EC購入時の不安を解消し、売上向上を実現。スワニーがCraft Cross CMSで実現する、「いつでも聞けるAI相談窓口」

株式会社スワニーがプレイドの「Craft Cross CMS」と「Craft AI」を導入し、RAG機能付きAIチャットボットを構築。売上の下がる週末の機会損失を防ぎ、電話問い合わせ数を約1/4に削減しながらCVR向上を達成。プロジェクトの背景と成果を両社が語ります。

「体を支えながら楽に移動できるバッグ」「世界最小クラスの車椅子」など株式会社スワニーが手がける製品は、実際に使っている方の評価が高い一方、手に取ってみなければ良さが伝わりにくいのが実情です。商品の単価は3万円前後で、購入ボタンを押す直前に「本当に自分に合うのだろうか」とためらう顧客も少なくないといいます。
長く愛用いただく製品ということもあり、顧客の年齢層が比較的高いこともあり、疑問を解消してから購入に至るケースが多い一方で、電話対応ができない週末には、見えないところで機会を失っていた可能性があったそうです。
同社はこの課題に対し、プレイドのCraft Cross CMSとKARTE CraftのCraft AIを組み合わせて、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)機能を備えたAIチャットボットを導入。購入前のお客様の疑問をその場で解消することで、電話問い合わせ数を約1/4削減するとともにCVR向上を同時に実現。今回、株式会社スワニー EC 担当の新名毅士さんと、導入を支援したプレイドでカスタマーエンジニアを務める木幡 雄一郎の2人が導入の背景から成果、今後の展望までを語りました。

「聞きたくても聞けない週末」——少人数体制が生むお客様の機会損失

まず、スワニーの事業について教えてください。

新名:株式会社スワニーは、香川県東かがわ市に本社を置く、「世界中に、あたたかさを届ける」を掲げる老舗メーカーです。創業以来の核であるグローブ事業では、北米のスキー・スノーボード市場でトップクラスのシェアを誇るなど、高い技術力と品質でグローバルに展開しています。
また、独自の「湾曲ハンドル」を備えたキャリーバッグ(スワニーバッグ)は、身体を支えながら楽に移動できる歩行補助機能が特徴で、高齢者や足腰の不自由な方の外出を支える唯一無二の製品として親しまれています。この技術は世界最小クラスの車いす開発にも応用されており、手袋製造で培った「包み込む技術」を移動の「安心・安全」へと発展させることで、人々の生活の質(QOL)向上に貢献することを目指しています。
普段、私が担当しているのはスワニーバッグを販売するECサイトの運営です。

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ECにおける課題として、どのようなものがありましたか?

新名:自社ECサイトでの購買を増やしたいと考えていましたが、当時はカートに商品を入れたまま、購入に至らないケースが多くありました。
決して安価な買い物ではないからこそ、購入ボタンを押す瞬間に「本当に大丈夫だろうか」とためらうお客様も少なくありません。
「納得してから購入したい」というお客様の心理に応え、商品ページ上で即座に疑問を解消できる仕組みがあれば、そのままスムーズに購入に進んでいただけるのではないか、という仮説を立てました。

当時はどのようなサポート体制はだったのでしょうか?

新名:平日は、外部委託の方を合わせて、4名という少人数で電話対応をしていました。電話受付をしていない週末は自社ECの売上が下がる傾向があり、その反動で週明けには問い合わせが集中して、電話を取りきれない状況が続いていたんです。
土日にお問い合わせいただいたお客様や週明けにつながりにくくお待たせしてしまったお客様など、おそらく見えないところで、別の商品に決められた方もいたのではないかと考えています。サポートが十分にできないことが、機会損失になっていたと思います。

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株式会社スワニー 新名毅士氏

AIチャットボットで顧客がいつでも「聞ける窓口」をつくる

その課題をどのように解決しようと試みたのでしょうか?

新名:解決策としてまず挙がったのがAIチャットボットでした。一気にいろいろな施策を進めるよりは、まずAIチャットをやってみたいと考えていて、もともとKARTEを利用していた関係でプレイドさんに相談しました。その際に「Craft Cross CMS」というAIを活用したプロダクトの開発をされているという話を伺いました。

Craft Cross CMSとはどのようなプロダクトなのでしょうか?

木幡:Craft Cross CMSは、AIネイティブなヘッドレスCMSとして、2025年9月に リリースしました。コンテンツを「データ」として構造化し、Webやアプリなど複数のチャネルで使い回すことのできるCMSです。RAG(検索拡張生成)やVector Search(自然言語検索)、CopilotなどのAI機能が付帯しているだけでなく、CMSに入れたデータが即座にAIの「情報源」として活用できる設計になっており、日々のWebサイト更新作業がそのままAI活用の資産として蓄積されていくのが大きな特徴です。

Craft Cross CMSとは|基本機能と運用、価格を解説

AIを活用したナレッジベースやRAG(検索拡張生成)の活用を検討する場合、未整理かつ大量のドキュメントに運用上大きな課題を感じているケースを想像するかもしれません。ですが、スワニーさんの場合FAQページに20個ほどの質問が掲載されていて、今後追加していきたい、という段階でした。まずはCMS環境を用意してそこに気軽に入力、更新していく、それが自動的に顧客コミュニケーションにも活かせる設計にできると、少人数での運用にもフィットすると考え、PoC(概念実証)のお声がけをしました。

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プレイド 木幡 雄一郎

提案を受けたとき、どのように感じましたか?

新名:AIを導入するとしても、「回答がありません」という表示が続けば、お客様のテンションは下がり、使われなくなってしまいます。AIが学習して回答が充実していく仕組みがいいなと思っていたので、まさに要望に合ったご提案でした。

一方で、AIチャットボットを用意しても、年齢層が比較的高いお客様に実際に使っていただけるのかという不安や、回答内容によってはクレームにつながるのではないかという懸念、さらに費用面での社内承認というハードルもありました。

完璧を目指さずに、まず動かす。シンプルに始めて育てる実装プロセス

提案の後、AIチャットボットの実装はどのように進めましたか?

木幡:最初は、シンプルな機能だけを備えた状態でリリースを目指しました。FAQを増やしていただいたうえでRAGを構築し、まず「聞ける窓口」として動くことを優先しました。

RAGは裏側で生成AIを呼び出すため、サイト外の一般的な知識に基づいて回答することもあります。AIが参照する情報源をこのCMS内の公式データのみに限定するなどの調整をする必要はありましたが、チューニングを最小限にして初回のご相談から数週間でAIチャットボットをリリースできました。

リリース後は、プロンプトを充実させて回答内容を改善していきました。質問が来るたびに「こういう前提で答えてください」という条件を追加してAIに伝えます。この改善を数回繰り返した結果、回答品質が格段に向上し、それ以降は大きな手を加えていません。

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※プロンプトサンプル。実際の導入環境で使用されているものとは異なります。

初期段階で回答が正確でなかった際、お客様からのクレームにつながることはなかったのでしょうか?

新名:学習段階にあると伺っていましたし、回答には根拠となるページへのリンクが表示されていました。お客様はそのリンク先まで確認してくださっていたようで、クレームが来ることはありませんでした。もし回答だけで終わっていたらクレームになっていたかもしれませんが、根拠を提示する設計が効いていたのだと思います。
文章が自然であること、学習してくれること、そして根拠となるサイト内リンクを提示してくれることが、このAIチャットボットの特に良い点だと感じています。

トラフィック増でも着信は約1/4減少、休業日のCVRが約20%改善

実装後、顧客の体験にどのような変化が生まれましたか?

新名:一番の変化は、電話がつながらない時間帯や混雑時でも、お客様が疑問を「その場で聞ける」状態になったことです。先ほどお伝えした通り、根拠ページのリンクまで提示されるので、回答の裏付けを確認したうえで納得して購入に進んでいただけている実感があります。

定量的な成果も顕著に表れています。
まずコスト面では、AIチャットボットの導入により、購入前の電話問い合わせ数が約25%減少しました。あわせて、外部委託先での対応しきれなかった入電を示す「放棄数」も約51%改善し、取れなかった電話をほぼ半減できています。1件あたりの対応コストを電話の約1/3に抑えつつ、放棄呼による機会損失を防げている状態です。

直近の2月は、新規LPの公開や広告施策によりECサイト全体のトラフィックが増加していましたが、アクセス増に反して電話問い合わせは減少するという理想的な推移を見せました。AIが「電話に至る前の疑問や不安」を先回りして解消できている手応えを感じています。

この対応力の向上は、売り上げにも直結しています。サイト全体でCVRが約20%向上したほか、これまで課題だった休業日の対応をAIが担うことで、懸念されていた平日との売上差が解消されました。

カスタマーサポートは少人数とのことでしたが、AIチャットボットのメンテナンスなど、運用面で困ることはないですか?

新名:運用では、特に困ることはないですね。私たちはFAQを追加した以外、ほとんど何もしていない状態ですがAIチャットボットの成果は持続しています。表示条件も導入時から変更しておらず、今のところ改善の必要性を感じていません。

木幡:それを伺えてよかったです。初期構築後にほぼ手を加えずに効果が持続できているのは、「シンプルにスタートした」からだと思います。初期に仕組みを作り込むことにフォーカスしすぎず、まず世に出すこと自体に意味があります。
完璧を目指すよりも、まず早期に学習が始まる状態をつくることが、結果としてシンプルかつ精度の高いチャットボット構築につながったと考えています。

「購入ボタンを押す直前のドキドキ」に、もう一歩寄り添う

今後、取り組みたいことを教えてください。

新名:現状には満足しているのですが、やってみたいことのアイデアを出してみると、画面上にAIの人物が表示されて対話できるようなサービスには興味があります。リアルに近い人物が、お客様に安心感を持って接客対応するイメージです。
また、私の親世代を見ていると、スマホでの文字入力が苦手で音声入力を使っている方も多いので、音声でやりとりできる仕組みがあれば、年齢層の高いお客様にも使いやすいのではないかと感じています。

木幡:カート画面や、商品をカートに入れたあとなど、購入直前のタイミングで接客の出し方を最適化していくことが次のステップだと考えています。また、現在はFAQだけがCMSに入っていますが、商品データとも連携すればレコメンド機能を持たせることもできます。お客様の行動に応じたパーソナライズ表示で、より「自分のための情報だ」と感じていただける余地があると見ています。

新名:商品データの活用は頭になかったのですが、チャットで「こういう用途ならこのサイズ」と商品がずばりで表示されるのはいいですね。ぜひやってみたいです。
購入ボタンを押す直前の「本当に大丈夫だろうか」という最後のためらいに、一言添えて寄り添えるような仕組みがあれば、さらにお客様の後押しになると思います。

他社がスワニーさんと同様の取り組みを検討する際のヒントはありますか?

木幡:スワニーさんのケースは、スモールスタートでも十分に成果が出ることを示しています。カスタマーサポートが不要な企業はないと思うので規模や業界を問わず適用可能だと考えています。スワニーさんのように、まずシンプルに始めて学習を開始するというアプローチは、他社様でも有効な場合があるのではないでしょうか

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