すき!を見つけてもらうために、顧客のことをもっと知りたい。「放課後たのしーと」がKARTEで実践する顧客理解とサービス改善

放課後を過ごす子どもたち向けのWebサービス「放課後たのしーと」では、はサービス立ち上げの段階から「顧客を知る、声を聞く」を徹底しており、KARTEでもアンケートやKARTE Liveで顧客を理解し、より楽しく使いやすいサービスへと進化しています。具体的な施策やそれによる成果、社内における変化などをお伺いしました。

すき!がみつかる「放課後たのしーと」は、「遊びは最高の学び」というコンセプトのもと、朝日新聞社、東京学芸大学、東京学芸大こども未来研究所が行った共同研究の成果をもとに開発した、放課後を過ごす子どもたち向けのWebサービスです。主な利用者は、学童保育の支援員や保護者。豊富なジャンル(表現/体/言葉/数・図形)のプリントを印刷することができ、子どもたちはそのプリントを楽しみながら学ぶことができます。2019年12月にサービスをローンチし、約2年で利用する施設数が約6500件、児童数では60万人を超えています。

「放課後たのしーと」ではサービス立ち上げの段階から「顧客を知る、声を聞く」を徹底しており、KARTEでもアンケートやKARTE Liveで顧客を理解し、より楽しく使いやすいサービスへと進化しています。今回は、編集長の萩原さん、Webディレクターの栗原さんにKARTEをどのように活用し、改善、そして成果に結びつけているのかを伺いました。

子どもたちが 30分熱中できるコンテンツを提供し、支援員の負荷を減らしたい

学童保育に着目し、サービスの立ち上げに至った経緯を教えてください。

萩原:私自身が、子どもの預け先を探していた際に、学童保育における社会課題を目の当たりにしました。せっかく預けるなら有意義な時間を過ごせる施設を選びたいと保護者は考えますが、多くの学童保育の現場では、子ども数十人に対して支援員数名で対応しており、「有意義な時間」よりも、とにかく安全に預かることだけで精一杯というのが現実でした。

支援員の方々の負荷を下げ、かつ子どもたちにとって有意義な時間を作る方法はないか。そこで、子どもたちが熱中して遊べて、すぐに活用できる学童保育での利用に特化したあそびのプリントを思いつきました。

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編集長の萩原さん

どのようにサービスをつくられてきたのでしょうか。

萩原:構想段階から、たくさんの学童施設にお邪魔させてもらって子どもたちがプリントで遊んでいる普段の様子を見たり、遠方の方にはオンラインでヒアリングさせてもらったり、直接顧客を知り、声を聞くことを意識してきました。

サービスローンチ前には、プロトタイプを何種類も作成し、2000名を超える子どもたちに試してもらいました。子どもがつまらなさそうにしていたり、支援員の方々の評判が悪かったりしたものは取り除いていって。どこを変えればいいのかを、みっちりヒアリングして見つかった課題を改善し、コンテンツに落とし込んでいきました。

そのような試行錯誤を繰り返した結果、学童の支援員を対象としたオンラインアンケートで、約90%がたのしーとが提供するプリントの内容や種類に「満足している」と回答 してくださっています。常に直接声を聞き、ニーズをもとに改善していった結果だと思っています。

一方、全国にある学童施設に足を運んだり、ヒアリングをしたりするには限界があります。Webサイト上の行動、例えば印刷しているコンテンツや訪問頻度からでも、ユーザーの日常的な行動を知ることができますし、気軽にアンケートをとれたら、より改善のサイクルを回しやすくなるのではと思っていました。

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顧客とのWebサイト上の接点を強化したい、というのがKARTE導入の理由につながったんですね。

萩原:「放課後たのしーと」の利用は無料で、Webメディアとして収益があがる仕組みにはなっていません。ですので、ランニングコストが発生するKARTEの導入には、チーム外のメンバーからは、費用対効果について少し懐疑的な意見もいただきました。

ですが、私としては現状のWebメディアだけで考えるのではなく、KARTEで学童の現場の方々=ユーザーの求めるものを知り、その先の新しいサービスにつなげられれば、金額分の価値がある と感じ、導入することにしました。

サービス改善のために、アンケートで顧客の声を聞き、動きからヒントを得る

実際に顧客を知るために、KARTEはどのように活用されているのでしょうか。

萩原:定期的に「どのようなコンテンツがあったらいいですか?」といった、コンテンツ開発に活かすためのアンケートを取っています。例えば、SDGs、災害、理科の実験といったご意見をいただき、それらを汲み取って実際にコンテンツに反映しました。

また、コンテンツ開発以外では、サイト改善に関するアンケートも実施しています。 グローバルナビゲーションについてアンケートで聞いてみると「ナビゲーションの項目を増やしてほしい」というニーズが見つかり、サイト改善につなげることができました。

栗原:Webサイト上でのユーザーの動きを動画で見られるKARTE Liveも活用しています。どのようにしたらより印刷してもらえるかという課題に対して改善策を考えるため、それぞれのコンテンツページの動画を見ていきました。

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Webディレクターの栗原さん

コンテンツを色々と探したものの、最終的に印刷を行わなかった動きを多く見つけました。放課後たのしーとは、コンテンツのジャンルや数が多いため、どのコンテンツが良いのかわからず迷ってしまっているのではないかと仮説を立てました。そこで、「どんな遊びをお探しですか?」という質問でジャンルを選んでもらうポップアップをトップページに表示しました。選ぶと、それぞれに対応したコンテンツに遷移することができます。

▲ 顧客の探しているジャンルを尋ねるポップアップの表示例

1回目はターゲットを絞らずに実施したところ、反応するユーザーとそうでないユーザーに分かれました。反応の有無それぞれでユーザーを詳細に見ていくと、すでに複数回サイトに訪問しているユーザーは、あまり反応が良くなくグローバルナビゲーションからジャンルを絞って検索する方が多いことがわかりました。一方で、初めて訪問するユーザーに多く使われていました。

初めてのユーザーは、そもそも探し方が分からなかったのですね。

栗原:そうなんです。なので、「どんな遊びをお探しですか?」と表示する施策は、主に初めて訪れるユーザーを対象に実施しました。すると、印刷をするユーザーが124%に増え、印刷するために必要な会員登録率も300%アップしました。KARTEで顧客のことを細かく見ることができ、ユーザーごとに出し分けたからこそ、成果を出すことができた と思っています。(実施期間:2021/7/1~7/14 対象者:会員未登録のユーザー、施策の実施グループ・未実施グループでの比較 調査者:朝日新聞 栗原)

萩原:ユーザーそれぞれの特徴を知り、ニーズを理解してコンテンツや施策の改善をしていくことで、結果的に幅広く多くのコンテンツに触れてもらえるようになりました。総合的に、Webサイトの滞在時間が伸び、コンテンツのPV数も上がりました。

仮説を持って改善を繰り返しながら、最適なコミュニケーションの形を探る

Webサイト全体の改善にも貢献できているのは嬉しいです。まだ導入してから1年間ですが、このように改善をし続けるためのポイントはありますか?

栗原:KARTEでは、ポップアップやアンケートなどの施策の実施と調整がすぐできるので、仮説を立てて施策を改善し続けること だと思います。私たちは常に月3本くらいのペースで、新しい施策を実施し、細やかな調整をしています。

例えば、ポップアップの表示タイミングも、ページでの滞在時間とスクロールのパーセンテージを細かく調整し、ABテストを繰り返しました。そうすると、パソコンは滞在時間で指定する、スマートフォンだとスクロール率で指定する方が良いことがわかりました。このように、ユーザーの行動から、それぞれのデバイスでの最適な表示方法が見えてきています。

具体的にそのように改善した施策はありますか?

栗原:会員登録のメリットを伝えるポップアップを表示する施策です。当初は「放課後たのしーと」のトップページで会員登録を促すメッセージを出していたのですが、会員登録につながらずに邪魔になっていることが多かったんです。

そこで、顧客の気持ちに立って、会員登録したい人や印刷したい人がよく見るであろうサービスについての説明が載っているアバウトページなどに絞って表示したところ、最終的には会員登録をしてくれる方が増えました。顧客の気持ちに沿って適切な場所で伝えることで、その先の行動にもつながることがわかりましたね。

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失敗から気付きを得て改善に活かし、成果につなげられているんですね。

萩原:KARTEではユーザーの動きや成果を細かく簡単に見ることができるので、週一回の定例会でたのしーとに関わる全チームメンバーにそのようなKARTEで得られた情報について共有すると喜んでくれたり、「次はこうしたら良いんじゃない?」とアイデアを出し合ったりなど、良い循環が生まれるようになりました。

Web制作を依頼しているパートナー含めチーム全体で、お知らせを出したりグローバルメニューを改善したりする場合は「まずはKARTEでやってみよう」という話になりますね。今までかかっていたWeb改修の費用を抑えることもできています。

他にはコンテンツをつくっている編集部の方にも、KARTE Liveを見てもらっています。実際にコンテンツをクリックして印刷している様子が見れるのが、とても新鮮なようで喜んでいただいていますね。 動画を見ながら、改善についての話し合いが自然と生まれたりより活発になったりしている と感じています。

顧客が欲しいコンテンツを見つけやすくしながら、自分たちのメッセージも伝えていく

今後の展望について教えてください。

萩原:ユーザーである学童施設の皆さんが持っている課題を解決することが「放課後たのしーと」の目的であり、進むべき道だと思っているので、ひたすらユーザーの声を聞き続けたい と思っています。「放課後たのしーと」のようなWebメディアにはコンテンツが多くあるため、パーソナライズをしてユーザーが欲しいものを見つけやすくすることはもちろん重要です。

私たちにとってKARTEは、たくさんのユーザーとつながれる窓 だと思っています。KARTEを使って、ユーザーとコミュニケーションを取りあいながら、私たちが大切にしていることや、ぜひ読んでほしいコンテンツも届けていきたい。それが、長期的なユーザーとの関係構築にもつながり、結果としてより頻度高く使っていただくことにもつながる。引き続き KARTEでユーザーにとって必要なコンテンツに辿り着きやすくしながら、私たちが伝えたい情報も届けていきたい ですね。

また、新しいサービスを立ち上げる際には、持っていた仮説を検証するためにもKARTEのような顧客理解が一層必要になります。そのような新サービスにも活かせるよう、まずはたのしーとで顧客を知り、声を聞くことを徹底していきたいです。

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