用語解説

リードナーチャリングとは?顧客と中長期的な関係を築くプロセスを解説

見込み顧客との中長期的な関係構築を目指すリードナーチャリングは、マーケティングの重要なプロセスの一つです。BtoBマーケの観点から解説します。

資料請求した直後から毎日のようにメールが届くようになった。展示会で名刺交換した企業から、その時の会話内容と合わない営業電話がかかってきたーー皆さんは企業からのアプローチで、このような残念な経験をしたことはないでしょうか。

企業と顧客が、継続的な関係を構築する場面が増えてきました。しかし、企業側が一方的にメッセージを発信するだけでは、顧客との良好な関係は築けません。点ではなく、線で関係を捉え、関係をより深いものにしていくためのプロセスや手法が重要となってきているのです。

見込み顧客と中長期的な関係を築くことを目指すリードナーチャリングは、マーケティングの重要なプロセスの一つです。今回は、リードナーチャリングの特徴やステップをBtoBマーケティングの観点から解説します。

顧客に選ばれる関係性を作るリードナーチャリング

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リードナーチャリングとは、会社の商品やサービスに関心を示した見込み顧客(リード)を育成(ナーチャリング)し、契約・受注、購入の意思決定に結びつけるマーケティングのプロセスのことを指します。

リードナーチャリングは、見込み案件の創出や発掘をおこなう活動全般を指す「デマンドジェネレーション」の一部です。デマンドジェネレーションとは、以下の3つのステップで構成されています。

  • リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)
  • リードナーチャリング(見込み顧客の育成)
  • リードクオリフィケーション(商談候補の抽出)

これらのステップを踏みながら、顧客とつながりを作り、企業側が提供するサービスや商品に対しての情報を伝え、ときに顧客のニーズを把握し、必要なタイミングに応じてアプローチするなど、顧客の需要に向き合います。

その中核となるリードナーチャリングは、BtoCとBtoBの両方に用いることができます。特に、BtoBのような契約・受注、購入までに意思決定のプロセスが多い、かつ検討に長い時間を要する商材で用いられます。B向けや、高価な商材は、検討期間が長く、かつ中長期的な関係構築が欠かせないため、リードナーチャリングが重要です。

また、リードナーチャリング自体はマーケティングのプロセスですが、営業活動にも大きな影響を与えます。これまでの営業手法においては、すぐに成果が出にくい見込み顧客のフォローまで営業が担当するのは、多くの人手が必要なため難しい状態でした。

リードナーチャリングでは、顧客にとって有益な情報をメルマガ、ホワイトペーパー、セミナー案内、Webコンテンツなどの形式で、適切なタイミングで提供しながらコミュニケーションをとっていきます。そうすることで、今まで難しかった見込み顧客のフォローもマーケティングプロセスで担うことができるようになりました。

リードナーチャリングがもたらす効果

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リードナーチャリングは、企業にとって様々なメリットがあります。では、リードナーチャリングがもたらす効果には、どのようなものがあるのでしょうか。

既存の顧客リストを有効に活用

資料請求やお問い合わせ、セミナーへの参加があったものの、その後の商談には至らず、コミュニケーションを終了した「休眠顧客リスト」。リードナーチャリングでは、自社と一度でも接点があった顧客に対してもアプローチするので、休眠顧客リストを有効活用できます。

顧客との良質な関係構築

リードナーチャリングでは、見込み顧客に必要な情報を、適切なタイミングで届けます。従来のマーケティング活動では、企業が一方的に情報を伝えるケースもありました。今、必要なのは顧客に対して真摯に向き合い、顧客にとって有益な情報を提供していくことです。顧客に必要な情報を提供していけば、信頼を獲得することにもつながります。

見込み顧客にアプローチしながら、営業コストを削減

従来の営業活動では、顧客がどんな状態なのかを詳細に把握できておらず、受注確度が低い顧客に対して営業するケースもありました。リードナーチャリングによって、商材への関心と購入意欲が高まっているタイミングで営業にバトンタッチできれば、確度の高い商談が実現でき、時間とコストを効率化できます。

リードナーチャリングを実践するためのステップ

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リードナーチャリングの特徴などを理解したら、具体的に実践するステップを把握しましょう。

そもそもリードは、問合せや資料請求、展示会などの獲得経路、過去の商談の有無、現在の検討度合いなど様々な条件が組み合わさって存在しています。そのため、それぞれのリードに合わせた個別のアプローチをしていくことが、リードナーチャリングを実践するためには大切です。

①リードの情報を整理する

まず、デマンドジェネレーションの最初のステップである「リードジェネレーション」で獲得した見込み顧客の情報を整理し、集約していきましょう。名前や企業名、役職、メールアドレス、課題感など、今後顧客とコミュニケーションを取る際に必要な情報を整理していきます。

ここで、顧客との関係を管理できるCRM(顧客関係管理)ツールを活用すれば、顧客情報の整理、蓄積だけでなく、どのような検討フェーズなのか、商談した際の履歴の管理や条件に応じた情報の抽出などもより簡単になります。

関連記事:顧客との関係性をマネジメントする「CRM」とは?知っておきたい活用法と注意点

②ターゲットを設定する

リード情報を整理できたら、全リードに対して同じコミュニケーションを取っていくのはなく、アプローチしていくターゲット設定を行います。このターゲット設定方法は主に2つあります。一つは顧客行動によって分ける、もう一つは顧客属性によって分ける方法です。

顧客行動による分類は、顧客の行動に製品やサービスに対する顧客の関心度合いが反映されていると考えて、休眠顧客、商談をしても成約に至らなかった顧客、検討中の顧客など、顧客が成約に至るまでのステップによって分ける方法です。

この分類には、見込み顧客の認知や購入の検討などのフェーズをモデル化する「ファネル」の考え方が有効です。

関連記事:購入後の顧客体験が鍵となるファネルとは?分析のステップも解説

もう一方の顧客属性による分類は、業態や役職、部門などの属性に絞ってセグメンテーションしていく方法です。

関連記事:セグメンテーションとは?ニーズや属性ごとに顧客をグループ分けする

このリードを分ける作業によって、注力するターゲットの決定、提供する情報の出しわけ、アプローチ方法の精査などにも繋がります。

③顧客のニーズを把握する

ターゲットが設定できたら、そのターゲットに合わせたナーチャリングをしていくために、顧客のニーズを把握しましょう。行動データやアンケート等から顧客のニーズを把握することも可能ですが、手元にデータがないときはカスタマージャーニーを参考にしましょう。

カスタマージャーニーを作成することで、顧客が製品やサービスの購入に至るまでの各段階でどのような行動、思考、感情になるのかを予想できます。これによって、セグメントごとの最適なアプローチ検討に役立つのです。

関連記事:カスタマージャーニーとは?効果的なマップ作りのために知っておきたいこと

④セグメントごとに伝えたい内容とコンテンツを考える

それぞれのセグメントごとにニーズが把握できたら、自社が伝えたい情報と顧客がすでに持っている情報とのギャップを埋めるためのコンテンツを考えます。

例えば、商品やサービスがどのような場面で役立つかを知ってもらうためには、導入事例を記事やホワイトペーパーで紹介します。実際に体験したいというニーズがあるのであれば、体験会やセミナー等が有効です。

関連記事:ホワイトペーパーを活用するには?顧客の信頼を得るために気をつけたいポイント

⑤顧客にあったチャネルを決定する

顧客に対して伝えるべき内容が決まったら、コミュニケーションするためのチャネルを決定します。チャットやメールマガジン、プッシュ通知、電話等の手段を用いて、準備したコンテンツに触れてもらうようにコミュニケーションしましょう。

顧客のフェーズに適した情報を配信して購買意欲を高めるために、MAツールが活用できます。このように様々なアプローチ方法を通じて、顧客のサービスや商品への検討度が上がってきたら営業チームへバトンタッチし、商談設定などを行っていきます。

関連記事:メールマガジンで顧客との関係性を築く!メルマガ配信のポイントと事例も解説
マーケティングオートメーション(MA)のメリットと導入のポイントとは?

⑥効果を測定する

リードナーチャリングによって、顧客に影響を与えられたのかどうかを計測していきましょう。どの数値をどう計測するかは、アプローチ方法によって変わってきます。

たとえば、Webの記事であれば、クリック率やCVRを計測。メールであれば、開封率やメールに仕込んだリンクのクリック率など。オフラインの展示会やセミナーでは、参加率や商談数などがあります。また、全てのチャネルにおいて商談設定率や受注率などもみていくことも大切です。

リードナーチャリングの実践例

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営業・営業企画部門での具体的な KARTE の活用方法より

リードナーチャリングを実践するためのツールとして、CXプラットフォーム「KARTE」を紹介します。KARTEを使えば、見込み顧客の発見からリード獲得、ナーチャリング、商談整理まで顧客との接点を最適化できます。

KARTEを活用して可能になるリードナーチャリング施策の一部をご紹介します。KARTEを使うことで、リードナーチャリングのステップを効率よく実践できます。

  1. 顧客の属性に合わせたセグメントと属性にあったシナリオへの誘導
  2. 検討フェーズや企業情報、役職などを加味したスコアリング
  3. 顧客に合わせたアプローチの実施

参照:営業・営業企画部門での具体的なKARTEの活用方法

リードが抱えている不安を解消するコミュニケーションを

リードナーチャリングは、顧客をより深く知り、顧客のために必要なコミュニケーションを行う手法です。顧客視点を意識して、顧客と良い関係を築いていきましょう。

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