ECにおけるCX(顧客体験)をどう向上させる?ファッションサイト上での3つの取り組み事例

今回は、ファッションECにおいてCX(顧客体験)の向上を試行している事例をご紹介します。今後もEC化率が高まっていくことが予想されますが、ECが当たり前になればなるほどサービスの質が問われることになっていきます。実店舗のように、ECにおいてもCX(顧客体験)を考え、一人ひとりの顧客に向き合うことが大切です。

ECにおけるCX(顧客体験)をどう向上させる?ファッションサイト上での3つの取り組み事例
2019年5月、経済産業省は国内のBtoC EC市場が18兆円に成長していると発表しました。一方で、全ての商取引金額に対する、電子商取引市場規模の割合を示すEC化率は、BtoC ECでは6.22%にとどまっています。

今後もEC化率が高まっていくことが予想されますが、ECが当たり前になればなるほどサービスの質が問われることになっていくことも考えられます。実店舗のように、ECにおいてもCX(顧客体験)を考え、一人ひとりの顧客に向き合うことが大切になっていくのです。

今回は、ファッションECにおいてCX(顧客体験)の向上を試行している事例をご紹介します。

顧客理解を深め、一人ひとりにあったCX(顧客体験)を提供するファッションEC事例

ファッションECにCXプラットフォーム「KARTE」を導入し、顧客の一人ひとりに合わせた施策を行なっている3つの事例を紹介していきます。

実店舗と連動しながらECでもCXを高める | ストライプインターナショナル

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様々なファッションブランドを展開する株式会社ストライプインターナショナルが運営するECサイト「STRIPE CLUB」では、オンラインとオフラインのデータを1ヶ所に集めたことで顧客理解を深め、一人ひとりに最適化した施策を実施しています。

KARTE Datahubを使い、ECサイトと実店舗の購入履歴をまとめたところ、ECサイトを訪問する顧客の9割は実店舗購入を経ていたことが判明。また、実店舗のみで購入している顧客と、実店舗とECサイトの両方で購入している顧客ではLTVに約4倍も差があることもわかりました。
そこで、実店舗購入のみの顧客リストにメールマガジンを送付しECサイトの案内をするなど、ECサイトも利用してもらえるような工夫をしています。メール経由のお客様にだけ、ECサイトの限定クーポンを表示するといった施策です。特別なお客様に限定したメッセージであることを伝えて、ECサイトも併用して購買していただくきっかけを作ります。

一度ECサイトでの購入を体験していただくことで、お客様にとっても購入の利便性や品揃えの充実などを知っていただく機会となり、今後の商品購入の幅が広がります。
オンラインとオフラインのデータが統合されているからの提案で、今後はECのサイトと実店舗を連動してお客様への接客をさらに最適化することも検討されているそうです。

参考:Datahubで顧客の解像度をあげ、個別最適化したO2O施策をワンストップで実施(ストライプインターナショナル)|CX Clip
実店舗とECサイトのデータを統合し、お客様一人ひとりと信頼関係を結ぶ。ストライプインターナショナルがKARTE で目指すもの|CX Clip

お客様の購買意欲に合わせた接客を行う | ナノ・ユニバース

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実店舗では、お客様が手に取る商品や表情から検討度合いが分かり、店舗スタッフによる最適なお声がけができます。アパレルショップ「ナノ・ユニバース」では、実店舗と同様の接客を目指し、ECサイトでも顧客の検討度合いに応じて最適な施策を実施しています。

まず、ECサイトにおいて顧客の購買意欲を可視化するために、KARTEのスコア機能を活用。商品ページの閲覧状況やクリックなど、ユーザーの特定行動の積み重ねを「購買意欲の上昇」と見なし、スコアに反映します。売上におけるスコアの分布を分析したところ、スコアが高い顧客の人数は全体の4%でありながら、その顧客からの売上は全体の40%を占めていることがわかりました。購買意欲が高まっているお客様の背中を押すような施策を実施すれば、購入に繋がるのではと仮説を立て、クーポン配信時に、配信対象をスコアでセグメントした場合と、そうでない場合に分けたABテストを実施しました。

ABテストでは、直近7日間の未購入者に絞りこんだ上で、顧客が商品をお気に入りに登録したタイミングでクーポンを提示。スコアセグメントをせずに行った施策ではCVR(購入率)が275%向上、スコアが高い顧客のみにセグメントしてクーポンを配信すると600%以上の上昇率となりました。
このように、「商品をお気に入り登録する」という同様の行動をしているお客様でも、スコアによって検討度合いに差があることがわかりました。

ECサイト上でも顧客の購買意欲をスコアリングすることで過去の購入回数や顧客化段階といったロイヤリティ指標だけではなく、直近の購買意欲を元に適切なアプローチが可能になることを示した事例です。

参考:ECにおける画一的な接客の限界を超え、パル、ナノ・ユニバース、ZOZOがKARTEで取り組んだこと|Apparel Halloween Night|CX Clip

お客様に必要なメッセージを、最適なタイミングで届ける | 株式会社パル

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株式会社パルが運営するECサイト「PAL CLOSET ONLINE STORE」では、One to Oneのコミュニケーションに取り組んでいます。

同ECサイトでは、一人ひとりの顧客の興味関心の沿った商品の案内ができるように、ECサイト内で「閲覧した商品ページ」、「お気に入りに登録した商品」、「カートに入れた商品」「過去購入した商品」などの行動データをKARTEで取得しています。また、自社のDBにある商品マスタや在庫マスタを定期的にKARTEに連携しています。

サイト上で取得できる行動データと、連携しているマスタデータを照合することで、お気に入りに入っている商品の価格や在庫の変動をお知らせする「変動通知」や、お客様が過去に購入した商品のサイズを表示する「サイズ補助」などが可能になります。

これにより、お客様はお気に入りに入れていた商品の価格が下がった際にタイムリーに知ることができたり、商品を買う際に過去に購入した商品のサイズを元にサイズを選択することができます。

参考:リアル店舗と一体化したオムニチャネル施策を実行。直営サイト売上を4倍にしたパルが目指すCX向上の基盤|CX Clip

ECにおけるCX(顧客体験)の向上に取り組もう

この先、ファッションの分野だけでなくEC化はますます重要になっていきます。ECを通じてよりよいCX(顧客体験)を届けていくために、顧客理解を深め、ECにおける施策をブラッシュアップしていきましょう。

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