「情報の仲介」から「成果の提供」へ。1件の問い合わせの「価値」を5倍に高めた、業界の構造的課題への KG情報の挑戦
不動産ポータルサイトでは、問い合わせをしたお客様のうち約6〜7割がその後の連絡に応答しない、不動産会社側は慢性的な人手不足の中で問い合わせの温度感の見極めができずに疲弊するという構造的課題が長年続いています。業界の構造的な課題を解消し、成約に直結する質の高い体験を創出する取り組みについて、株式会社KG情報の阿部 克彦さん、武田 千春さんにお話しいただきました。
不動産ポータルサイトでは、問い合わせをしたお客様のうち約6〜7割がその後の連絡に応答しない、不動産会社側は慢性的な人手不足の中で問い合わせの温度感の見極めができずに疲弊するという構造的課題が長年続いています。
株式会社KG情報が運営する賃貸ポータルサイト「賃貸スタイル」では、KARTEを活用して「住まいの紹介サービス」の事業モデルを再定義。従来の「問い合わせ代行」を中心とした手法から、アドバイザーとの対話を通じて顧客の潜在ニーズを引き出し、来店意欲を高めてから不動産会社へつなぐ「高付加価値な送客モデル」へと変換。業界の構造的な課題を解消し、成約に直結する質の高い体験を創出しています。
今回、同社の事業推進本部にてUI/UX を統括する阿部 克彦さん、サービス企画・マーケティングを担当する武田 千春さんに、取り組みの背景を伺いました。
不動産ポータルサイトでは、問い合わせをしたお客様のうち約6〜7割がその後の連絡に応答しない、不動産会社側は慢性的な人手不足の中で問い合わせの温度感の見極めができずに疲弊するという構造的課題が長年続いています。
株式会社KG情報が運営する賃貸ポータルサイト「賃貸スタイル」では、KARTEを活用して「住まいの紹介サービス」の事業モデルを再定義。従来の「問い合わせ代行」を中心とした手法から、アドバイザーとの対話を通じて顧客の潜在ニーズを引き出し、来店意欲を高めてから不動産会社へつなぐ「高付加価値な送客モデル」へと変換。業界の構造的な課題を解消し、成約に直結する質の高い体験を創出しています。
今回、同社の事業推進本部にてUI/UX を統括する阿部 克彦さん、サービス企画・マーケティングを担当する武田 千春さんに、取り組みの背景を伺いました。
不動産業界共通のポータルサイトにおける構造的課題に向き合う
まず、貴社の事業内容について教えてください。
阿部: 弊社は岡山に本社を置く調査・情報サービス、有料職業紹介事業を運営する企業で、私が所属する部署では賃貸ポータルサイト「賃貸スタイル」を運営しています。地域や駅からの検索に加えて、小中学校や大学、ショッピングモールといった生活施設の周辺情報をもとに物件を探せる点が特長です。公共料金や地域ごとのごみ出しルール、物件周辺のハザード情報なども掲載しており、お客様が暮らしの実態に即して物件を比較検討できるよう工夫しています。さらに、不動産売買や注文住宅、引越しなど住まいに関する領域をカバーするサテライトサイトも展開し、住まい探しにまつわる多様なお悩みにお応えできるサービスを目指しています。

不動産業界特有の課題は、なにかあるのでしょうか?
阿部: ポータルサイト経由の問い合わせは、不動産会社にとって主力の集客経路です。ただ、お客様が気軽に問い合わせできる分、不動産会社側からすると「どのお客様の成約意欲が高いのか」の判別が難しく、一律の対応を迫られることで現場が疲弊してしまうという構造的な課題があります。
実際、業界全体で問い合わせ後の応答率が約3割に留まるというデータもあり、弊社の「賃貸スタイル」も例外ではありませんでした。不動産会社のリソースが分散してしまうことで、結果として、本当に手厚いサポートを必要としているお客様にまで質の高い対応が届きにくい状況が続いていたんです。

株式会社KG情報 阿部克彦氏
これまで貴社としてはどのような改善を試みてきたのでしょうか。
阿部:まず取り組んだのは、問い合わせフォームの最適化でした。項目を絞り、来店希望のチェックボックスを設けるなど、UI/UXの改善で「お客様の温度感」を可視化しようと試行錯誤しました。
武田: ただ、フォームという静的な仕組みには限界がありました。自由記述欄を設けても、お客様が抱える深い悩みや背景を、不動産会社に共有できるレベルで言語化していただくのは難しかったんです。結局、私たちが介在しても「数」を送る以上の価値を提供できずにいました。
阿部:その課題を打破するために「住まいの紹介サービス」を立ち上げました。当初は、忙しいお客様に代わって私たちが物件探しや問い合わせを代行するモデルとしてスタートしたのですが、これにもまた別の壁がありました。
「代行モデル」の壁とは、どのようなものだったのですか?
阿部:私たちが「情報を横流しするだけの窓口」になってしまっていたことです。お客様を不動産会社へご紹介して終わり、という関係性では、お客様の不安を根本から解消したり、特定の不動産会社に対する期待値を高めたりすることはできません。不動産会社側から見れば「従来のポータルサイトと変わらない、確度の見えない送客」のままであり、構造的な課題である「低返信率」を解決するには至りませんでした。
より丁寧に物件探しに寄り添う「アドバイザー相談」への展開
その限界を、KARTEを使ってどう突破したのでしょうか。
阿部: 単なる代行から、お客様と能動的に対話し、来店意欲を最大化させる「アドバイザー相談」へとモデルを抜本的に進化させました。ここで活躍してくれたのがKARTEです。
武田: 私たちが目指したのは、フォームでは書ききれなかったお客様の「潜在ニーズ」を可視化することです。「なぜ今、家を探しているのか」「今の住まいの何に困っているのか」といった背景を、アドバイザーが事前に把握した上で伴走できる仕組みを目指しました。

「アドバイザー相談」という新モデルへ舵を切る際、まず何から着手されたのでしょうか?
武田: いきなり有人体制を組むのではなく、まずは「お客様がフォーム以外で伝えたいことが本当にあるのか」というニーズの検証から始めました。当時はまだ「物件リクエスト」が中心でしたが、お客様がフォームを送信した直後、LINEやチャットの画面側に、KARTEから自動で「ほかにもご希望やお悩みがあれば教えてください」と追加メッセージを送る接客を作成したんです。
阿部: すると、その問いかけに対して50%以上の方から返信をいただけました。それまで自発的に備考欄を埋めてくださる方は1割に満たなかったので、実に5倍以上の反応です。「ペットの相談がしたい」「転職で急いでいる」といった切実な背景が次々と寄せられ、お客様は「伝える場所さえあれば話したいことが山ほどある」のだと確信しました。この結果を受け、本格的なサービス設計に踏み切りました。
ニーズを確信してサービスを始動させた後、どのような壁にぶつかったのですか?
阿部: 正直、運用を始めてみると想定以上に課題が噴出しました。入り口さえ作ればあとはスムーズに回るだろうと楽観視していたのですが、現実は甘くありませんでした。
武田: 大きく分けると、三つの壁がありました。一つは、お客様がサービスにたどり着くまでの「導線」の問題。二つ目は、対応スピードやチャネルの判別といった、人が介在するからこそ生まれる「運用体制」の限界。そして三つ目は、新しいサービスゆえの「認知」不足です。これらの課題が複雑に絡み合い、せっかくの「相談したい」という熱量を逃してしまっていたんです。

株式会社KG情報 武田千春氏
阿部: 最初から完成形があったわけではありません。これらの課題を解決するために、KARTEをフル活用して一つひとつ解決策を積み上げていきました。
具体的には、どのように課題を解決していったのでしょうか。
阿部: まず着手したのは、相談への入り口を広げることでした。以前はLINEのリッチメニューから相談に至る階層が深く、ユーザーが迷ってしまう構造だったんです。そこで、リッチメニューに直接「相談開始」のボタンを設置し、キーワード応答と連動して即座にヒアリングが始まるシナリオを構築しました。
武田: これにより、1日あたりの相談数は以前の約1.2倍に増加しました。お客様が「いま話したい」と思った瞬間の熱量を逃さず、スムーズに会話を始められる環境を整えたことが大きかったですね。
次に、運用面での「スピード」の課題を解決しました。KARTEのWebhookを使い、メッセージが届いたら社内のGoogle Chatに通知が飛ぶ仕組みを作りました。これで「相談」なのか「従来のフォーム」なのかを判別し、メンバー全員で即座にサポートに入れるようになりました。
阿部: 有人対応ゆえの「営業時間外」という課題も、KARTEのシナリオ配信で解決しました。夜間や休日にメッセージが来た際は、「次の営業日に返答する」旨を明記して自動返信するようにしたんです。これに「分かりました」と返信をいただけるなど、お客様の返信を待つ間の不安を払拭できました。
武田: さらに、実運用の中で「入力欄の場所が分からず困っている」といったお客様の些細なストレスにも目を向けました。KARTEで特定の状況にあるユーザーにだけ操作補助の導線を表示するなど、回答に困って手が止まっている状態を捉えたフォローを徹底していきました。
この新モデルは既存のユーザーの方にはどう定着させていったのでしょうか。
阿部: 最後に「認知」の壁を突破するため、圧倒的多数である物件リクエストの利用者に対しても、LINEやメールでのスポット配信やナーチャリングメッセージを通じて、積極的に「アドバイザー相談」をアピールしました。
武田: 結果として、従来サービスを阻害することなく、双方の利用率を底上げできました。テクノロジーで自動化を進める一方で、お客様の行動を観察しながら「人」の介在価値を最大化させてきた結果が、今のアドバイザー相談のかたちになっています。
お客様の"本当の困りごと"に応えたいという姿勢を伝える
アドバイザー相談の提供を通じて、顧客の理解が進んだことはありますか?
阿部: ヒアリングを深めると、さまざまな事情を抱えた方が多いことが鮮明になりました。想像はしていたものの、実際に相談を受けるなかで、どんなお客様がいて、どんなことにお困りなのかの理解が進みました。
お客様のニーズをヒアリングしつつ、来店した場合のメリットを必ずお伝えしています。非公開物件の存在や、不動産会社が親身になって探してくれることを説明し、実際に来店して希望通りの物件が見つかったケースもあります。私たちにとって当然のことでも、お客様にとってはそうではありません。このことも、改めて確認できました。
また、相談ボタンを押すところまでは至らないお客様も多くいらっしゃいます。「相談していいのか分からない」「そこまでしてもらうのは気が引ける」という方もいるはずです。そうした声にならない声をどう拾っていくかは、これからの大きなテーマだと思っています。
武田: 実際に、アドバイザー相談を必要としているのに、その存在に気づいていないお客様は多いと感じています。そこで、LINE友だち追加後の挨拶メッセージやその後のご案内の中で、アドバイザー相談の選択肢があることを自然にお伝えするよう文面を見直しました。従来の物件リクエストとアドバイザー相談の両方を並べて案内するかたちにしたところ、どちらのサービスも利用が伸びたんです。「相談してもいいんだ」と感じてもらえるきっかけをつくれたのかなと思います。
お客様とのやり取りをする上で、大切にしていることはなんですか?
阿部: 本当の困りごとがどこにあるのかをしっかり引き出すことが一番大事です。その上で、それに応えてくれる不動産会社とマッチングする。お客様の希望や背景をしっかり聞き出すと、「あなたの背景に合う不動産会社を探しますね」とお伝えした段階で、「そこまで親身になってくれるんだ」という温度感に変わってきます。
不動産会社に冷たくされてきた経験を持つ方も少なくありません。だからこそ、「私たちがちゃんと受け皿になりますよ」と感じてもらえるよう、寄り添う姿勢を大事にしています。すぐにお応えできない場合でも、「ご希望に合うところを一生懸命探しますね」という姿勢は必ずお伝えするようにしています。
「ありがとう」の声がチームを変える、顧客体験と従業員体験の好循環
顧客との関わり方が変わったことで、現場にはどのような変化がありましたか。
阿部: アドバイザー相談では、最後までお付き合いして、来店したかどうか、良いサービスを受けられたかまで把握するようにしています。その過程で「物件が見つかりました、ありがとうございます」というお客様の声をいただくことがあります。以前は物件を紹介して終わりだったところが、お客様からの感謝の声が返ってくるようになり、従業員も「やり取りして良かった」という実感を得られるようになりました。
社内チャットで喜びの声を共有すると、みんなが明るくなります。それまでオペレーティングに徹していたメンバーが、お客様との接点から得られる喜びを実感し、「もっとこうしたい」という意見も自発的にあがるようになりました。自分の業務がどう役立っているのかを教えてくれるお客様の声が社内の潤滑油になり、働くモチベーションを上げてくれているのを感じます。
阿部:最大の変化は、「情報の仲介」から「成果の提供」へと収益モデルを転換できたことです。
これまでの「問い合わせ代行」は、いわば情報の一次取次であり、その後の成約は不動産会社の対応力に委ねられていました。そのため、どうしても「量」の勝負になり、単価を上げにくい構造があったんです。
しかし「アドバイザー相談」では、私たちが能動的に介在し、不動産会社にとって最も価値がある「来店という確実な商談機会」を創出します。その結果、従来の問い合わせ課金と比べて5倍の単価設定が可能になりました。
5倍の単価設定が市場に受け入れられた、というのは大きな成果ですね。
阿部: はい。この「5倍の単価」が成立したこと自体が、私たちがKARTEを活用して生み出した「来店アポイント」に、それだけの価値(成約確度)があると社会に認められた証拠だと思っています。
慢性的な人手不足に悩む不動産業界において、現場の工数をかけずに「成約に近いお客様」に出会えることは、何物にも代えがたい価値です。「他社の問い合わせ10件より、住まいの紹介サービスの紹介1件のほうが成約に繋がる」と言っていただけるような、「数」の消耗戦から脱却した「質」による独自の競争優位性を確立できたらと思っています。
今後の事業展開について教えてください。
武田: お客様一人ひとりの状況に合わせて、必要な情報を最適なタイミングでお届けしていきたいです。お客様がどんな段階にいるのかをしっかり把握して、それに合ったアプローチをもっと深めていけるよう、これからも挑戦を続けていけたらと思っています。
阿部: お客様との直接的なつながりを育てて、ファンになっていただけるかが重要だと考えています。その上で、不動産会社に対してより積極的なマッチングにつなげていけるようなサービスをつくっていきたいと思います。
KG情報のこれまでのKARTE活用については下記もご覧ください。
数字改善ではなく、様々なデータから一人ひとりのお客様に合った体験を。KARTEを起点に、社内で伝播した顧客への意識
チームの枠組みを越えたメルマガ運用と改善プロセスの確立。KARTE Message導入でKG情報のコミュニケーションはどう深化したか。