空港のような親しみやすさをオンラインでも。どのようなお客様にとっても使いやすいサイトを目指す(ソラシドエア様)
株式会社ソラシドエアでは公式ホームページにKARTEを導入し、空港と同様にお客様一人ひとりに合わせたコミュニケーションをとりたいという想いから、KARTEで様々な取り組みをされています。2020年7月には、ホームページ上でお客様が書いた願い事を笹に飾る「オンライン七夕」を実施、双方向のコミュニケーションを実現。KARTEの活用方法や取り組み、その背景にある想いについて話を伺いました。
2002年8月に宮崎~東京(羽田)線に新規参入し、九州・沖縄を中心に国内定期便を運航している航空会社ソラシドエア。現在では、毎日14路線78便を運航し、公共交通機関としての役割に加えて、九州や沖縄の魅力を発信や、地域貢献・地域活性化にも尽力しています。
同社では公式ホームページにKARTEを導入し、空港と同様にお客様一人ひとりに合わせたコミュニケーションをとりたいという想いから、KARTEで様々な取り組みをされています。コロナ禍でお客様との接点が減っていた2020年7月には、グランドスタッフの提案で、ホームページ上でお客様が書いた願い事を笹に飾る「オンライン七夕」を実施、双方向のコミュニケーションを実現しました。
今回は、グランドスタッフを経験後、ホームページの運用担当になった桜井里奈様、営業本部の井口朋香様、吉田和希様、ソラシドエアと二人三脚でKARTE運用を担当しているスパークジャパンの小田佳輝様にKARTEの活用方法や取り組み、その背景にある想いについて話を伺いました。
お客様に合わせて情報を伝えるために、顧客をより詳しく知りたい
はじめに、ソラシドエアの事業内容について教えてください。
井口:私たちは宮崎県宮崎市に本社をおき、お客様とのお約束であるブランドプロミス「空から笑顔の種をまく。」のもと、航空輸送事業を行っています。その他、九州・沖縄を中心に地域に密着した取り組みにも力を入れ、より一層地域とのつながりを大事にしていくために「ローカルプライド」という言葉を社内で掲げ地域への想いを共有しています。 地域に根ざした事業をさらに展開できるよう、社員が一丸となって体制の強化に励んでいます。
例えば、機体を活用し自治体のPRを行う「空恋(そらこい)プロジェクト」、移住希望者と地域の出会いをつくる「移住ドラフト会議」への社員参加や、七夕に合わせてお客様からのお願いごとを募集し、特設ページ上の笹に短冊を飾るイベント「オンライン七夕」など、オンライン、オフライン両方で様々なイベントを行っています。
これらの取り組みのなかには、現場で働く社員のアイデアがきっかけではじまったものもあり、地域への愛着が体現されつつあります。
お客様との接点として様々な取り組みをされているのですね。そのなかで、オンライン上でどのような体験を実現したいと考えられているのでしょうか。
桜井:航空券は頻繁に買うものではないので、可能な限りどのようなお客様にとっても分かりやすく使いやすく、オンライン上でも親しみやすいと感じていただけるようにすることが大切だと思っています。それが、他社との差別化にもつながってくると考えています。
そのためには、オンラインでも空港カウンターと同様に、お客様一人ひとりのニーズにあわせて、接客をする必要があります。 対面で接客をする際は、お客様の表情や話しぶりから、どのような情報を求めているかを把握して、それに合わせたコミュニケーションをとることができますが、オンライン上では対面と同じようにコミュニケーションを行うのは難しいと感じていました。
営業本部 営業部セールスマーケティング課 桜井里奈様
なぜならば、オンラインでは対面のようにお客様一人ひとりを深く知ることができないからです。これまでもホームページにどのくらいの人が流入しているのか、どのような属性なのかといった定量的な分析はできていました。ですが、サイト全体の傾向はわかっても、一人ひとりについては知る術がありませんでした。
そのため、来訪されたお客様に対して、ソラシドエアが伝えたい情報を一方的に、誰に対しても同じように伝えていくことしかできませんでした。この状況を変えるために、お客様をより深く知り、お客様に合わせたコミュニケーションを取ることが重要だと考えました。
小田:私たちがホームページの運営支援をさせていただく中で、桜井さんと 「ホームページに来てくれているお客様がどんな人かわからないですね」 という話をよくしていました。
アクセス解析で得られた数値情報をもとにお客様像の仮説を考えていましたが、裏付けができず、いくら議論を重ねても、数字からはお客様の考えていることが見えてこなかったのです。よりお客様を知るために、KARTEの導入をご提案しました。
誰がどのように情報を得ているかを知り、ホームページの改修に活かす
顧客を「知る」ことに重きをおいて導入を検討されたんですね。どのようにKARTEを活用し、顧客への理解を深めているのでしょうか。
桜井:ホームページの改修の際に活用することが多いですね。KARTE Liveを活用するまでは、ページの中の課題が見え難かったため、流入元の改善に注力してしまい、ページについてはどのように対応することが効果的かがわかりませんでした。
KARTE Live※1やユーザーダッシュボード※2では「お客様はどのように行動されたか」を属性や行動ごとに絞って見ることができるので、新しい施策への示唆を得ることができます。特に、デザインの方向性を決めるときやページ内の情報に過不足がないかを確認するときに重宝しています。
例えば、運賃を訴求するページをリニューアルした際には、ユーザーダッシュボードで、閲覧している方の特性を把握しました。 購入の年齢層やホームページへの来訪頻度、デバイス比など。それにあわせて、ページ全体の印象やデバイスの優先度などを検討しています。
KARTE Live※2では「お客様が何を考えてページを見ているか」の仮説、例えば「最安値がいつなのかを知りたいのだろう」「運賃の一覧が表示されていたら、クリックしたくなるのではないか」を考えながら、該当ページ上での動画を見ていきます。
ホームページを使い慣れていない、来訪回数が少ないお客様の動画を見ることが多く、スクロールやカーソルの動きから何を注視しているかを把握し、そのページでどのような情報を求めていて、どのように購入まで至りたいのかを観察して、導線を設計していきます。
ユーザーストーリー※3では、リニューアルするページの前後にどのようなページを閲覧しているかを見ることで、他にどのような情報を見て検討しているかを知ることができています。例えば、マイレージ会員の方向けのキャンペーンページを会員ではない方が見ていたことがわかったので、キャンペーンページに会員のメリットなどが記載されているコンテンツへ誘導するといった施策を実施したこともあります。
小田:特にKARTE Liveは、動画でお客様の動きを再現されるため、数値では測れない、お客様の行動の裏に潜む感情を想像しやすくなりますね。 「お客様がつまずいて困っていることはなにか」をより理解できるようになり、改善を重ねられるようになっています。
※1KARTE Live:顧客のサイト上の動きを動画で見られるプロダクト(詳細はこちら)
※2ユーザーダッシュボード:サイトに訪問している顧客全体の傾向をグラフやチャートなどで確認することができる機能(詳細はこちら)
※3 ユーザーストーリー:顧客のセッションをまたいだ来訪ログと、来訪時に発生したイベントのタイムラインを見ることができる機能(詳細はこちら)
右・スパークジャパン Webマーケティングソリューション部 CXグループ 小田佳輝様
顧客の行動を知っていくなかで、なにか得られた気付きはありますか。
桜井:あるとき、スマートフォンサイトでカード式のポップアップを2パターン出し分けたことがありました。ひとつは画像だけのシンプルタイプで、もう一方はビジュアルと文言を出していて画面専有面積が大きなものでした。数値で結果を確認したところ、後者の方がクリック率がよいと出ました。
KARTE LiveやKARTEのユーザーストーリーでお客様の行動を確認すると、クリック率の高かった後者のポップアップが「邪魔になってしまっている」とわかりました。 ポップアップ上の「OKボタン」は確かに押されていましたが、ページに遷移した後で、すぐに元のページに戻るケースが多かったのです。数値として得た結果が必ずしも正しいわけではないことを学びました。
このことを機に、ポップアップの表示ルールを変更しました。そのため、現在ではポップアップは必ず、PCとスマートフォンで表示形式を変えています。
表示イメージ
数値だけでなく、実際の行動を見ることで顧客の解像度があがり、施策を改善できたんですね。顧客からの反応に変化はありましたか。
桜井:航空券を購入いただくためには、まず「路線を検索」して「運賃を閲覧」していただくことが重要です。KARTEやKARTE Liveを活用して改善していったページでは、路線や運賃を検索していただくことが130%ほど上昇しました。それに伴い航空券を購入されるお客様も増加しました。
KARTEのアンケート機能を活用し、オンラインで七夕イベントを実施
顧客への理解を深めるだけでなく、KARTEを活用して顧客とのコミュニケーションを実現した例もあるそうですね。
吉田:グランドスタッフとして働いていたときに、七夕に合わせて「オンライン七夕」というオンラインイベントを実施しました。七夕イベント自体は以前から空港で行っていて、カウンターの前に笹をおき、お客様に願いごとを書いていただいた短冊を飾っていました。コロナ禍で非接触が推進される中、今年も七夕イベントをしたいと思い、オンラインでできる方法を模索しました。
営業部に相談すると、KARTEのアンケート機能を使って、お客様から願いごとを集め、空港カウンターで飾っていた七夕の笹と近いものをホームページ上で実現できることがわかったため、営業部の協力を得て実施しました。
リアルなコミュニケーションをより再現したかったので、オンライン上で集まった願いごとは特設ページに掲載するだけでなく、空港カウンターでも実物が見られるようにグランドスタッフが一つ一つ願いごとを代筆し、笹に飾りました。
願いごとを投稿したユーザーに対し、代筆された短冊の写真を「オンライン七夕」のホームページ上で表示
顧客からの反響はいかがでしたか。
吉田:約700件ほどの願いごとを短冊に飾ることができました。願いごとには「コロナの影響が落ち着いたら九州のあそこに行きたい!」といったものから、「コロナ禍でも、ソラシドエア頑張って!」などもありました。
普段からお客様と接してはいるものの、弊社に対する思いを知る機会はあまりなく、私たちにとっても貴重な体験になりました。 また、その後、同じ仕組みを使って、「オンライン初詣」も行いました。
営業本部 井口朋香様(左)オンライン七夕の企画をした吉田和希様(右)
オンラインでも顧客のニーズを汲み取り、空港での接客に近づけていきたい
お話を伺い、御社の顧客と向き合う姿勢が顧客との絆を作り出しているのだと感じました。今後はKARTEを活用し、どのような体験を作っていきたいですか。
桜井:もっとお客様一人ひとりにあった体験を提供していきたいです。 例えば、航空券を探すときに、運賃金額を元に探す方もいれば、ご搭乗日が決まっていて、とにかく早く検索したい方もいる。ホームぺージでもお客様それぞれの目的に合わせた情報を提供できるようにしたいと考えています。
空港での接客経験から、現状のホームページでも8割の方は十分に使えているかもしれないですが、2割の方にとっては使いにくくなっている可能性があると思っています。多くの方が満足できているから良しとするのではなく、2割の方にとっても良い体験を提供したいです。
ポップアップは接客として実施しやすいのですが、プレイドさんのセミナーでお話しされていた 施策に見えない「自然な接客」というのを弊社でも少しずつ実現し始めています。「接客に見えない接客」をより深化させるために、KARTE Blocks※を使ってページ全体をそれぞれに合わせて出し分けをしたいと思っています。また、ホームページ上で困っているお客様にKARTEのウェブチャットでお声掛けして助けるなどして、ホームページでも空港カウンターでの接客と同様に、目の前のお客様一人ひとりに向き合うコミュニケーションを実現できたらと思います。
※4KARTE Blocks:サイトをブロックの集合体として捉えてブロックごとに更新・管理ができ、分析、ABテスト、パーソナライズまで、ワンストップかつノーコードで誰でも簡単に行うことができるプロダクト(詳細はこちら)