CX向上のために異なる部門が同じKPIで動く体制に。“顧客を知る” ことから始まったsmartofficeの変化
2021年2月2日から4日まで、KARTEを活用する企業やパートナーのプレゼンテーションを通じてCXを追求するうえでの思考と実践を学べるカンファレンス「KARTE CX Conference 2021」を開催。法人向けのオフィス用品通販サイト「smartoffice(スマートオフィス)」では、「ユーザーを知る」ためにKARTEを導入し、施策を実施することでその重要性を実感していったと話します。また、お客様のサイト上の行動が見られるKARTE Live、外部のデータと連携するKARTE Datahubも用いることで、顧客体験の改善とともに社内の組織体制も変わっていきました。
2021年2月2日から4日まで、KARTEを活用する企業やパートナーのプレゼンテーションを通じてCXを追求するうえでの思考と実践を学べるカンファレンス「KARTE CX Conference 2021」を開催しました。
KARTEを導入していただいている企業をお招きしたセッション「CX Case Study」では、KARTEの活用事例だけでなく、CXを向上するための考え方や取り組みを紹介いただきました。
本記事では、法人向けのオフィス用品通販サイト「smartoffice(スマートオフィス)」を運営するプラス株式会社ジョインテックスカンパニー デジタルイノベーション推進部 伏下拓希氏、西田里穂氏、小川祐樹氏の3名が登壇されたセッションを取り上げます。
カタログビジネスからスタートした同社は、15年前の2006年にECサイトを立ち上げ、「ユーザーを知ること」ができていないという課題から2020年にKARTEの導入に至りました。KARTEによって、どのような変化があったのでしょうか?
“ユーザー軸の情報”が不足、他部署とのデータ連携が課題
オフィス家具や文具、事務用品などの製造・販売を手がけるプラス株式会社。同社のカンパニーのひとつジョインテックスカンパニーでは、サプライヤーから仕入れた商品を販売店に下ろす中間流通サービスを担当しています。
smartofficeはオフィス用品をカタログで選んで注文するカタログビジネスから始まり、販売チャネルのひとつとしてECサイトを開設。現在は、一日に約5,000人のユーザーが訪れています。近年のWebからの購買需要が高まりもあり、顧客満足度を高める必要があると感じていたそうです。
伏下氏「我々のビジネスは、ユーザーとsmartofficeの間にsmartoffice取扱い販売店が入り、担当販売店を通してのお取引となっています。一般的なECサイトとは違い、ユーザーはサイトから直接購入はできず、購入をご希望のユーザーにはまず取扱い販売店をご紹介しています。
smartofficeの価値は、豊富な品揃えと充実した購買支援機能です。15年という期間、地道に運営してきたことで、多くのユーザーにもご利用いただいています。しかし、いまだにカタログビジネスが色濃く残っていたため、Webでの集客に着手できていませんでした」
伏下氏たちはsmartofficeにおけるWebマーケティングにおける課題をどう解決していくか?をミッションに活動を始めてすぐ、運用体制における課題にぶつかります。
伏下氏「smartofficeは、企画部門・商品部門・システム部門の3部門で運用されています。部門ごとにデータを保持していましたが、仕組みとして部門を超えてデータの共有ができていませんでした。また、組織の文化としても積極的に他部門にデータを開示したり、データの提供を依頼をすることもありませんでした 」
当時、社内に存在していた定量データは、Google Analyticsや売上データなど。これらはユーザーの訪問、導線、購入などのユーザー軸のデータはなく、ユーザーの一連のアクションが不明な状態だったと伏下氏は以前の運用体制を振り返ります。
そのような中、ユーザーのことを知るためにはどうしたら良いのか?様々な分析ツールを検討していましたが、ユーザーのセグメント分析や分析をもとにパーソナライズしたアクションがリアルタイムで行えることから、KARTEの導入に至りました。
施策を実施することで、顧客の行動が見えてきた。「知る」ことの重要性を実感
西田氏からはKARTEを導入した後、どのように活用していったのかを共有いただきました。
西田氏「まず、KARTEに慣れようと販売促進したい商品のバナーをトップページに見せる施策を行いました。クリック率や購入率などの数字がふるわず、smartofficeではトップページのバナー表示は、読み飛ばされてしまうことがわかりました。この経験からユーザーに寄り添った形でアクションするべきだとわかった後、いくつかの施策を行いました。
例えば、キャンペーン対象商品を通常料金で購入しようとしているユーザーがいらっしゃった場合、カート画面上で商品がキャンペーン対象であることをポップアップでお知らせする施策を配信しました。この結果、ポップアップのクリック率、購入率などがトップページで表示していた施策よりも向上しました。このように施策を実施しながら、お客様を知る重要性を実感していきました」
その後、よりお客様のことを知るために、KARTE Liveを用いた活動に着手。チームメンバー6名でローテーションして毎日1時間KARTE Liveでユーザーの行動をチェックして、気になった点をドキュメントに一覧化して運用していったそうです。
西田氏「時間帯やユーザーグループはランダムに見ていき、気になった行動をリストに記入、それを元に議論を重ねています。これから、これらの情報を活用しながら、さらなるサイト改善を行っていきたいと考えています。 さらに、顧客がどのようにsmartofficeを使っているのかを知るために、ユーザーダッシュボードで購入ステップのチャートを作成。顧客がどの機能を使って、購入まで至っているのかを可視化しました」
※ユーザーダッシュボード:ユーザー軸で解析したデータをチャートで表示し、クリックして対象ユーザーを絞り込むことができる機能。
西田氏「smartofficeには、一般的な購入方法の他に商品を検索せずに商品コードを入力して直接カートに入れる『クイックオーダー』や頻繁に購入する商品をフォルダで管理できる『マイカタログ』という機能があります。ユーザーダッシュボードを通じて実際にそれぞれの機能がどの程度ご利用いただけているのかを数字で確認した時に、注文履歴やクイックオーダーを利用されている方が2〜3割いらっしゃることがわかりました。
これらの機能が利用されているという肌感覚はありましたが、数字で可視化されたことで私たちが考えていたのと同様か、それ以上に商品を検索せずにカートに入れる機能が重要だと知ることができたのです。 さらに、注文履歴やクイックオーダーからのコンバージョン率は90%以上であることもユーザーダッシュボードからわかりました」
注視すべきデータを統合し、顧客の行動分析や企画立案をよりスムーズに
KARTE Liveやユーザーダッシュボードを通じて、ユーザーを「知る」ために試行錯誤を重ねてきたsmartofficeは、さらに深くユーザーを知るために2020年9月にKARTE Datahubを導入します。
小川氏「KARTE Datahubを導入した理由は2つあります。一つは、社内のデータをKARTEにインポートして、活用できること。もう一つは、KARTEのデータをエクスポートしてデータを加工できることです。
社内データをKARTEにインポートすることでよりパーソナライズの精度を高めた施策を簡単に実施できるようになっただけでなく、KARTEのデータも自由にエクスポートできるため、ほしいデータを簡単に可視化できるようになりました」
smartofficeでは、KARTEでサイト内で起こるクリックや検索などのイベントを計測し、社内データについてはクラウドにCSVを配置して、KARTE Datahubからスケジュールを組み、データの取得を自動で行えるように設定。KARTE DatahubとBIツールを連携させて、毎日分析データをエクスポートする設定をすることで、簡単にサイトの状況がわかるようになったそうです。
小川氏「smartofficeを運用・改善する中で、注視するべき平均購買単価・訪問者数・コンバージョンの3つの指標が以前は簡単に取得できていませんでした。KARTE Datahubの導入によって、自動でレポートにできるようになり、先週や先々週と比較してどのように指標が推移しているのか簡単に確認できるようになりました。『数字の変動はどうか』『変動がある場合は、販促施策による効果なのか』など、レポートを見ながら目標を立てるようにしています」
KARTEのデータをKARTE Datahubにまとめてレポートを簡単にしただけではなく、KARTE DatahubのデータをKARTEに送信することで顧客へのコミュニケーションも改善されていると言います。
小川氏「smartoffice上ではお客様ごとの細かいデータが蓄積されていたのですが、以前はそれがうまく活用できていませんでした。KARTE Datahubを経由することで、利用頻度の高いユーザー情報がsmartofficeからKARTEに自動送信されるようになり、より詳細で柔軟なセグメントを効率よく設定できるようになりました。現在は、以前よりもさらにパーソナライズした企画が可能になり、お客様に合わせたコミュニケーションをとれるようになっています」
顧客体験の向上を目指し、異なる部門が同じKPIで動く体制へとシフト
KARTEとKARTE Datahubを活用し、「ユーザーを知ること」に注力してきたsmartoffice。一連の取り組みは、期待していた顧客体験の向上や収益貢献への手応えも感じているといいます。
小川氏「顧客体験の向上については、ユーザーを知ることによって、UIの改善や機能の追加、お客様の行動に合わせた施策の実施によって、実現できているのではと考えており、実際にお客様の反応もよくなっていると感じています。
収益への貢献については、まだ明確な数値は出せておらず今後の課題でもあるのですが、細かいセグメントに合わせて施策を実施できるため、確実に機会損失を防げていると感じています」
KARTEの導入によって、外部ベンダーに依頼しないと実現できなかったことが、社内対応可能になり、開発コストの削減にもつながったと語る小川氏。ここまではKARTEの導入によって期待していた通りの効果でしたが、期待以上の効果も生まれたそうです。
小川氏「冒頭の話の通り、以前はそれぞれの部署が別々に動いていましたが、現在は顧客体験を向上するという目標のために、同じKPIで動く体制ができてきています。商品・システム・企画部門が集まり、週1回の定例ミーティングを行うようになりました。デジタルマーケティングについての意見交換や課題の共有、KARTEを使った施策を一緒に考えるなど、連携したマーケティング戦略の実行が可能になったんです。
他部署を巻き込んだ、これまでにはない組織体制が生まれ、顧客体験にとどまらないメリットも得ることができましたね。今後は、加速的に施策を運用していけると考えています。これは、KARTEが浸透しているからこそ実現できたこと。今後は、三部門が一体となった協力体制で、KARTEを使ってさらなる顧客体験の向上が可能になると考えています」
セッションの総括として、小川氏は「KARTEを導入した後に、顧客を知る大切さに改めて気づき、KARTEやKARTE Datahubを通じて顧客を知ろうと試行錯誤してきた結果、組織体制へのアプローチが重要」と語りました。
ユーザーを知ることにこだわった結果、顧客体験やその結果として収益への貢献、そして他部署との連携など、KARTE導入によって様々な成果が生まれているsmartoffice。他にもカスタマーセンターではKARTE Liveを活用し、スムーズかつ丁寧な対応を実現しています。カスタマーセンターの事例については、下記からご覧ください。
https://cxclip.karte.io/practice/plusjointexcompany-case01/