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CXは経営方針における重点領域。ライフネット生命が推進した顧客体験の変革プロセスの裏側

CXは経営方針における重点領域。ライフネット生命が推進した顧客体験の変革プロセスの裏側

26th Mar, 2021

2021年2月2日から4日まで、KARTEを活用する企業やパートナーのプレゼンテーションを通じてCXを追求するうえでの思考と実践を学べるカンファレンス「KARTE CX Conference 2021」を開催しました。

「顧客体験の革新を目指すライフネット生命のCXとは?コミュニケーション設計とデータガバナンスの重要性」と題したセッションでは、ライフネット生命保険株式会社(以下、ライフネット生命)の営業企画部 伊藤裕樹氏、酒井宏平氏、重原大毅氏の3人が登壇しました。

ライフネット生命は、2018年11月に策定した経営方針の重点領域として「顧客体験の革新」を掲げています。それ以来、顧客体験を専門とするCXデザイングループの立ち上げやKARTEの導入なども含め、全社的に顧客体験を重視して活動を展開してきました。

まだ前例の少ない、全社的な顧客体験の革新はどのように進められてきたのでしょうか。同社での改革を推進してきたタスクフォースのメンバーの口から語られたのは、地道で当たり前に見える「基礎」を積み上げていく大切さでした。

経営方針の重点領域に「顧客体験の革新」を掲げて全社的に推進

ライフネット生命は、2018年11月に策定した経営方針の重点領域のひとつに「顧客体験の革新」を掲げました。以降、デジタルテクノロジーを活用し、全てのサービスを質的に高め進化させるため、様々な活動を実施。関連する取り組みのひとつが『CXデザイングループ』の設立です。

伊藤氏「当社は、創業時から顧客視点でサービスの設計を行って参りました。2018年に“顧客体験の革新”が経営方針の重点領域となってからは、全社的にCXの向上に取り組んでいます。2019年には私も所属するCXデザイングループを立ち上げ、“ストレスフリー”と“エンゲージメント”の2つをキーワードにCX向上に取り組んできました。

“ストレスフリー”における取り組みでは、利便性や商品スペックなど、機能的価値を追求します。お客様が当社を知ってから契約終了するまでの負担をいかに減らせるかが重要です。一方、“エンゲージメント”に分類される取り組みでは、情緒的価値を追求します。営業職員がいないオンライン生保だからこそ、お客様との接点を大切にし、『ライフネット生命を選んでよかった』と思っていただけるよう適切なコミュニケーションを目指しています」

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ライフネット生命の顧客体験の革新をより一層加速させるために、大きく2つの取り組みを展開しています。1つは、データの活用による顧客の可視化。もう1つは、パーソナライズされたコミュニケーションです。

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伊藤氏「データの活用では、お客様の属性データや行動データ、アンケート結果などの定性データを取得し、インサイトを可視化しています。どんな人が、どんな場面で、どう行動すると、どんな変化が起きるのかを予測します。

予測に基づいて、一人ひとりのお客様に合わせてメール、LINE、接客ツールなどの各チャネルを使ってコミュニケーションします。各チャネルを連携する際の基盤となっているのがKARTEです」

こうした取り組みを進めていく上で、ライフネット生命では社内を横断したタスクフォースを構築。約10名のメンバーのうち、半数ほどが自発的にタスクフォースに参加しているそうです。 社内に限らず、プレイドや開発を行う外部パートナーと共に、社内外を巻き込んで顧客体験の向上に取り組んでいます。

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「顧客体験の革新」を推進する運用体制の構築

タスクフォースのメンバーでもある酒井氏からは、まず顧客体験の革新に向けた「基礎体力」が重要だと語られました。基礎体力とは、運用体制と社内の協力支援体制の2つから成り立ちます。これらの体制を強固なものにするために、一つひとつの施策を地道に積み重ねる必要があると、酒井氏は強調します。

まず、運用体制について以下のスライドを参照しながら、調査、観察に重きを置いた「STPD(See・Think・Plan・Do)」サイクルについて同社の取り組みについて紹介いただきました。

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酒井氏データをうまく活用するためには、まずデータを“見る”ことが大切になります。 なので、いきなり計画をたてるPDCAサイクルではなく、“See”がはじめにくるSTPDサイクルをライフネット生命では重要視しています。

Seeでは、課題の受付を随時行っています。お客様のデータだけでなく、他部署からの企画、相談や不満も拾い上げることが重要です。それが施策にも活きてくるので。私たちは、他部署の積極的な巻き込みを意識して体制を作っています

ThinkやPlanのフェーズにおいては、毎日KARTEメンテナンスを実施していると酒井氏は語ります。

酒井氏「毎日、KARTEの画面と向き合い、多くのメンバーがアップデートしています。データをうまく活用するためには、ツールを使いこなさなければなりません。KARTEを使いこなせるようになるために、体制にKARTEメンテナンスを組み込んでいます」

多様なチャネルでエンゲージメントを高めるための、顧客視点のコミュニケーション設計

こうした体制を土台に、ライフネット生命は顧客とのコミュニケーションを設計しています。マルチチャネルで顧客とコミュニケーションをとっていくのは、迷いが生じやすいもの。複雑になりやすいマルチチャネルでのコミュニケーションだからこそ、原点に立ち返り、シンプルに整理した上で考えることが重要だと酒井氏は語ります。

酒井氏コミュニケーション設計の土台となる、誰に、何を、どうやって、といった基本となる情報をしっかり整理します。それを記録し、どんな仮説をもとにどんな基準を持って、施策を実行したのかをしっかり管理していきます

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同セッションではコミュニケーション設計のなかでも、どのようにコミュニケーションにおけるチャネルを連携させるかにフォーカスして紹介いただきました。

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酒井氏「これまでのわたしたちは、顧客の実態よりも自分たちの仮説に基づくいわば『想像上のコミュニケーション設計』をしていました。開封していないユーザーにLINEでリマインドしたり、各チャネルでコンテンツを統一しようとしたりといったものです。

しかし、想像ばかりを重視してしまうと想定外の出来事が生じた際に社内の担当者が混乱してしまうこともあり、その結果施策のスピードも落ちてしまっていました。これは、会社視点のコミュニケーション設計だったなと反省しています。

大事なのは、お客様に向き合ってコミュニケーションすること。私たちが知り得るのは、お客様のデータなので、データに基づいた体験の設計をしなければなりません。その上で、ブランドとして伝える軸はぶらさず、各チャネルの特性に合わせてコンテンツや頻度を設計するようにしました

データの運用体制を整える「データガバナンス」

顧客視点のコミュニケーションのためには、データをしっかりと見ていく必要があります。酒井氏は、データを活用するためには、データをどのように取得し、どこで活用するかなどを管理する「データガバナンス」が鍵となると言います。

酒井氏「データをどのようにガバナンスするのか。私たちはメタデータ管理と呼んでいます。データの取得目的はなにか、どこで活用するのか、活用する目的は何かなど、データに関して整理してまとめます。

これはコミュニケーション設計と同様、一見当たり前に見えるかもしれません。ですが、これができていないことがあります。これがまとまっていないと、問い合わせが生じたときに『このデータは使っていいのか?』『このデータは誰が作ったのか』といったことがわかりません。

そうすると、施策が回らなくなってしまい、施策が回らないのであればデータを取得しても意味がなくなります。こうならないよう、データの取得目的、活用先や活用目的などをまとめるデータガバナンスは重要です

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これらのデータガバナンスを実現できた背景には、KARTEの存在があると酒井氏は語ります。

酒井氏「データソースはKARTEですし、データの取得目的もKARTEで記載可能です。データの活用先もKARTEからわかります。KARTEというプラットフォームを利用していると、自然とデータガバナンスが実現できるようになっていました。当社もデータガバナンスのための体制は構築していましたが、KARTEの存在が実現を後押ししたと考えています」

ビジネスサイドの課題から潜在的なニーズを汲み取り対応する

ここまで紹介されたような、顧客体験の革新に向けた基礎体力を向上させたことでもたらされた結果についても共有してくださいました。

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酒井氏「行動データだけでは顧客の潜在的なニーズを汲み取るには不足することもあります。クレームやアンケート、行動データからはお客様のインサイトのなかの顕在化しているニーズはわかりますが、ウォンツはわかりません。ウォンツを把握したい場合、コールセンターやバックオフィスなど他部署から不満や相談、課題を拾い上げることも重要になってきます。

一例として、オンラインで申し込みを完了したお客様への接客シナリオのケースを紹介します。オンラインで申し込みいただいた場合、お客様によっては書類の返送等をしていただかないこともあります。ですが、この書類をなかなかお送りいただけないことがありました。

申込完了ページに概要を記載していたものの、ページの滞在時間を見てみると、すぐに離脱されていることがわかりました。書類返送や手続きに気づいていないお客様が多いのではないかと仮説を立て、お申し込み完了後に今後の手続きが印象に残るよう施策を実施しました」

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この施策はシンプルであるものの、申込完了ページの滞在時間は増加し、書類返送率もあがったそうです。結果、書類提出のリマインド工数などの事務手続きの負担も減り、顧客の手間も軽減されました。

社内の不満や課題からCX改善をするために協力体制をつくる

こうした改善ポイントは、社内に生じている不満や課題からも発見されます。これらの情報を社内から集めるには、協力体制が不可欠。そのためには、社内のコミュニケーションの活性化は必須である一方、それを妨げる課題が存在していると重原氏は語ります。

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重原氏「組織が大きくなるにつれて、他の部署が何をやっているかわからなくなる、情報伝達が一方的になってしまうなど、社内コミュニケーションには課題が生じます。これでは社内で協力してCXを改善しようとしても実現は難しくなります」

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こうした社内の課題を解決するべく、ライフネット生命ではインターナル・マーケティングに着手。社内SNSグループをつくり、タスクフォースの企画実行プロセスの発信、メンバーのインタビュー記事、「顧客体験の革新」にまつわる施策などを投稿しているといいます。

重原氏社内コミュニケーションの活性化や、タスクフォースの社内ブランディング、情報の透明性の担保、社員からの意見やアイデア獲得を目的として社内SNSを運営しています。 この社内SNSは、社内の協力支援体制を構築する上でも重要な役割を担っています」

社内SNSグループへの投稿内容に対して、社長からは「それはすごい…!」とコメントをいただいたこともあったそうです。ライフネット生命では、組織全体のコメントを可視化して、社長・役員・社員といった立場関係なく、双方向のコミュニケーションを行うことで、全社一丸となって顧客体験の向上に取り組んでいます。

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社内のコミュニケーションから顧客データの分析まで、地道にCXを改善するためのアクションをとっていく。その積み重ねが顧客に支持される体験を作り出すのだと実感するセッションでした。

ライフネット生命のKARTEの活用についてより詳しく知りたい方は下記からご覧ください。
CVから「顧客視点の課題解決」を志向するチームへ。ライフネット生命の部署を越えたデータ活用の軌跡

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