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コンテンツマーケティングとは?成果に繋げるために知っておきたい基礎知識

今回はオウンドメディアの運営など、コンテンツを活用したマーケティング手段「コンテンツマーケティング」を取り上げます。注目された背景や有効なコンテンツの種類、効果的に運用するための基本ステップを解説していきます。

4 Nov, 2019

    2010年代前半から、記事や動画などのコンテンツを、自社のウェブサイトやメディア、SNSを介して発信する企業が増えました。

    しかし、2018年ごろからオウンドメディアの閉鎖が相次いでいます。中には、多くの読者を獲得していたメディアや有名企業の運営していたメディアもあり、「オウンドメディアはもう終わったのか」という議論が巻き起こるほどになっています。

    今回はオウンドメディアの運営など、コンテンツを活用したマーケティング手段「コンテンツマーケティング」を取り上げます。注目された背景や有効なコンテンツの種類、効果的に運用するための基本ステップを解説していきます。

    コンテンツマーケティングとは?

    米国の著名マーケターが2011年に設立したContent Marketing Instituteは、コンテンツマーケティングを「価値ある、興味関心に合わせたコンテンツを、明確に定義されたオーディエンスを引きつけ、維持するために継続的に制作するマーケティングテクニックの一つ」と定義しています。著書『次世代コミュニケーションプランニング』で知られ、株式会社スケダチの代表を務める高広伯彦氏は「コンテンツ活用を中心に据えたマーケティング手法の一つであり、そのフォーマットは、元来、デジタルだけには止まらない」と説明しています。

    コンテンツマーケティングが注目された背景

    顧客にとって価値あるコンテンツを制作し、マーケティングに利用する手法自体は、決して新しいものではありません。米国では1895年から、農業機器を販売する会社が「農場経営者にとって有益な情報を提供する」目的で雑誌を発行しており、コンテンツマーケティングの元祖と言われています。

    コンテンツを利用したマーケティングは2010年代前半から注目を浴びるようになってきましたが、それはなぜでしょうか。

    その背景の一つに、消費者の得られる情報量の変化があります。インターネットの普及により、消費者は大量の情報に触れられるようになりました。膨大な情報から、消費者は興味関心のあるものや役に立つものだけを選び取っています。そのため、インターネットが普及する前のように、企業がテレビCMや新聞広告といったマス広告を介してプロダクトやサービスの情報を届けても、消費者が目にしてくれる可能性は低くなっています。

    情報過多の時代、プロダクトやサービスへの関心をもってもらうためには、消費者にとって役に立つ、あるいは興味関心を喚起する魅力的なコンテンツを制作し、発信する必要があります。

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    もう一つ、コンテンツが重視される背景として、Googleを中心とした検索エンジンの進化があります。2010年代初頭まで、ウェブサイトを検索結果の上位に表示させたい場合、他のウェブサイトからリンクされている数を増やすといったテクニックが通用していました。しかし、2011年のGoogleによるアップデート以降、度重なるアップデートにより、内容や質の伴わないウェブサイトは上位表示されづらくなっています。

    「海外SEO情報ブログ」の運営者として知られる鈴木謙一氏は、「現在のSEOでは役に立つコンテンツを作ることが何より大切」と述べています。検索エンジンの最適化においても、消費者にとって価値あるコンテンツを発信する重要性が高まっているのです。

    こうした二つの背景によって、コンテンツマーケティングが注目されるようになりました。その一環として、自社で運営・保有するメディアである「オウンドメディア」を立ち上げ、制作したコンテンツを発信する企業も増えています。

    コンテンツマーケティングにおけるコンテンツの種類

    コンテンツマーケティングに取り組む企業は、具体的にどのような種類のコンテンツを制作しているのでしょうか。

    代表的なのは、ブログやメールといったテキストベースの記事です。例えば、コンテンツマーケティングの成功例として知られる、米コカ・コーラのオウンドメディア「Coca-Cola Journey」では、サステナビリティや多様性など、コカコーラが大切にしている価値観や関連する取り組みを伝える記事が公開されています。同メディアの日本版では東京オリンピックに関連した記事も多く、同社が顧客の興味関心に合わせてコンテンツを制作していることが伺えます。

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    動画を活用したコンテンツマーケティングの事例もあります。例えば、米国の格安航空会社JetBlueは、潜在顧客を対象に、日々仕事や生活に追われる人をコミカルに描いた動画を制作、自社のYouTubeチャンネルで発信しています。同チャンネルでは、フライト時のマナーをまとめた動画など、すでに航空会社の利用を検討している顧客を対象としたコンテンツも公開されています。

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    オンライン、オフラインを問わず、企業の主催するセミナーやイベントもコンテンツに含まれます。マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」は、製品の利用を検討している顧客に向けて、複数のオンラインセミナーを公開しています。

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    その他に、ポッドキャストやインフォグラフィクス、カタログ、メールマガジンなど、コンテンツの表現方法は様々です。カスタマージャーニーにおける顧客の段階やタッチポイント、割ける予算によって、最適なフォーマットを選ぶと良いでしょう。

    参考記事:カスタマージャーニーとは?効果的なマップ作りのために知っておきたいこと

    コンテンツマーケティングで活用するプラットフォーム

    コンテンツマーケティングでは、自社のウェブサイトやオウンドメディアは、制作したコンテンツの発信先の一つに過ぎず、制作したコンテンツは複数のチャネルを介し、顧客へ届けられています。他にどのような発信先があるのでしょうか。以下に、コンテンツマーケティングで活用される代表的なプラットフォームと特徴を説明します。

    Facebook

    月間アクティブユーザーは2600万人(※2019年4月時点)、30〜50代の中高年層に高く支持されています。無料のビジネスアカウントでは、テキストや画像、動画を投稿できます。実名登録のため、他のSNSに比べてコメント欄が荒れにくいのが特徴です。

    鳥取県にある「笹すし」は2012年からビジネスアカウントを運用し、季節の料理やスタッフの様子をテキストと写真で投稿し続けてきました。現在は新規顧客の50%以上がFacebookページをきっかけにお店を訪れます。

    Instagram

    月間アクティブユーザーは3300万人(※2019年6月時点)、特に10代から20代の若年層に支持を受けています。写真がメインのため、ビジュアルを通してプロダクトやサービスの世界観を伝えられます。

    ライフスタイルブランド「BOTANIST」の公式アカウントでは、「商品を見せること、ブランドの世界観を表現すること」にこだわり、写真の色やトーンを統一した投稿を続けた結果、49万2千フォロワーを獲得しています。

    Twitter

    月間アクティブユーザーは4500万人(※2017年10月時点)。時系列で次々に投稿が流れてくるリアルタイム性、リツィートによってフォロワー以外にも投稿が届く拡散性の高さが特徴です。

    58万人のフォロワーを抱える「シャープ株式会社」の公式アカウントは、話題のニュースに合わせた投稿によって拡散を狙うだけでなく、「シャープ製品を買った」というリプライにお礼を送るなど、ユーザーとのリアルタイムのコミュニケーションを重視しています

    LINE

    月間アクティブユーザーは8000万人(※2019年4月時点)。アクティブ率の高さやユーザーと1対1でコミュニケーションを図れる点が特徴です。有料のビジネスアカウント「LINE公式アカウント」に加え、無料で開設できるビジネスアカウント「LINE@」も提供しています。

    自動車メーカーのBMWは、自社ブランドMINIのLINE公式アカウントを「ユーザーとの温かい対話の場」と位置づけ、試乗やカタログ請求の案内や壁紙のプレゼント企画などを行っています。LINE経由でディーラーへの来場者は増加、同社のメッセージに対し、顧客から「ありがとう」と返事が届くなど、密なコミュニケーションが生まれています。

    note

    月間アクティブユーザーは2000万人(※2019年10月時点)を超えるメディアプラットフォームです。2019年3月にはクリエイター法人向けプラン「note pro」がリリースされ、コンテンツマーケティングに利用する企業が増えています。

    キリンビール株式会社」は公式アカウントで同社のビジョンやブランドストーリーを長文の記事として発信、noteユーザーから投稿を募集する投稿コンテストを実施するなど、双方向のコミュニケーションを図っています。

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    コンテンツマーケティングを始める際の基本ステップ

    実際にコンテンツマーケティングを始める際にはどのような点に気をつける必要があるのでしょうか。基本のステップを順に説明します。

    1.顧客にとって価値あるコンテンツとは何かを整理する

    コンテンツマーケティングは、潜在顧客の認知度の向上や顕在顧客のコンバージョンの促進など、様々なマーケティング課題に対して効果を発揮します。

    しかし、何より重要なのは、届けたい顧客にとって価値あるコンテンツを制作することです。想定する顧客が誰であり、彼らがどのような課題や興味関心を持っているのか、それに合わせ、どのようなコンテンツを届けるべきなのかを整理しましょう。

    例えば、会計ソフトウェアを開発するfreee株式会社のオウンドメディア「経営ハッカー」は、自社サービスの想定顧客である中小企業の経営者やフリーランスを対象に、会計や経理だけでなく、ビジネスや経営まで幅広い悩みに答える記事を公開しています

    とくに、昨今、オウンドメディアを運営する企業が増えているため、発信を始めてもすぐにわかりやすい成果が得られない可能性もあります。その際に立ち戻れるよう、そもそも誰に何のためにコンテンツを届けるのか、しっかりと指針を定めておきましょう。

    2.追いかけるKPIが適切かを検討する

    誰に何を伝えるのかが決まれば、そのコンテンツがどのような事業課題、マーケティング課題の解決につながるのかを踏まえ、適切なKPIを設定します。

    例えば、インフォグラフィクスを制作し、自社サービスの問い合わせ増加につなげたい場合、閲覧数だけでなく問い合わせ数をKPIに設定します。以前KPIについて紹介した記事では事業目標から逆算して、KPIを整理する方法をより詳しく説明しているので、参考にしてみてください。

    参考:KPIとは?オンラインマーケティングの目標管理に欠かせない指標を解説

    例えば、楽天市場のオウンドメディア「それどこ」は、楽天市場への事業貢献をKGIとし、楽天市場への送客数とユニークユーザー数をKPIに設定しています。KPIは、記事の公開本数に必要なコストや記事を読んだユーザー数、そのうち楽天市場で買い物をした人の数、長期的な収益を踏まえて算出しています。

    株式会社サイボウズのオウンドメディア「サイボウズ式」は、長期的な認知向上や広報を目的とするため、あえてKPIを設定していません。ページビュー数やシェア数だけでなく、社内外の定性的な反応など「メディアのコンテンツが自社のビジョン達成にどう貢献しているか」を見ています

    3.制作に必要なリソースを想定し確保する

    コンテンツマーケティングを行う前に、必要なリソースを確保できるか必ず確認しましょう。特にオウンドメディアやSNSなどは、一定の量のコンテンツを継続的に発信することで効果が得られます。社外に制作を依頼するのか、社内で行う場合はどのくらいの人員と予算を確保すべきなのか、あらかじめ整理して体制を整えましょう。

    4.コンテンツの届け方を設計する

    想定顧客にコンテンツを届けるためには、事前に届け方を設計する必要があります。自社のウェブサイトやSNS、メールマガジン、オフラインイベントなど、顧客とのタッチポイントを洗い出し、コンテンツを届けるタイミングを整理しましょう。

    また、ウェブサイトで公開した記事を営業する際の資料として利用するなど、製作したコンテンツを部署を超えて活用できないかも検討すると良いでしょう。

    5. コンテンツを発信した後の効果を振り返る

    コンテンツを発信した後は、設定したKPIを達成できたかを振り返り、達成できていない場合は、原因と解決策を整理します。オウンドメディアで記事を発信していく場合は必ずアクセス解析を行いましょう。

    参考記事:アクセス解析とは?ユーザーにより良い体験を届けるための解析方法

    また、記事を公開した場合、公開後もタイトルやアイキャッチ画像を変更する、一部内容を更新して再投稿するといった工夫によって、公開後も顧客に届く可能性が高まります。一度作って終わりにならないよう、振り返りと改善を継続的に行いましょう。

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    オウンドメディアを含め、コンテンツマーケティングは決して「終わった」わけではありません。コンテンツマーケティングは、顧客にとって価値ある情報を届け、信頼関係を築くための有益な手段になり得ます。顧客の課題や事業目標を踏まえて、しっかりと目的を整理した上で、コンテンツマーケティングに取り組んでいきましょう。

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