パルクローゼットのKARTEチームはいかにして生まれたか。社内に顧客視点のマインドを広げるために必要なこと

パルクローゼットでKARTEの活用を牽引してきた名嶋さん。社内に活用を広げるためにチームを結成し、顧客データの分析や施策の仮説検証を行っています。名嶋さんにチームでの活動を軌道に乗せるまでのプロセスやヒントを伺いました。

レディースファッションにとどまらず、メンズやキッズ、雑貨など、およそ50以上のブランドを手がける株式会社パル。自社EC「PAL CLOSET(以下、パルクローゼット)」ではKARTEを導入し、サイトやアプリの体験向上に取り組んできました。

KARTEの活用を牽引してきたのは、WEB事業推進室の名嶋恵佑さん。施策の細かなカスタマイズや「KARTE Datahub」を用いたデータ分析や活用も行うなど、KARTEの機能を使いこなしています。

パルクローゼットの体験価値をさらに高めるには、より多くの人がKARTEを活用することが必要だと考えた名嶋さん。WEB事業推進室から、7名のメンバーを集めてチームを結成し、顧客データの分析や施策の仮説検証、実践からの学びの共有を行っています。

どのように周囲へ働きかけてメンバーを集め、活動を軌道に乗せていったのでしょうか。結成までのプロセスを伺いながら、KARTEを生かすチームビルディングのヒントを探ります。

ポップアップを出して終わりではもったいない!

はじめに、名嶋さんの担当業務とKARTEの活用歴を教えてください。

パルクローゼットのPR施策やUIの改善、サイトでの施策の企画運用が主な業務です。

KARTEは2016年ごろから使っています。使い始めた頃は、新卒2年目で“ECという言葉すら知らない”状態でしたが、施策のカスタマイズに必要なHTMLやCSSを学んだり、データ連携のためにSQLの基礎をインプットしたり…。KARTEを土台として、WebマーケティングやECの知識を身につけてきました。そのうち社内で一番KARTEを使っている人になっていました。

「EC」という言葉すら知らない状態でEC担当への配属。パル名嶋さんに聞くEC担当としての成長の軌跡

チームでKARTEを活用しようと考えた背景は?

パルクローゼットでは、サイトのトップページとブランドごとのページで、担当が分かれています。前者で行うブランド共通施策なら、私だけでも事足りていたんです。

ですが、ブランドによって顧客層もライフスタイルも違いますから、本来はブランドのページでも、担当者が顧客のことを考え、施策を行えたらいいなと常々思っていました。

Screenshot 2023-07-20 at 19.22.03

パルの運営する「パルクローゼット」のトップページ

チームで活用を推進するために、まず何から取り組みましたか?

まず、2017年に一度だけ勉強会を開きました。KARTEでポップアップを設定するための機能を紹介するような内容でした。コピー&ペーストしたら誰でも設定できるような資料を用意して共有したので、見よう見まねで施策を実装してくれる人もいました。

ただ、この使い方は何か違うのではないか、もったいないのではという思いがありました。

s-cxlp 15659

具体的に、何がもったいないと感じていたのでしょうか?

KARTEには、お客様を知る機能が豊富にあるのに、「知る」をせずに、とりあえずページにポップアップを出すだけ、といった使い方にとどまっていたからです。

また、サイトやアプリでお客様にコミュニケーションを図るにあたって、ポップアップを出すことが、常に最適解なわけではありません。KARTEでは他にも多数のアクションを実装できるのですから、もっとニーズに合わせて、いろいろな施策を行えるようになるといいなと感じています。

とはいえ、当時は今よりもKARTEの知見に自信がなかったですし、割くことのできるリソースにも限界があり、しばらくチームでの活用は諦めていたんです。

KARTEの活用に大切なのは「お客様を知りたい」という気持ち

諦めていた状態から、どのように再び活用を広げていったのですか?

KARTEの活用にも一定自信がついてきたタイミングで、プレイドのカスタマーサクセス担当の佐瀬さんに、どういう機会をつくればいいかと相談しました。単に施策をコピー&ペーストするのではなく、自分で仮説を立て、自分で施策を実行できるようになってほしいと伝えたのを覚えています。

検討の結果、KARTEの基本機能を学ぶ勉強会に加えて、n1分析(一人のユーザーの行動を詳しく分析し、ニーズや課題を深掘りする手法)を実践するワークショップを行うことになりました。最初の勉強会を踏まえて、まずはお客様を知ることから始めてもらおうと考えたからです。

基本機能の勉強会はWEB事業推進室のメンバー全員に参加してもらい、n1分析のワークショップは活用に関心の強いメンバーを有志で集め、実施することになりました。

他の業務もある中、参加するメンバーを集めるのは大変ではなかったですか?

あまり難しくなかったですね。KARTEに一定興味のある人は部署内にも多かったのだと思います。

また、参加のハードルを下げられるように「興味があれば、やってみませんか?」くらいの軽いトーンのメールを送ったのも功を奏したかもしれません。KARTEを使いこなすためには「お客様を知りたい」という気持ちが一番大事だと思っているので。頭の良さやデジタルツールへの慣れが理由でハードルを感じ、参加を躊躇う人がいないようには気をつけました。

ワークショップは、具体的にどのような内容だったのでしょうか?

まずどのように一人の行動を分析し、仮説を立て、施策に落とし込むのか、具体例とともにレクチャーしてもらった上で、参加したメンバーにも、それぞれの業務に関連して、お客様の分析や施策立案を行ってもらう形式です。全4回だったのですが、追加でもう1回開催が必要になるほど、議論が盛り上がりました。

s-cxlp 16095

顧客視点で施策を実践、学び合うコミュニティに成長

ワークショップから、どのようにチームの結成につながったのでしょう?

明確に区切りがあったというよりは、ワークショップの盛り上がりの延長線上で、施策の検証結果のシェアや施策のアイデア発散の時間が続いているような形です。一ヶ月に一度、定例を開いて、それぞれが進捗や相談、学びを持ち寄っています。

厳しく進捗を管理しているわけではないですが、一ヶ月に一度は、何かしら定例に持って来られるように、それぞれがしっかり仮説検証を進めます。他の業務もありますし、KARTEの活用一辺倒にならないよう、バランスを取りつつ活動しています。

名嶋さんからフィードバックやアドバイスをすることもありますか?

もし聞かれたら、使い方や気をつけるポイントをシェアすることはありますが、頻度はそこまで多くないですね。正直にいうと、チームを“リードしている”という意識もあまりないんです。

というのも、チームのメンバーは、それぞれ異なるブランドのお客様と日々向き合い、施策を検証しているからです。私が教えるというより、メンバー同士で学び合うことのほうが多いんです。僕自身が「こういう使い方があるのか」と驚かされることも少なくありません。

チームでありつつ、互いの実践から学ぶコミュニティのようでもあるのですね。

そうですね。最近では、チーム外のメンバーから「KARTEでこういうことできる?」と聞かれる機会が増え、活用の輪がチーム外にも広がっていく兆しを感じています。今後はより全社的な動きにしていきたいですね。

活用の初めの一歩は、“お客様を知る”ことから

そのほかに、今後のチームとしての展望はありますか?

一つは、これまでも多様な施策を実践してきているので、それらの成果や気づきを、誰もが参考にできる形にまとめていきたいですね。少し前から「課題」「行動」「結果」のように共通のフォーマットで事例を蓄積し始めています。

また、KARTE Datahubをチームでもっと使い倒したいですね。僕自身、KARTE Datahubを触り始めて、データを統合したことで、より顧客を「知る」こと、「合わせる」ことができるようになりました。「KARTEってこういうことなのか」と理解がさらに深まりました。チームでも活用して、理解を深めていきたいです。

あとは、アプリのお客様の行動分析にあまり手が回っていないので、分析基盤の構築や必要なスキル習得も進めていく予定です。

最後に、以前の名嶋さんのように、チームでのKARTE活用に課題を抱える人にアドバイスはありますか?

やはり、いきなりツールを使わせようとするとダメなんだろうなと思います。KARTEには、お客様を知る機能が豊富にあるじゃないですか。それらを使って、お客様の今の状態を知るのが、絶対に先です。そうしないと何から着手したらいいかわからない。

逆に言えば、最初の知るところをしっかりやれば、みんなお客様のために何かやりたくなる。埋めたくなる穴のようなものが見つかると思うんです。KARTEはお客様のために「やりたいこと」があったほうが絶対に使いやすいツール。ぜひ知ることから、始めてみてほしいです。

ありがとうございました!

では、実際にチームはどのように活動し、成果や手応えを感じているのでしょうか。後編では、チームメンバーの皆さんに、チームへの参加理由やKARTEで施策を行う中での気づき、活動を通した変化を語り合ってもらいました。

SHARE