「すぐ知りたい」も「じっくり相談」もお客様のタイミングで叶う場所へ。NTTドコモビジネスがKARTEで実現する、データ起点の高速CX改善
「悩んだら相談できる」店舗のような接客をオンラインで。NTTドコモビジネスがKARTEを活用し、中堅・中小企業のDX支援を加速させるCX改善の裏側を語ります。
NTTドコモとNTTコミュニケーションズの統合を経て、法人向けオンラインチャネルとして新たなスタートを切った「NTTドコモビジネスオンラインショップ」。中堅・中小企業をメインターゲットに、モバイルサービスからSaaS、ネットワークセキュリティまで幅広い商材を取り扱い、顧客のDX化を支援しています。
同サイトが掲げるビジョンは、「悩んだら相談できるオンラインショップ」。オンラインでありながら店舗での接客のようにお客様に寄り添い、必要な情報を必要なタイミングで届ける──。その理想の実現に向け、同社はKARTEを活用した高速なCX改善サイクルを構築してきました。
本記事では、NTTドコモビジネス株式会社 ソリューション&マーケティング本部 デジタルマーケティング部 マーケティング部門 担当部長の菅原 幸さん、担当課長の生山 亜希子さん、柴田 夏帆さんの3名に、KARTE導入の背景から具体的な活用法、そして組織にもたらされた変化についてお伺いしました。
対面での接客と同じ役割をWebサイトでも。理想の顧客体験への挑戦
はじめに、皆さまが所属されている部署のミッションと、それぞれの役割について教えてください。
菅原: 私たちが所属するソリューション&マーケティング本部 デジタルマーケティング部 マーケティング部門は、Webプロモーションやデジタルマーケティングによる営業支援と、非対面チャネルである「NTTドコモビジネスオンラインショップ」の運営を担っています。
中堅・中小企業のお客さまとのデジタル接点を広げ、案件創出や購買機会の拡大を通じて、事業成長に貢献しています。
「NTTドコモビジネスオンラインショップ」は、NTTドコモが持っていたECストアとNTTコミュニケーションズが持っていたECストアを統合し、2024年5月にリニューアルしました。
モバイルサービスだけでなく、SaaSやネットワークセキュリティ、さらにはオフィス用品まで幅広くラインナップし、お客様のDX化や業務効率化を支援することをミッションとしています。
チームは約30名で、業務委託のパートナーの方とも一緒に運営しています。グループ内では、全体戦略を検討するチームを中心に、全国の支社・支店と連携したドコモビジネスオンラインショップの活用促進、お客様からのお申し込みやご相談対応の運営、システム企画・開発、サービスの販促やサイト全体のCX向上など、それぞれの役割を担うチームが連携して日々業務を進めています。

NTTドコモビジネス株式会社 ソリューション&マーケティング本部 デジタルマーケティング部 マーケティング部門 担当部長 菅原 幸さん
生山:私は、商材の掲載やキャンペーンの企画、サイト全体のCX向上などを担当しています。どうすればお客様にとって価値ある情報をお届けできるか、販売戦略を含めて日々考えています。
柴田:私はCX改善を目的としたUI/UX改善などをメインに担当しています。日々、どうすればサイトの売上につながるかを考えながら、具体的な改善施策に取り組んでいます。
サービスとして、どのような顧客体験を理想とされていますか?
菅原:店舗での接客や対面での営業と同じような役割をWebサイトでも担えるようにしていきたいと考えています。私たちのお客様である中堅・中小企業の場合、必ずしも社内に情報システムの専任担当者がいるわけではありません。そうしたお客様のお悩みに寄り添い、「自社の業種ならどのサービスが合うのか」「このサービスを導入している企業は、他にどんなサービスを併用しているのか」といった情報をパーソナライズしてご提案できる、いわば「Web上の営業担当」のような役割をサイトで実現したい。それが私たちの目指す理想の顧客体験です。
サイト統合以降、「今すぐオンライン相談」や「チャットで相談」など、お客様が気になったことをその場で確認できる手段を増やしてきました。気になったときにすぐ相談ができ、申し込みもできる。さまざまなコンテンツやツールを組み合わせて店舗に近い購買体験を実現させていくことが、今まさに取り組んでいることです。

課題は、顧客データの分断と施策実行の遅さ。大規模組織ならではのジレンマ
理想とする体験を実現する上で、KARTE導入前はどのような課題がありましたか?
生山:導入前は、Google Analyticsなどでサイト全体の傾向は分析できていたものの、お客様一人ひとりがサイト上でどのような行動をしているのかがわからず、「このお客様はどんな動きをしているのか」を個別に見ることが難しかった。そのため、パーソナライズ施策のような、よりお客様に寄り添った施策を検討するのに時間がかかったり、施策自体の精度が低くなってしまったりという課題がありました。
BtoB領域ならではの難しさもあったのでしょうか。
生山:はい。Webサイトを閲覧している「個人」と、最終的にサービスを契約する「法人」の意思決定が複雑に絡み合うのがBtoB領域の特徴です。弊社でも個々のユーザーのWeb行動データと、CRMやSFAで管理している企業としての契約データや営業履歴が分断されており、「一社」として統合的に顧客を理解できないことが、大きな障壁となっていました。リード情報やMAツールの行動データなど、本来なら活かせるはずのデータが眠っていたのです。
生山:組織が大きくシステムも複雑なため、新しい施策を実施したくても、サイトの改修や機能追加にどうしても時間がかかるという課題もありました。グループ内に開発チームがいて、比較的早いサイクルで改善できるのが我々の組織の強みですが、それでも施策実施まで数か月単位かかることから、改善したいと思った時にすぐ改善できるわけではありませんでした。
決め手は「ワンストップ」での実現力、KARTEひとつで複数ツール分の機能が活かせる
数あるツールの中から、なぜKARTEを選ばれたのでしょうか?
生山:きっかけは、私の前職での経験です。以前ECサイトの担当をしていた際にKARTEを活用しており、ユーザーに応じてコンテンツを出し分け、深く分析できる非常に優れたツールだと実感していました。NTTドコモビジネスオンラインショップをさらに発展させるためにはKARTEが有用ではないかと考え、検討を始めました。複数のツールを組み合わせなければ実現できないことがKARTE一つで実現できるという機能面の強みを説明することで、社内の理解を得ることができました。
導入の決め手となったのは、具体的にどの点でしたか?
生山:大きく二つあります。一つは、Web上の行動データだけでなく、私たちがすでに持っているSFAの営業履歴やMAの行動データなどを柔軟に統合し、顧客の解像度を高められるプラットフォームとしての能力。もう一つは、単なる商品購入だけでなく、「資料請求」や「オンライン相談予約」といったBtoB特有の多様なコンバージョンポイントに合わせた施策がワンストップで実行できる点です。
加えて、KARTE Liveなどユーザー行動の詳細な分析に基づく改善がすぐに行えること、ユーザー行動に応じたレコメンドやポップアップの出し分けが一元的にできること。来訪したお客様の属性情報も把握できるため、単純なUI改善だけでなく販売につながるアイデア作りにも活かせる。冒頭にお話しした「店舗のようにお客様に合わせた対応をオンラインで実現する」という期待が大きかったですね。

NTTドコモビジネス株式会社 ソリューション&マーケティング本部 デジタルマーケティング部 マーケティング部門 担当課長 生山 亜希子さん
導入に際して何かハードルはありましたか?
柴田:セキュリティ面での社内審査の基準が非常に厳しく、そこが一番のハードルでした。膨大な項目のチェックリストをクリアする必要がありましたが、プレイドの担当者の方に協力いただき、一つひとつクリアしていくことで、無事に導入することができました。導入してしまえば施策はスムーズに実行できるのですが、導入前の承認プロセスがもっとも大変でしたね。
導入後、どのように活用を始めていったのでしょうか?
柴田:KARTEはドキュメントが非常に充実しているので、さまざまな機能に触れながらスキルを身につけていきました。JavaScriptを書く必要がある場面ではCopilotなどのAIツールも活用し、技術面をカバーしています。何度か繰り返すうちに操作にも慣れていき、分からないことがあればネット上のドキュメントを確認するか、サポートに問い合わせることで解決できました。
A/Bテストで会員登録率を改善。データが導く高速なPDCAサイクル
KARTEを導入後、特に成果が出た施策について教えてください。
柴田:会員登録フォームの改善事例についてお話します。元々、会員登録数を増やしたいという大きな目標があったのですが、対象のページは改修にエンジニアへの依頼が必要で、気軽に改修ができない状態でした。そこでKARTE Blocksを使ってA/Bテストを実施することにしました。
会員登録には「ビジネスdアカウント(法人ソリューションを便利・安全に使える法人向け共通ID)」と「メールアドレス」の2種類があるのですが、どちらを優先的に見せていくと、より多く登録いただけるのか検証したいと考えていました。
どの配置がもっとも登録率が高いか、ボタンの位置を上下左右にいくつかパターンを用意してテストした結果、従来の横並びの配置と比較して、メールアドレス登録を上にした縦並びの配置では会員登録率が約2ポイント改善しました。
この改善の仮説は、どのように立てたのでしょうか?
生山:他のページでの改善経験から得た知見と、お客様から直接寄せられる「会員登録が分かりにくい」といった声も、施策を検討する上での重要な判断材料としています。データだけでなく、お客様の生の声も重要な判断材料です。KARTEを使えば、開発チームを動かすほどではないけれど試してみたい、という仮説を手軽に検証できます。チーム内でも「まずやってみよう」という雰囲気で、スピーディーに実行できました。
CX改善の取り組みとしては、素早く改善を実施して、成果が出なければまた別の改善を試すという方針です。どこが効いたのか、逆に効かなかったのかを短いサイクルで検証できるのが、KARTEの大きな強みだと感じています。
KARTE Liveを活用したフォーム改善も行われたそうですね。

NTTドコモビジネス株式会社 ソリューション&マーケティング本部 デジタルマーケティング部 マーケティング部門 柴田 夏帆さん
柴田:はい。昨年9月に新しいモバイルプランをリリースした際に、お客様自身で見積もりを作成し、そのまま申し込みまで進められるフォームを新たに用意しました。もともと会員ログインの手間がお客様のハードルになっていたため、ログインなしで申し込みができるようにするなどの改善も行いました。
初めての試みだったので、お客様がどこかでつまずいていないかKARTE Liveで実際の行動を確認しました。すると、フォームのある特定の箇所でマウスが止まってしまっているお客様が多くいることを発見しました。クリックしないと進めない箇所があり、そこでお客様が立ち止まっていたのです。
そこで、すぐにKARTE Blocksを使って、操作を補助する注釈を追加する改善を行いました。改善はこれで終わりではなく、ユーザーアンケートの結果もすべて踏まえた上で全体を整理し、優先順位をつけて対応しています。KARTE Liveの情報とユーザーアンケートの回答を照らし合わせ、どこから改善するかを判断しています。
この「KARTE Liveで課題を発見し、KARTE Blocksですぐに改善策を打つ」というサイクルは、私たちのチームにとって非常に強力な武器になっています。

操作を補助する注釈のイメージ
購入完了率が大きく変化。チャット活用で「いつでも相談できる」安心感を提供
他に手応えのあった施策はありますか?
柴田:私たちが目指す「すぐ知りたい」も「じっくり相談」もお客様のタイミングで叶うオンラインショップを実現する上で、お客様が分からないと思ったその瞬間に、気軽に相談できるコミュニケーション手段は不可欠だと考えていました。
過去に、お客様が購入にあたって必要な情報が必要なときに手に入らず、離脱してしまうケースが多くありました。そこでKARTE Talkを導入し、チャットで相談ボタンを配置して、クリック後にご利用ガイドページやお問い合わせフォーム、あるいは有人対応に誘導できるような導線を設置しました。
結果として、通常の購入完了率が平均0.17%のところ、チャット経由では3.60%と20倍以上の数値を記録しました。また、ビデオ通話で相談できる「いますぐオンライン相談」機能と比較してもチャットの方が購入完了率において上回っており、お客様にとっての「気軽さ」がいかに重要かを再認識しました。
この機能の導入にあたって苦労された点はありましたか?
柴田:受注貢献につながる施策だと考えていましたが、施策を開始した時点ではチャット対応を担うセンター側の運用体制が万全でなく、有人チャットでのリアルタイム対応以外の方法を考えることになりました。
そこで、有人チャットに直接つながる導線ではなく、チャットメッセージ上に予約相談フォームへのリンクを設置する仕組みに変更することにしました。リアルタイムでのチャットと比べてユーザビリティが落ちることは避けられないものの、ボタンをBotのような見た目にするなどリアルタイムでの対応という認識を防ぐ工夫を施し、顧客体験と運用のバランスを取るために時間差で対応する運用体制を整え、施策の再開を実現しました。

チャットの導線は、どのようなお客様に表示しているのでしょうか?
菅原: 弊社のお客様の居住エリアは多岐にわたっており、必ずしも対面での相談環境が整っているとは限りません。
特に、相談窓口へのアクセスに時間や距離を要する場合は、オンラインで完結できる仕組みが重要な役割を果たすと考えています。居住エリアに関わらず、誰もが気軽に相談できるような環境を整えられるように意識しています。
生山:非対面の販売チャネルとして、お客様ごとにニーズが異なる点を意識しています。対面で相談したい方、フォームで問い合わせたい方、オンラインで話したい方──。できるだけ複数のコミュニケーション手段をご用意することで、お客様がより購入しやすい環境を整えたいと考えています。
勘や経験則からファクトベースへ。チーム全体の意思決定が変わった
KARTEの導入は、チームの働き方や文化にどのような変化をもたらしましたか?
生山:もっとも大きな変化は、施策実行のスピードです。以前は数ヶ月かかっていたサイト改修が、KARTEを使えば場合によっては即日で実装できるようになりました。このスピード感は、改善への意欲を大きく高めてくれました。複数の施策を同時並行で検証するなど、改善に向けた取り組みの幅も広がっています。
柴田:以前は担当者の経験則や勘に頼っていた部分が、お客様のリアルな行動という「ファクト」に基づいて議論できるようになったことも大きな変化です。Google Analyticsやヒートマップだと全体的な傾向の把握にとどまりますが、KARTEでは個々のお客様がどのような動きをしているかという具体的な改善ポイントが見えるようになりました。仮説の精度が格段に上がり、データがあることで関係者への説明もしやすくなりました。
生山:特に「行動チェーン」という機能が重宝しています。ある施策に対して期待通りの行動をとった人ととらなかった人を比較し、さらにそのユーザーがどういうルートで来たのかを掘り下げることができる。KARTE Liveと行動チェーンを組み合わせることで、購入した人・購入しなかった人の行動フローを深く分析でき、次の施策の精度を高めることにつながっています。
菅原:上層部へ新しい施策を提案する際にも、KARTEで得られた数字を示せるので、承認を得やすくなりましたね。データに基づいた意思決定ができるようになったことで、結果的にお客様への価値提供のスピードも上がっていると感じます。
施策の企画から振り返りまでは、どのようなフローで進めていますか?
柴田:四半期ごとのユーザーインタビューの実施や、購入いただいたお客様に都度アンケートを実施しており、その内容を取りまとめてフォームの分析や改善案の洗い出しを行っています。ただ、特定のユーザーに向けたインタビューやアンケートだけでは一部のお客様の声にとどまってしまいます。より幅広い訪問者の動きを把握するために、KARTE Liveやヒートマップなどを活用し、お客様の行動を広く捉えるようにしています。ユーザーアンケートの結果と日常的な行動データを掛け合わせて優先順位をつけ、課題感を整理しています。
生山:課題を大きく整理した後は、週次のミーティングで進捗を確認しながら施策のPDCAを回しています。改修リストを管理する担当もおり、日々の業務で発見した課題やさまざまなところから集まった声を随時リストに追加して、優先度をつけて対応しています。
他部署との連携は生まれていますか?
柴田:はい。昨年からKARTE Datahubを活用し、MAツールの主幹部署との連携が広がりました。メルマガ配信の際にKARTEで蓄積したデータをMAツールに連携して活用するなど、ポジティブな関係が生まれています。KARTEで得られたデータを他のツールで活かしたり、逆に他のデータをKARTEに取り込んだりと、双方向のデータ連携が進んでいます。
生山:広告チームからも、広告からの流入ユーザーに対して「行動チェーン」で流入後の行動を深堀りして成果分析をしたいという相談があり、情報を共有しています。
「悩んだら相談できるオンラインショップ」のその先へ
今後、KARTEを活用してどのようなことにチャレンジしていきたいですか?
柴田:まず取り組みたいのは、KARTE Talkでお客様が入力された質問内容など、いわゆるVoC(顧客の声)の分析です。お客様が何に困り、どんな情報を求めているのかという生のデータは非常に貴重です。購入につながったユーザーがどういった質問をしていたか、途中離脱したユーザーがどのような質問をしていたかを比較・分析し、必要なFAQの拡充やチャット内容の改善につなげていきたいと考えています。
また、CDPやMAツール、CRMなどにあるデータがまだ十分にKARTEに連携できていない部分があるので、そこを拡充し、お客様の属性や状況に合わせた、より高度なパーソナライズを実現したいですね。より高度なデータ活用に対応し、パーソナライズ化したコンテンツ出し分けを通じてCX向上に努めていきます。
生山:さらにシンプルで使いやすいサイトにしていきたいですね。お客様に合わせて、その時に求めている情報を出せるようにしていくことが、CX向上につながると考えています。

サービス全体としての今後の展望をお聞かせください。
菅原:サイト統合からまもなく2年を迎えようとしていますが、NTTドコモビジネスオンラインショップには、今後さらに成果を最大化できる大きな可能性があると考えています。その実現には、より多くのお客様にサービスを知ってもらい、実際の利用につなげていくことが不可欠です。
これまでは、主にオンライン上での改善を通じてCX(顧客体験)の向上に取り組んできました。今後は、お客様のニーズをより深く理解したうえで、各販売チャネルとの連携も強化し、営業活動全体の効率化も支援しながら、成長していきたいと考えています。
オンラインとオフラインを融合させることで、お客様とのエンゲージメントをさらに高めていくことが、私たちの今後の大きな目標です。