Event Report

CX向上の施策を社内に広げるために。GOLD STAR企業が語るKARTE活用の"コツ"

2023年7月に「事業成長をCXのデジタル変革で牽引する」をテーマに開催された「KARTE CX Conference 2023」。登壇したのはKARTE Friendsを表彰する年に一度のアワード「KARTE STAR」GOLD STAR受賞の3社。株式会社JTBの小野道隆氏、株式会社雨風太陽の小林工馬氏、エン・ジャパン株式会社の渡邊伶氏。GOLD STAR受賞後の変化から導入初期のよくある“つまずき”KARTEの楽しさなど和気藹々と語り合いました。

顧客体験向上(CX)、デジタルによる事業変革(DX)、従業員およびチーム変革(EX)に取り組むKARTE Friendsを表彰する年に一度のアワード「KARTE STAR」。2023年度はJTB、雨風太陽、エン・ジャパンが、KARTEとともにチャレンジを続け、最も輝いたKARTE Friendsに贈られる「KARTE GOLD STAR」を受賞しました。

2023年7月に「事業成長をCXのデジタル変革で牽引する」をテーマに開催された「KARTE CX Conference 2023」では3社のKARTE活用のキーパーソンが集合し、パネルディスカッションを開催。GOLD STAR受賞後の変化から導入初期のよくある“つまずき”KARTEの楽しさなど和気藹々と語り合いました。

登壇したのはGOLD STAR受賞の3社。株式会社JTBの小野道隆氏、株式会社雨風太陽の小林工馬氏、エン・ジャパン株式会社の渡邊伶氏。モデレーターは株式会社プレイドの大畑充史が務めました。

CX向上や事業成長に寄与する、三者三様のKARTE活用

冒頭では自己紹介も兼ねて、3社のKARTE活用の取り組みと「KARTEは一言で言うと、どのようなサービスか?」という質問に答えてもらいました。

小野氏:JTBでは、JTB公式サイトのCX改善や旅行商品の販売拡大を目的に、2019年3月にKARTEを導入しました。今ではサイトでのポップアップ施策だけでなく、クーポンページの自動運用施策や全国旅行支援に伴うサイト改善など、幅広い用途で使っています。

私はKARTEを「トライ、没頭、巻き込む」という3つの言葉で表現しました。社内で新たな動きや成果を生み出すためには、誰かが新しいトライを始め、没頭する姿に周囲が巻き込まれて、次のトライにつながる……といった循環が必要です。

KARTEはJTBの中にそうした好循環を生み出してくれました。ノーコードで簡単に施策を実装できるため、私を含め運用するメンバーは全員非エンジニアでしたが、導入当初からどんどんPDCAを回し、トライを重ねることができました。今振り返ると「さすがにポップアップを出しすぎたかな」と反省することも多いのですが(笑)それほどKARTEを使った仮説検証は楽しく、没頭できました。

参考記事:KARTE STAR 2023 「GOLD STAR」受賞インタビュー:株式会社JTB

goldstar 01

小野 道隆 株式会社JTB Web販売事業部 ホームページ戦略部 グループリーダー
JTBではフロントエンドエンジニア・Webアナリストとして、KARTEを活用したサイト改善施策を中心に活動。社内の「ワガママ」を受け止めることをモットーとしており、KARTEでなんでもやってしまうことから「KARTEマスター」や「魔法使い」などと呼ばれている。

小林氏:雨風太陽は、2019年末に食材の産直ECアプリ「ポケットマルシェ」にKARTE for Appを、翌年同サービスのWebサイトにKARTEを導入しました。初期はサイトやアプリでの接客に活用していましたが、2年前からは蓄積された行動データをユーザー分析や顧客戦略の策定、実行にも活かしています。

KARTEは自分自身や雨風太陽にとって「宝箱」のようなものだと思っています。KARTEの行動データを分析することで、体験向上につながる顧客のインサイトを沢山発見できました。それらのインサイトは私たちにとって“宝”であり、データの分析は宝探しのようだと感じています。

最近では発見したインサイトを、プロダクトや事業成長に寄与する戦略や施策に落とし込み、実行するサイクルを回し始めています。KARTEは顧客の体験向上のためだけではなく、プロダクトや事業の成長にも欠かせない“宝箱”になりつつあります。

参考記事:KARTE STAR 2023 「GOLD STAR」受賞インタビュー:株式会社雨風太陽

goldstar 02

小林 工馬 株式会社雨風太陽 マーケティング部 部長
新卒でジーユーに入社。店舗運営、商品マーケティング、EC事業を経験。 2019年にポケットマルシェ(現雨風太陽)にジョインし、コンテンツ運用、toB事業を経験したのちKARTEの主担当となり、2年間で1000件を超える接客を実施。現在はマーケティング部の部長として事業全体のCXの向上とビジネスグロースをリード。

渡邊氏:エン・ジャパンでは企業の採用支援ツール「engage」や求人サイト「エンゲージ」などのサービスにKARTEを導入しています。マーケティング目的のサイト改善やデータ活用だけではなく、カスタマーサクセス領域におけるサポートの改善にもKARTEを使っています。

KARTEは、特にエン・ジャパン若手マーケターにとって「頼れる相棒」だと思います。新卒1、2年目のマーケターにとって、人事採用担当者や転職希望者のニーズやインサイトを掴むのは容易ではありません。採用はもちろん、転職の経験もない人がほとんどですから。

ですが、顧客のサイトでの動きを動画で把握できる「KARTE Live」やKARTEの行動データを活用することで、若手マーケターでも顧客の困りごとへの理解を深められるようになりました。

また、それらのデータを根拠に用いることで、上司やチームメンバーへの施策提案や議論が進めやすくなったという声もあります。顧客理解を深めるだけでなく、周囲を巻き込んで施策を形にしていく上でも、KARTEは頼れる相棒になっています」

参考記事:KARTE STAR 2023 「GOLD STAR」受賞インタビュー:エン・ジャパン株式会社 

goldstar 03

渡邊 伶 エン・ジャパン株式会社 デジタルマーケティング部 リーダー
人材業界の営業職を経て、2019年にエン・ジャパン株式会社に中途入社。データアナリストとして、複数サイトのデータ分析を担当。2022年からマーケティングの仕事を始め、求人サイト「エンゲージ」のグロースを担当。現在は、4名のマーケターをマネジメントしながら、マーケティング戦略を推進している。

採用活動にも好影響!KARTE GOLD STAR受賞後の変化

自己紹介の後は、KARTE GOLD STAR受賞後による変化について聞きました。3人が共通して上げたのは、社内からの想定以上のポジティブな反応や活用意欲の高まりです。

小野氏:以前からKARTEを知っている方は社内にいたので、一定の反応は予想していたんです。ですが、想像以上に多くのポジティブな反応が届いて、正直驚きました。

最近では社内から「KARTEでやれないかな」といった声が聞こえてくることも少なくありません。これまで皆がKARTEを知っているのはわかっていましたが、どのように捉えているのかは見えていませんでした。受賞によって「こんなにも前向きに使ってみたいと思ってくれていたんだ!」と嬉しく思っています。

小林氏:私も小野さんと同様に、社内でKARTEを活用してできないかという会話が増えました。GOLDを受賞したと伝えると「すごい」という反応の後に「具体的にKARTEで何ができるの?」と興味を持ってくれて、会話が広がることも多いですね。

goldstar 04

大畑:渡邉さんはいかがですか?

渡邊氏:社内の反応は小野さん、小林さんと同じでポジティブな反応を受け取っています。

少し異なる話だと、エン・ジャパンの採用広報において「GOLD STARを受賞しました!」と伝えることで、マーケティングに力を入れている会社であるとアピールしやすくなりました。

エン・ジャパンは比較的、人材業界・営業に強い会社というイメージを持たれることが多いのですが、最近はマーケティング部門の採用に力を入れているんです。今回、特に新卒1、2年目のメンバーが受賞したことで、若手が挑戦できるカルチャーとセットで、KARTE活用における成果を伝えられるようになりました。新卒向けのセミナーで紹介すると、受賞内容に興味を持ってくれる学生さんも多いんです。

小野氏:採用に関してだと、JTBでもマーケティング関連の業務に興味のある学生向けのインターンプログラムにKARTEを活用しようという話が挙がっているんです。渡邉さんの話を聞いて、私たちも受賞のアピールを検討したいと思います。

goldstar 05

小林氏:採用広報で伝えていくのはいいですね。私自身も採用活動に関わる中で「GOLD STARを獲った」という実績は興味を持ってもらうフックになるなと感じることがあります。雨風太陽は、現状マーケティング職に特化した採用は行っていませんが、今後実施する機会があれば同じくしっかり伝えていきたいですね。

「顧客のためになった」と感じると、KARTEはもっと楽しくなる

続いては、KARTEの活用において悩みの多いトピックについて掘り下げていきます。一つ目はどのように導入後に活用を軌道に乗せるかについて。それぞれが「導入初期に取り組んでよかったこと」を共有しました。

JTBの小野氏は、分析や施策に必要な「計測タグ」の設置をやり切ったことを挙げます。

小野氏:KARTEの計測タグを設置するには、JavaScriptの知識が一定必要になるので、エンジニアに任せるケースも多いと思います。

ですが、私は『自分でできたら世界が広がるのでは』と感じ、GoogleのタグマネージャーやJavaScriptの勉強しながら自分で設定を進めました。

最後までやり切ったことで達成感を感じましたし、KARTEを使って、もっと色々トライしてみようという気持ちが増しました。もちろん「全員がタグの設定をするべき」とは思いません。ですが、少し難しそうに感じることも一度は自分でチャレンジして自信をつけることで、活用のモチベーションも高まるかと思います。

JTBでは、新しくKARTEを使うメンバーに対して、必要に応じてヘルプをする前提で、チャレンジしやすい空気づくりを意識しています。

goldstar 07

大畑:JTBの社内で活用が進んでいるのも、小野さんの空気づくりの賜物かもしれませんね。雨風太陽の小林さんは、導入初期に取り組んでよかったことはいかがですか?

小林氏:ユーザーストーリー(※)をじっくり見ることですね。

導入初期はそれまで実行できなかった施策を次々に試したくなると思います。ですが、アクションしてばかりで振り返りを怠ると、新たな仮説や施策のアイデアも生まれづらくなってしまいます。

なので、導入初期こそ接客を配信したら、接客を受けた一人ひとりの顧客をユーザーストーリーでじっくり見て、行動の変化を分析することをおすすめします。

分析して、自分の作成した接客が「ちゃんと顧客のためになっている」と実感できると、KARTEを使うのがどんどん楽しくなってくると思います。

※サイトやアプリを訪れた一人の行動にフォーカスし、セッション単位の行動を細かくみられるKARTEの機能

goldstar 07

渡邊氏:小林さんの「次々試したくなる」という話、とても共感します。

だからこそ、導入初期は「課題を一つに絞って施策をやってみる」ことが大切だと思っています。KARTEには多種多様な機能が揃っていますし、導入後は「早く成果を出したい」という焦りも相まって、つい色々な課題や施策に取り組もうとしがち。

ですが、まずは一つの課題に絞って、解決のためにどう施策を組み立てるか、効果をどう計測し、次につなげるのか。一連の改善サイクルをやりきることが大事だと思います。その過程でわからないことが出てくるので、都度プレイドの方の力も借りながら解決していくといいと思います。

そのように改善サイクルの回し方をしっかり学んだ上で、他の課題にも着手するほうが、より効率的にKARTEを活用し、課題を解消していけるはずです。

大畑:私自身、カスタマーサクセスとしてKARTEの導入をサポートしていた時期があるのですが、確かに「ポップアップを出しすぎる」や「最初は施策を次々に試してしまう」は導入初期には起こりやすい“つまずき”かもしれません。

goldstar 08

大畑 充史 株式会社プレイド 執行役員

小野氏:まさに。私もお二人と同様、試しすぎてサイトが無法地帯になっていました(笑)

大畑:そうした“つまずき”を皆さんはどう乗り越えましたか?

小野氏:最初はスプレッドシートに施策一覧をまとめて、管理するようにしましたが、これが長く続きませんでした。複数人で活用すると施策数も増え、メンテナンスが大変になってしまったからです。

そこからは個別に施策を管理するのではなく、ガイドラインを作成し、すべての施策において遵守するようにしました。たとえば「ポップアップは重複しないように設定する」「同じページで複数のポップアップは出さない」など、それまで課題に上がっていた事象がそもそも起こらないようなルールを設けました。ガイドラインは新たなイシューや課題が発生する度に随時アップデートするようにしています。

小林氏:私たちも全施策をスプレッドシートで管理する方法は続かなかったですね。現在は、基本的なガイドラインを作成した上で、施策が重複しがちなトップページのみ管理用シートを作成。上長同士で施策の優先順位を決定するフローを運用しています。

大畑:渡邊さんはいかがですか?

渡邊氏:お二人と別の観点だと、施策の必要性や優先順位を顧客のジャーニーと照らし合わせて判断するようにしています。

engageであれば『人事担当者が求人を作成し、求職者から応募が集まる』という成功までのジャーニーがあります。それに沿って施策が必要かを判断したり、あるいは場合によってはジャーニー自体を描き直したりしています。あれもこれも施策を試したいときほど、顧客のジャーニー全体を俯瞰で見ることを心がけています。

goldstar 09

KARTEから始まる、個人と組織、そして事業の変革

締めくくりには3社のKARTE活用における展望について伺いました。小野氏は「0から1を生み出すことが最も大事だと思う」と語り、今後も新しいトライをし続けたいと意気込みます。

小野氏:冒頭に話した通り、組織に新たな動きや成果を生み出すためには、誰かがトライを始め、周囲を巻き込むことが大切です。

私を含むKARTE導入時のメンバーが0からKARTEを使い始めて、社内に新しい事例や成果という1を生み出すことができたのではないかと思っています。これからKARTEを一緒に活用するメンバーには、その1を10にするだけでなく、0から1を生み出すことにトライしてもらえたら嬉しいなと思っています。

そのためにも、私自身が今後も0から1を生み出し続けたい。たとえば今日のカンファレンスで紹介されていた「KARTE Craft(KARTEの機能を開発できるプロダクト)」の活用によって、これまでにない施策を実現できるのではと、非常に興味を持っています。KARTEの魅力はツールの進化が非常に速いこと。今後もキャッチアップして新しいトライを重ねていきます。

goldstar 10

渡邊氏は、KARTEを使った部署横断の議論の活性化や、若手マーケターのKARTEの育成に取り組んでいきたいと語りました。

渡邊氏:マーケターや開発、カスタマーサクセスなど、職種によって得意な思考や持っている視点は異なります。意見が割れた際、エン・ジャパンではKARTEの行動データをみながら、顧客の課題やニーズについて共通認識を持った上で議論するようにしています。

顧客のデータという議論の土台があることで、ただ衝突するのではなく、新たなアイデアの創発が起きることもあるんです。今後もKARTEを土台に部署を超えて議論を活発に行っていきたいです。

もう一つは、若手マーケターの育成です。KARTEの機能をどう使うのかなど、テクニカルな面は非常に成長を感じているのですが、顧客のインサイトをどう抽出するのか、施策をいかに立案するかといった考え方の面は、まだまだ伸びしろがある。私自身から、活用における考え方やマインドの言語化、形式知化に取り組んでいけたらと思っています。

goldstar 11

小林氏は、KARTEによる改善のインパクトを“量”で証明し、事業により貢献していきたいと展望を示します。

小林氏:KARTEのデータを活用することで、一つひとつの顧客行動が、どういった流れの中で発生したのか、“線”で捉えられるようになりました。どういうステップを踏めば、サービスの魅力を理解し、使い続けてくれるのか。いくつかの線が見えてきているところです。

今後は一人ひとりの線の体験とともに、どれくらい同じ行動や体験をたどっている人がいるのか、しっかり量を捉えられるようにしたいと思っています。線の体験に沿った改善が、実際にどのくらい事業やサービスにインパクトがあるのか、データをもとに証明していきたい。それによってKARTEをサービスの体験向上だけでなく、事業変革にも、より一層活かしていけるはずです。

goldstar 12

チームや部署を超えてKARTEを活用し、CX向上や事業の変革にチャレンジし続けるお三方。その実践からは、導入初期の注意点や行動データの活かし方などの具体的なノウハウはもちろん、仮説検証や顧客を知ることの“楽しさ”も伝わってきました。

goldstar 13

SHARE