたのが、「ポイント付与APIにリクエストして即時ポイント付与する接客」というもの。KARTEの接客からポイント付与APIにアクセスし、リアルタイムでポイント付与を行い、付与結果に応じて接客を表示を出し分けることができます。
ユーザーのリテンション向上やアクティブ化のために、インセンティブとして即時ポイント付与を実施したくても従来のKARTEでは外部サービスとリアルタイムに連携することができませんでしたが、KARTE内外で発生する出来事をトリガーに任意のバックエンドプログラムを実行できる「Craft Functions」を利用することで即時にポイント付与を行うことが可能となりました。
本ソリューションの紹介を通じ、KARTE Craftの活用によって実現できる具体的な施策のイメージを参加者の皆様に掴んでいただけたのではないかと思います。
ミートアップで紹介した他のソリューション含め、KARTE Craftを活用したさまざまなソリューションを紹介するブログもあるので、関心のある方はぜひチェックしてみてください。
KARTE Craftをさらに進化させ、その可能性に触れてもらう
続いて、現在β版の「Craft Copilot」の説明に移りました。Craft Functionsや、SSL証明書やサーバーの設定・管理なしであらゆるファイルをホスティングする「Craft Sites」など、KARTE Craftの機能を使って、カスタマイズを思うように進めていくには、ローコードとはいえコーディングやエンジニアリングが必要です。こうした部分をAIでサポートするのがCraft Copilotです。
今回はCraft Functions のプロダクト活用を支援する「Craft Functions Copilot」の3つの支援機能について紹介をしました。
また、さまざまなKARTE Craftの機能やソリューションの紹介をふまえて、プレイドの社内ではKARTE Craftの持つポテンシャルを形にするために、どのような活動を進めているのかを共有しました。
社内の取り組みとして、まず「Craft Application Project」を紹介しました。このプロジェクトは、KARTE Craftのポテンシャルを実際に形にして、社内にわかりやすく示すための活動です。Craft SitesやCraft Functionsなどの機能を組み合わせて、CRMやレストランオーダーシステムなど、実際にありそうなWebサービスを開発して、「KARTE Craftはここまでできる」ということを社内に発信しています。
もう一つの取り組みは「社内ハッカソン」です。KARTE Craftの理解促進や異なる職種間の交流、アイデア創出などを目的に、BizとDevのそれぞれのメンバーが参加し、一緒にアイデアを出してソリューションをつくっています。今後はKARTE Friendsのみなさんともハッカソンを開催していきたいと考えています。
プレイドからの発表後は、KARTE Craftの仕様を理解していただくために、ミートアップに参加したみなさんにKARTE Craftを実際に触っていただく時間となりました。ソリューションブログに公開している「回答後に集計結果がリアルタイム表示されるアンケートをCraft Counterで実装する」に挑戦。
手元に資料を配布し、前面のスクリーンに実際の画面を写しながら、わからない箇所やうまくいかない箇所がある場合はカスタマーエンジニアのメンバーがハンズオンでサポートしながら、KARTE Craftのデモを体験いただきました。
KARTE Craftを活用し、加速度的に成果が増える状態になったJTBでの活用事例
KARTE Craftのデモ体験のあとは、株式会社JTB テクニカルマネージャー 小野 道隆さんが登壇。「Craft×KARTEを活用したリアルタイムデータ連携とBPRの進化 ~革新的な業務効率化と利益を生み出す仕組みづくり~」というテーマで、KARTE Craftの活用事例を紹介してくださいました。
同社では、公式サイトでKARTEを活用した改善活動を進めており、過去にも何度かKARTEの活用事例で登壇や記事に登場いただいています。今回、KARTE Craftの活用事例について初めてお話しいただきました。
「KARTEは最強の人材育成ツール」。社内で”魔法使い”と呼ばれるJTB小野さんに聞く成長のコツ
KARTEによる業務プロセス改善がCX向上に貢献、JTBにおけるBPRの実践例
株式会社JTB テクニカルマネージャー 小野道隆さん
小野さんは、これまでにもさまざまな形でクーポン利用を促進してきたものの、限界を感じていたといいます。
小野「これまで行ってきたクーポン利用促進施策では、お客様の入力補助やクーポンのコピペ機能などを実施しました。これらの施策によって一定の効果は得られたが、まだまだやりたいことは十分にできてはいませんでした」
従来施策では、トラフィックの多い一覧ページを閲覧するユーザーなど、「比較検討」や「興味・関心」ゾーンのユーザーに訴求することが十分にできていなかった、と小野さんは語ります。
小野「従来施策では、クーポンの在庫データとデータ基盤からKARTE連携用のテーブルを作成し、KARTEへデータを連携。クエリからアクションごとに必要なテーブルを作成していました。
このデータ連携フロー上、1時間単位のジョブが最短でした。また、自社のクーポン残数APIが使えるようになってからは、上記のデータ連携は不要になりましたが、トラフィックの多いページでは、クーポン残数APIのリクエスト負荷がボトルネックになってしまっていました」
こうした課題があったことから、トラフィックの多いページにおけるリアルタイムでの割引料金表示などが実現できなかったという小野さん。この課題をKARTE Craftによって解決しました。
小野「KARTE Craftを使うことで、ほぼリアルタイムに連携することが可能になり、KARTE Craftとアクションテーブルの連携でクーポン残数APIへの負荷は最小限になりました。
ボトルネックが解消されたことで、トラフィックの多いページでも、割引料金表示などの訴求が可能になったのです。この結果、利用数は実施前の約300%と大きく伸びました」
リアルタイムにデータを連携するために、Craft FunctionsからAPIへクーポン残数をリクエストし、アクションテーブルに自動連携するようにしたと小野さんは語ります。
小野「残数APIへのリクエストkeyとなるクーポンデータをスプレッドシートで運用し、KARTE Craftでそのリクエストkeyを取得します。
Craft Functionsでクーポン残数APIにリクエストし、取得した残数データでスプレッドシート・アクションテーブルを更新し、接客に反映する流れをつくりました。ファンクションの実行は高頻度となるように設定したことで、ほぼリアルタイムに更新ができるようになりました」
接客アクション側では、上位のクーポン残数がなくなったら下位のクーポンが自動適用されるロジックを作成して、残数に応じて使えるクーポンを自動調整するように設定。残数がなくなったら自動で非表示になるロジックを構築し、公開後の運用は完全に自動化したそうです。
この施策から派生して、成果を出すという観点以外にも、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)・効率化の観点での施策も生まれたと小野さんは続けます。
小野「料金表示とは別に、クーポン訴求をポップアップで行う施策において、以前はクーポンの残数データは属人的に確認していました。残数データをチェックしながら、担当者間で連絡を取り合い、割引の表示・非表示を決定して、手動で表示・非表示を実行していたのです。
KARTE Craftの導入後、ほぼリアルタイムにデータが連携できるようになり、先ほどもお伝えしたとおり、クーポンの残数がなくなれば自動で非表示となるように設定できました。
加えて、残数がないクーポンにひもづく接客を自動停止し、どの接客を停止したのかをSlackに自動通知するような仕組みをつくりました。シンプルな仕組みですが、一度停止した接客にはフラグを立て、必要な通知しかこないように設定できたのが大きな点です」
こうした事例が生まれたあと、社内では顕在化している「ポップアップ内の割引金額を残数を見て再計算するのが面倒」「すべての残数がなくなったら手動でクーポンページ導線を非表示にするのが面倒」といった課題や要望に対応するために、さらなるBPRの計画が進行していると小野さんは言います。
小野「たとえば、クーポン情報を任意のお客様にメルマガで配信したいという別部門の課題解決の要請がシステム部門からあり、公開可能なクーポンデータを連携させる仕組みをつくりました。
KARTE Craftを活用してクーポン情報のページをスクレイピングしてkeyを取得し、Amazon S3にkeyをエクスポート。そのデータを活用してメルマガ配信するという流れです。
S3は別部署が管理しているなど、部門ごとに管轄しているツールが異なるため、以前はこうした連携はハードルが高いものでした。KARTE Craftにより、KARTEでバックエンド領域まで一気通貫で連携できるのが大きな強みとなったケースです。
相談をもらって、数日くらいかけて取り組めばできますよ、と伝えたらぜひお願いしたいとなりました」
この他にも、小野さんは運用担当者がkeyを入力するだけで、自動でクーポン残数がスプレッドシートに更新されていく仕組みをKARTE Craftで構築したといいます。この施策は、毎回管理ツールで残数をチェックする手間が省けて、BPR促進につながったことに加え、「KARTEでこんなことができるんだ」という反響が社内に拡散するきっかけになったそうです。
小野「こうした取り組みは、KARTE Craftでなくとも実現できることもあります。ですが、社内にKARTEを活用してきた実績の蓄積があり、信頼を得ていることがプラスに働いています。
『すぐにできるならKARTEでやってみよう』という文化が他の部門まで少しずつ浸透してきています。今後、KARTE Craftを使ってできることも、『KARTEならやってみよう』と、前向きな姿勢で取り組んでいけると考えています」
また、小野さんはKARTE Craftを活用することで、さまざまな利点が生まれると続けます。
小野「まず、圧倒的なスピード。KARTE Craftは、Node.jsを使ってできることなら、コードさえ書いてしまえば、すぐに実現でき、大半は数日〜1週間でできてしまいます。開発が必要で数ヶ月以上かかると予想されたバックエンド周りの作業も、KARTE Craftで事足りたケースもあります。
加えて、KARTEと連携ができるのも大きい。今回紹介した料金表示・入力補助の施策では、接客アクションのテンプレート化により、わずかな作業のみで新たな施策ができ、設定に要する時間はたった15分でした。
当社では、KARTE CraftとKARTEを使った開発案件では納期5日以内がデフォルトになりつつあります。開発のタスクを極力なくすことで、リアルタイム開発の恒久化を実現しています」
コードの知識が必要な点に関しても、小野さんは「JavaScriptで自由に開発できれば、Node.jsは難しくない」といいます。社内で利用可能なChatGPTを使い倒したり、プレイドのカスタマーエンジニアに相談しながら使いこなせるようになっていったそうです。
さまざまなヒントを提供してくださった小野さん。発表の最後に「ツールはどこまでいっても手段であり、まずはなんらかの成果を出すことが重要」だと強調します。
小野「まずは、気軽にはじめてなんらかの成果を出すことに注力しましょう。起点となる成果をつくることが最も難しく、時間がかかることです。ただし、一度成果が実りだすと、社内からの依頼が舞い込んでくるようになるなど、加速度的に成果は増えていきます。
私たちも、KARTE Craftを使った新しい種まきも行っている段階です。ぜひ、みなさんと一緒にKARTE Craftを使いこなせるようにしていけたらと思います」
KARTE Craftを使いこなすための機会を今後も提供
小野さんからのプレゼンを終えたあとは、交流会の時間に。さまざまな情報に触れたKARTE Friendsのみなさんは話したいことがたくさんあったようで、交流会の時間も盛り上がっていました。
今回、初めての開催となったKARTE Craftに関心のあるKARTE Friendsが集うミートアップ「KARTE Craft Friends Meetup」。プレイドからのお知らせに、小野さんからの事例紹介など、ボリュームたっぷりでの開催となりました。
今後も、KARTE Craftは進化を続けていきます。KARTE Craftに関心のある方が集まる「KARTE Craft Friends Meetup」も、また開催していきたいと考えているのでお楽しみに!