顧客を知るほど、マッチングは変わる。プラットフォーム/マッチング型サービスに見る顧客体験設計

求人・不動産・比較・予約サイトなどのプラットフォーム/マッチング型サービスでは、検索や閲覧、問い合わせといった同じ行動でも、その背景にある目的やニーズ、検討状況は顧客によって異なります。本記事では、レバレジーズ「キャリアチケット就職」、KG情報「賃貸スタイル」、エス・エム・エス「ウェルミージョブ」の3社の事例から、行動の背景を理解し、コミュニケーションや事業成果につなげる考え方を紹介します。

求人を何度も見ている。お気に入りに保存した。プロフィールの入力途中で離脱した。問い合わせをした。

求人・不動産・比較・予約サイトなどのプラットフォーム・マッチング型サービスでは、検索や閲覧、保存、問い合わせといった、さまざまな顧客の行動を捉えることができます。

では、その行動から、顧客が「なぜそうしたのか」まで理解できているでしょうか。

たとえば、入力途中で離脱した人は、登録する意思がなくなったのか。それとも、入力方法がわからず迷っているのか。問い合わせをした人は、すぐに具体的な検討を進めたいのか、それとも、まずは情報を集めたい段階なのか。

同じように見える行動でも、その背景にある目的や迷い、検討状況は一人ひとり異なります。

行動データは、顧客を理解するための「答え」ではなく、「手がかり」です。

その前後の行動や顧客情報も含めて捉えることで、「なぜその行動をしたのか」「どのようなニーズを持っているのか」「今どのような状態にあるのか」といった顧客への理解を深めることができます。

本記事では、株式会社レバレジーズ「キャリアチケット就職」、株式会社KG情報「賃貸スタイル」、株式会社エス・エム・エス「ウェルミージョブ」の3社の事例をもとに、プラットフォーム/マッチング型サービスにおける顧客理解とコミュニケーションの考え方を紹介します。

この記事でわかること
01|行動データから、顧客の「なぜ」を捉える視点
数値や行動を結果として見るだけでなく、その前後の行動から背景を考える
02|行動だけでは見えない、背景やニーズへの理解を深める方法
顧客への問いかけなどを通じて、行動の裏にある事情やニーズを捉える
03|顧客理解を、次のコミュニケーションに反映する考え方
顧客の状態を捉え直しながら、届ける内容・タイミング・チャネルを考える

入力途中の離脱から「なぜ」を捉え、プロフィール入力率を向上

レバレジーズ|「キャリアチケット就職」

【事例サマリー:キャリアチケット就職】
・課題・行動: プロフィール入力率が伸び悩むなか、入力途中で離脱するユーザーの行動に着目。
・背景・状態の理解: プロフィール入力時の行動と離脱のタイミングを分析し、自由度の高い項目では何を記入すべきかイメージしづらく、入力のハードルになっていると仮説。
・施策: 入力ページで記入例を提示し、入力内容をイメージしやすいように設計。
・成果:プロフィール入力率が大きく向上。関連施策では「強み」の入力完了率が約10%向上。

数値を見れば、「どこで問題が起きているか」を把握することはできます。しかし、その数値だけでは「なぜそれが起きているのか」まではわかりません。

新卒向け就職支援サービス「キャリアチケット就職」では、「プロフィール入力率が向上しない」という課題に対し、ユーザー一人ひとりの行動を分析。アカウント登録後、プロフィール入力のどのタイミングで離脱しているのかを確認しました。

分析の結果、特に「自己PR」など記載内容の自由度が高い項目で離脱が多いことが判明。そこから、「何を記入すればいいかイメージできず、入力のハードルになっているのではないか」と仮説を立てました。
そこで、入力ページを訪れたユーザーに対して入力例を提示。自由度の高い項目でも記入内容をイメージしやすいよう体験を設計したことで、プロフィール入力率は大きく向上しました。

また、同社が公開している関連施策では、自己PRの「強み」に入力例を提示した結果、未実施時と比べて 入力完了率が約10%向上 し、プロフィール全体の入力率も改善しています。

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プロフィール画面で入力例を提示する施策のイメージ
引用:CX Clip「データに基づく顧客理解とパーソナライズで『質の高いマッチング』を実現。『キャリアチケット就職』におけるKARTE活用のアプローチ」

この取り組みで注目したいのは、プロフィール入力率や離脱率といった数値を起点に、「ページの離脱率をどう改善するか」だけでなく、「ユーザーはなぜここで行動を止めているのか」という視点で課題を捉えたことです。
入力を止めている背景を理解し、必要な支援を体験設計に反映することで、プロフィール入力を促し、その先のマッチング機会にもつなげています。

出典:CX Clip「データに基づく顧客理解とパーソナライズで「質の高いマッチング」を実現。「キャリアチケット就職」におけるKARTE活用のアプローチ」
CX Clip「プロフィール記入例を提示し入力をサポート。開発工数を抑え、プロフィール入力を促進。」

「問い合わせ」の背景やニーズを捉え、約5倍の単価設定を実現する送客モデルへ

KG情報|「賃貸スタイル」

【事例サマリー:賃貸スタイル】
・課題・行動: 物件問い合わせ後の応答率が約3割にとどまり、問い合わせデータだけでは顧客の成約意欲やニーズを見極められなかった。
・背景・状態の理解: 「フォームの文字情報だけでは伝えきれていない悩みや背景がある」と仮説を立て、追加でヒアリングしたところ、50%以上から具体的な事情やニーズが寄せられた。
・施策: 単なる情報共有にとどめず、事前把握した背景をもとにアドバイザーが物件探しに伴走・サポートする「送客モデル」を構築。
・成果: 顧客の来店意欲を高めて不動産会社へつなぐ送客モデルへ発展し、従来の問い合わせ課金と比べて約5倍の単価設定を実現。

不動産ポータルサイトにおいて、物件への「問い合わせ」があったからといって、すべての顧客が同じ温度感で検討しているとは限りません。

実際、KG情報が運営する「賃貸スタイル」でも、問い合わせ後に不動産会社から連絡しても顧客の応答率は約3割にとどまっており、問い合わせ情報だけでは「どの顧客の検討度が高いのか」「どのようなニーズを持っているのか」を見極めにくいという課題がありました。

当初、問い合わせフォームの項目を絞ったり、来店希望のチェックボックスを設けたりすることで、顧客の温度感を捉えようと試みました。しかし、フォームだけでは、顧客が抱えている悩みや背景まで十分に把握することは困難でした。

そこで同社は、問い合わせ情報を不動産会社へつなぐだけではなく、顧客の背景や悩みを深く理解して伴走する「アドバイザー相談サービス」への事業モデルの転換を検討し始めます。

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引用:CX Clip「「情報の仲介」から「成果の提供」へ。1件の問い合わせの「価値」を5倍に高めた、業界の構造的課題への KG情報の挑戦」

本格的なサービス設計にあたり、まずは「顧客はフォーム以外にも伝えたい本音があるのか」を検証するため、KARTEを活用して問い合わせ後の追加ヒアリングを実施しました。その結果、50%以上が返信し、備考欄への自発的な入力と比べて5倍以上の反応が得られました。

そこでは、「ペットの相談がしたい」「転職で急いでいる」といった、フォームだけでは捉えきれていなかった背景も寄せられました。この結果を受けて顧客ニーズへの手応えを得た同社は、本格的なサービス設計へと進み、KARTEも活用しながら相談導線や対応体制などの改善を重ねていきました。

こうして「問い合わせ情報を送る」モデルから、アドバイザーが顧客の背景やニーズを把握し、来店意欲を高めたうえで不動産会社へつなぐモデルへと進化。その結果、従来の問い合わせ課金と比べて約5倍の単価設定を実現 しています。

この取り組みで特徴的なのは、「問い合わせ」という行動を起点に、顧客がまだ伝えきれていない背景やニーズまで理解を深めたことです。 その理解が、アドバイザー相談のサービス設計にも活かされています。

出典:CX Clip「「情報の仲介」から「成果の提供」へ。1件の問い合わせの「価値」を5倍に高めた、業界の構造的課題への KG情報の挑戦」

求職者の行動やフェーズに応じたコミュニケーションで、応募数が前年比2倍以上に

エス・エム・エス|「ウェルミージョブ」

【事例サマリー:ウェルミージョブ】
・課題・行動: 求職者は「応募前」「選考中」「選考後」といったフェーズによって抱える悩みや行動が異なり、一律のアプローチでは応募へつなげにくい。
・背景・状態の理解: 捉えた行動や状態に応じて、届ける内容やタイミング、メール・SMSなどのチャネルを変求人の閲覧傾向や登録後の行動パターンを分析するとともに、マイページ上でのアンケート表示を通じて「選考中」のリアルタイムなステータスを可視化。
・施策: 求人詳細ページの複数閲覧者への「キープ促進」や、応募が集中する「会員登録直後の集中アプローチ」、さらに介護職の利用傾向が高い「SMS」の活用など、届ける内容・タイミング・チャネルを最適化。
・成果:KARTEを活用した施策経由の応募数が前年比2倍以上に増加し、メール施策でのCVR約150%向上や、未反応層からの確実な応募獲得を実現。

介護・医療・福祉の求人情報サービス「ウェルミージョブ」では、求職者を一律に捉えるのではなく、応募前や選考中、選考後といったフェーズごとの課題に着目した取り組みを進めています。

同社ではまず、求人詳細ページの閲覧傾向や、会員登録から一定期間内に応募が集中するといった行動パターンを分析しました。さらに、行動データだけでは追いきれない選考中のフェーズにおいては、マイページ上で選考状況を尋ねるポップアップを表示することで、書類選考中や面接中といった、その時点での求職者の状態を把握しています。

こうして捉えた求職者の状態に合わせ、同社ではコミュニケーションの「内容」「タイミング」「チャネル」という3つの観点から施策を最適化しました。

まず内容の面では、求人詳細ページを複数回閲覧しているものの応募に至っていないユーザーに対し、心理的ハードルの低い「キープ」機能を促すことで、応募の前段階での接点をつくっています。

次にタイミングの面では、行動データから応募が集中しやすいと判明した会員登録直後の一定期間へ、メッセージ配信などのアプローチを集中させました。

そしてチャネルの面では、メール配信による施策でCVR150%向上という成果を実証した上で、介護職の利用傾向が特に高いSMSでのアプローチを追加しました。

このように顧客の状態に寄り添って届ける情報や手段を整えた結果、KARTE施策経由の応募数は前年比2倍以上に増加しました。
ウェルミージョブでは、求職者の行動や選考状況から一人ひとりの状態を捉え、その理解を、届ける内容やタイミング、チャネルといったコミュニケーション設計に反映しています。

出典:CX Clip「多様な求職者に寄り添う体験設計でマッチング大幅改善。「ウェルミージョブ」が示す、顧客と向き合う姿勢」

行動データは、顧客を理解するための「答え」ではなく「手がかり」

3社の取り組みに共通しているのは、顧客の行動を手がかりに、その背景にある目的や迷い、検討状況まで捉え、次の施策につなげていることです。

検索、閲覧、保存、離脱、問い合わせといった行動データは、それ自体が顧客理解の答えではなく、顧客を理解するための「手がかり」です。

キャリアチケット就職では、一人ひとりの行動からプロフィール入力が進まない背景を捉え、体験設計に反映しました。KG情報では、「問い合わせ」を起点に顧客へ問いかけることで、その背景やニーズへの理解を深め、サービス設計に活かしています。ウェルミージョブでは、求職者のフェーズごとの行動から課題を特定し、コミュニケーション施策に反映しています。

こうした顧客理解を、「次に何を届けるか/どうつなぐか」に反映する。その積み重ねが、より適切なマッチングやお問い合わせにつながっていきます。

顧客の行動を次の体験につなげるCXプラットフォーム「KARTE」

「KARTE」は、独自のリアルタイムデータ解析基盤とAIを掛け合わせ、顧客理解から施策実行までを支援するCXプラットフォームです。金融・保険、人材、不動産、小売、旅行など、幅広い業界の企業で活用されています。

KARTEの特徴のひとつは、Webやアプリ上の行動データをはじめ、登録情報やサービス利用情報などさまざまなデータを、顧客軸で捉えられることです。顧客の「今」の行動変化をリアルタイムに捉え、その前後の行動も含めて分析できます。さらにAIを活用することで、一人ひとりの行動を時系列で読み解き、行動の背景や特徴を捉えることもできます。

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こうして得た顧客理解をもとに、一人ひとりの行動や状態に応じた施策を実行し、その反応を捉えながら次の改善につなげることができます。

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たとえば、
・Webやアプリ上の行動データと、登録情報やサービス利用情報などをつなぎ、一人の顧客として捉える
・検索や閲覧、入力などの行動や状態に応じて、表示するコンテンツや導線を変える
・顧客の状態やタイミングに合わせて、メールやLINE、プッシュ通知などで継続的にコミュニケーションする
・施策への反応やその後の行動を捉え、コンテンツや導線、コミュニケーションを継続的に改善する
といった活用が考えられます。

「その行動の背景に何があるか」を捉える

自社では、検索や閲覧、キープ、問い合わせ、応募といった顧客の行動から、その背景にある目的や迷い、検討状況まで、どこまで捉えられているでしょうか。

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顧客が何を探し、何に関心を持ち、どこで迷い、どのような行動を経てコンバージョンに至っているのか。

その一連の行動を一人の顧客の体験として捉え、背景や状態への理解を深めることが、次の顧客体験を考える出発点になります。

KARTEで広がる顧客体験や、さまざまな業界での活用事例について詳しく知りたい方は、プロダクト概要資料もあわせてご覧ください。

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