KARTE STAR 2024 「GOLD STAR」受賞インタビュー:株式会社JTB
KARTE STAR 2024 「GOLD STAR」を受賞した株式会社JTBのチームの皆様へのインタビューをお届けします。
KARTE活用企業(KARTE Friends)のチャレンジを表彰する年に一度のアワード「KARTE STAR」の受賞企業が今年も決定いたしました。
KARTE STAR 2024の「GOLD STAR」を受賞したのは、昨年の「KARTE STAR 2023」でもGOLD STARを獲得した株式会社JTBの皆様。
昨年も顧客体験向上(CX)、デジタルによる事業変革(DX)、従業員およびチーム変革(EX)と、幅広い領域でKARTEを活用していただいていましたが、今年はさらにKARTEを活用するメンバーが増え、事業部を越境して活用領域が広がりました。
株式会社JTB エントリー内容(一部抜粋)
今回の取材では、新たにKARTE運用に加わった方もお招きし、上記の結果に至った過程やその他にも生まれた波及の成果などについてお話を伺いました。
※KARTE STARは、顧客の体験向上(CX)、デジタルによる事業変革(DX)、従業員およびチーム変革(EX)に取り組むKARTE活用企業(KARTE Friends)のチャレンジを表彰する年に一度のアワードです。KARTEとともにチャレンジを続け、輝きを放つKARTE Friendsに進呈する賞であることから「KARTE STAR」と命名しています。
プレイドでは、KARTE STARの表彰によって、KARTEによる顧客体験向上や事業成長を成し遂げた方々の栄誉を称え、そのベストプラクティスを広く共有することを目指しています。
KARTE STARでは、各社からエントリーいただいた内容を「顧客の体験向上」、「デジタルによる事業変革」、「従業員およびチーム変革」の3つの観点から評価させていただき、KARTE GOLD STAR、KARTE SILVER STAR、KARTE BRONZE STARを選定しています。KARTE STARの詳細に関しては下記のプレスリリースをご覧ください。
プレイド、KARTE活用企業のチャレンジを表彰する「KARTE STAR 2024」を発表
2年連続受賞。飛躍的に増えたKARTEの活用メンバーと領域
2年連続の受賞おめでとうございます!受賞された時の社内の雰囲気はいかがでしたか?
湯本:受賞のお知らせを聞いた小野が、急に私の席に来て握手を求めてきたのが印象深いです。何事かと思いました(笑)
小野:メールで結果を見てすぐに「よっしゃ!」と席の周りで盛り上がりました。昨年、KARTE Friends THANKS DayとKARTE STAR授賞式に参加させていただいて「こんなに素敵なイベントなんだ」とちょっと感動していたので、今年も授賞式を楽しみにしていました。
湯本:前回はホームページ戦略部UI/UX課がメインで授賞式に参加していたのですが、今年はKARTEに関わるメンバーも増えたので、ホームページ戦略部全体で参加しようと思っています。昨年は受賞メンバーが写ったGOLD STARのタペストリーを部内に一ヶ月くらい飾って告知はしていたのですが、いまいち雰囲気が伝わっていなかったので……(笑)、今回は部内全体に受賞の雰囲気を伝えられればと。
湯本 和人さん
富田:私は昨年は部内に飾られていたタペストリーを横目で見ているだけでした。今年から私もKARTEを活用するようになり、エントリーの中にも私が携わったA/Bテストの内容が入っているので受賞できて嬉しいですし、「自分も関わることができてよかった」と思いました。
小野:昨年の授賞式はみんなでものすごく楽しめたので、エントリーが始まった時には「この季節がまた来たか!」と思いましたね。あの楽しさをまた経験したいと思いましたし、昨年以上にさまざまなメンバーがKARTEに関わってくれているので、そのメンバーと一緒に授賞式の場に行きたいという思いで、エントリーシートも書きました。
森田:本当に昨年よりも多様なメンバーを交えて「KARTEを使って何ができるだろうか」を議論できるようになりました。KARTEを活用できる範囲も広がっています。これからもさらにいろいろな人がいろいろな使い方をできるようになると思っていますので、引き続きみんなで頑張っていきたいと思っています。
小野:KARTEを活用しているのは昨年はUI/UX課のメンバーがほとんどだったんですが、今年はKARTEの活用が社内でものすごく広がりました。本当に幅広い人がいろいろな使い方をしているので、今年はその部分を強く押し出したかったんです。
小野 道隆さん
A/Bテストから新卒採用まで。あらゆる領域で「KARTEでやってみる」を実現
今回のエントリーにあたって、6つの項目に分けて、取り組んだプロジェクトとしてご紹介いただいたのですが、それぞれについて教えていただけますでしょうか。
小野:一番多くのメンバーが関わっているのがA/BテストとBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)系でしょうか。特に、A/Bテストでは、日々みんなでアイデアを出し合っています。今年は、年間100以上のアイデアが出て、40本以上のA/Bテストを実行できました。
それぞれのアイデアに関しても変化がありました。これまでは成果が出たり出なかったりと、もがき苦しみながらアイデアを出していたのですが、最近は感覚的なアイデアではなく、データを参照しながらアイデアを出し合うようになっていて、大きな進化だと感じています。それに、全員の視座が上がって、それぞれが自主的に周囲を巻き込みながら、施策の実施に向けて動くようになっているのも良い変化だと感じています。
A/Bテスト事例1。ツアーに誘導するCTAボタンが存在しなかったが、未実施とAパターンでテストを実施し、Aパターンの方が効果が高い結果に。その後、Bパターンとのクリエイティブ違いのテストを実施してBパターンの勝ちとなった。
森田:私はA/Bテストに一番関わってきました。これまでは、改善しても検証がほぼできていない状態だったのですが、A/Bテストプロジェクトが立ち上がったことで、高速でA/Bテストを実施しながら効果検証もできたので、昨年に比べてユーザー視点でサイト改善ができるようになったかなと思います。
森田 恵莉加さん
富田:私もA/Bテストに主に関わっています。これまでは商材によって担当が分かれていたので、なかなか担当者間で「どういうことをやってる?」と相談しあったり、アイデアを出し合ったりする場がありませんでした。A/Bテストのプロジェクトによって、担当商材の垣根なくアイデアを出し合ったり、仮説検証結果もみんなで確認し合ったりできるようになっていきました。思うような結果が出なかった時も、次のアクションに向けた改善策についてみんなで意見を出し合えるようになったので、昨年よりも知見の共有ができるようになりましたし、アイデアもたくさん出るようになりました。
A/Bテスト事例2。以前は絞り込みをした条件数が表示されていなかったため、絞り込みをしているかどうかをユーザーが認識しづらかった。絞り込み条件数を表示されるようにしたBパターンとテストし、Bパターンの勝ちとなった。
セリン:昨年はA/Bテストを、起案からテスト、結果の共有までを個人でやっていましたが、今年はより組織的に動けたのが印象的でした。「どうしてテストがダメだったのか」という失敗の知見も蓄積されてきているので、テスト結果が良くなくても、次のアクションを効率よく提案できるようにもなったと思います。
A/Bテストの提案自体は100くらいはあったのですが、「やらなくていいな」と思うものはほぼないんです。そういう中で、フロントエンジニアとしては、これらの提案をできるだけ早く正確に実装するように意識しています。
あとは、プレイドの方とも隔週で定例会議をさせていただいて、A/Bテストでつまずいているところのサポートや新しい取り組みについて相談ができたのも非常に良かったです。
崔 世林(チェ セリン)さん
大石:今年はA/Bテストとレコメンドプロジェクトを中心に取り組みました。後者を中心に思い返すと、ディレクターとしてプロジェクトに関われたのが良い経験でした。1年目はKARTEでフロントエンドエンジニアとして成長できましたし、2年目は社内外の複数のステークホルダーと関わりながらプロジェクトを推進する経験を積むことができました。
私とセリンが同時に参画したレコメンドプロジェクトは、長くA/Bテストを実施しているものの、思うような成果が出ていない状況でした。そこで、KARTEのユーザーストーリーや行動チェーンを活用し、改めて課題を洗い出してみました。そこからA/Bテストの場所やデザインの変更など、まさにUI/UX課ならではの提案をしてみると少しずつ成果が出せるようになってきました。これも1年目の時の経験が非常に活きていると思っていますし、そもそも、KARTEによってレコメンド施策ができなければ、こういった機会を得ることもできなかったので、KARTEはスキルアップのみならず、キャリア形成にとてもプラスに働いていると感じています。
大石 周さん
A/Bテスト事例3。以前はフライト情報が表示されておらず、フライト情報を変更するためには画面上部までスクロールする必要があった。選択中のフライトを追随するメニューの中に表示するようにしたBパターンとテストし、Bパターンが勝ちとなった。
新卒採用でKARTEをご活用いただいているのも、すごくユニークな事例だと感じました。
湯本:私は新卒採用のインターンシップにも関わっていて、JTBでは昨年から「Digital Advanced」という5日間のインターンシップを実施しています。その一環でわれわれもKARTEを活用したプログラムを準備しました。参加される就活生に対して、何か今後の就職活動に役立つものを持って帰ってもらいたいと考え、実際のリアルな業務を深掘りする形で体験してもらうことにしたんです。
その中で、実際にユーザー像を決め、カスタマージャーニーを考えてプロトタイプをつくり、KARTEの配信条件も考えるというJTBのデジタルマーケティングの一連の業務を行ってもらいました。普段、日常的にスマホを触っている世代だからか、作成してもらったポップアップのクリエイティブも非常にクオリティが高かったです。
実施後、学生さんからは「自分が考えたデザインがJTBのサイトに表示されてものすごく感動した」と、非常に高い満足度を得られました。KARTEを知らなかった参加者も多く、「こんなことができるんだ」という驚きの声ももらいました。インターンシップ参加者のうち6割以上が早期選考にエントリーしてくださったので、採用にも貢献できたと思います。
重野:担当している部署が違うのでエントリー内容には記載していないんですが、KARTEでUI/UXを改善することでクレームがゼロになったり、問い合わせも大きく減ったという実績もありました。KARTEを使って実装したプランで企業案件の受注に一役買ったという実績もあります。Web販売事業部以外の施策でも、KARTEを活用した施策がJTB社内全体で認められた年になったかなと思います。
重野 学さん
KARTE Craftを活用して実現した、大幅な業務効率改善
BPR施策としてエントリーシートに記載いただいたクーポンの自動化施策においては、KARTE Craftを活用していただきました。まだ新しいプロダクトですので、どのように取り組んでいただいたかお伺いできますか?
小野:KARTE Craftは、外部のツールとバックエンド連携ができるようになる“魔法”のツールですね。KARTE Craftを使って元データからデータを取ってくることさえすれば、APIも自分たちで作ることができてしまいます。
KARTE Craftの仕組み
APIをつくるまではまだ活用できていないんですが、以下のようなクーポン残数についての自動通知の仕組みを作りました。
- スプレッドシートから、クーポン残数APIリクエストキーを取得する
- 社内のクーポン残数APIから、クーポンの残数を取得する
- クーポンの残数がなければ接客を停止し、Slackに接客停止を自動通知する
KARTE Craftを活用した連携のイメージ
重野:私はコンテンツマネジメント課として、クーポン掲載の運用を担当しているのですが、クーポン掲載の自動化で業務の効率化がとても進みました。
芹田:クーポンのオペレーションの自動化は大きな変化でした。クーポンが在庫切れになった場合に必要な金額変更などのオペレーションはこれまでは手動で行っていて、かなりの業務負荷になっていたんです。しかも、クーポンの種類もたくさんありますし、さらにそれをKARTEでユーザーの条件ごとに出し分けていて。その膨大な作業をKARTE Craftの仕組みを使って小野さんが自動化してくれたので、部内の業務負荷が大幅に減りました。
芹田 南美さん
KARTE Craftの導入は、弊社から紹介させていただいたのがきっかけだと思うのですが、最初の印象はいかがでしたか。
小野:正直に言うと「よくわからないな」と最初は思っていました。でも、何ができるか調べてみると、本当に何でもできそうだったので、まずはやってみようと思いました。何でもいいからやってみて形にしようと思ったんです。
芹田:KARTE Craftまわりは小野さんがすべて実装したので、私は「自分の手で触った」という実感はないのですが、とにかく画期的で便利な印象がありました。
御社では、他のグループ企業も含めて、KARTEの相談が生まれているとお伺いしました。その波及についてもお聞かせください。
小野:マーケティング課やCRM推進課といった他の部署の人たちは、「UI/UX課がいろんなシーンでKARTEで課題解決をしている」という噂を聞いて声をかけてくれるようになったのかなと思っています。グループ企業に関しては、いろいろな経緯があると思うのですが、他のプロジェクトで連携していたことも背景にありそうです。私たちの取り組みを噂で聞いていたこともあるでしょうし、そもそもグループ企業のメンバーが独自にKARTE導入を検討していて、情報収集をしていたのもあるはずです。
さまざまなツールがある中で、KARTEを使っていただこうと思っていただけるのは何が理由なんでしょうか。
小野:いろいろな見解があると思いますので、私の考えとして述べますね。KARTEはデータ連携の機能が優れており、グループ間でデータ利活用の一本化を担う基盤になれる可能性があるというのが私の認識です。もちろん、データ統合だけなら他の基盤もありますが、ユーザー一人ひとりのリアルタイム解析という特長に加えて、KARTEで解析するユーザーデータと外部データの紐づけや、イベントからリアルタイムにセグメントを生成してすぐに解析できるといった機能はKARTEにしかありません。また、ユーザーを「群」として捉えることもミクロにn1を追うこともでき、その往復もしやすい。これらがKARTEならではの独自性ですね。
さらにはKARTE Craftも出てきました。社内のデータ活用推進担当がKARTE Craftの存在をきっかけに「KARTEは拡張性があっていいよね」と評価していました。
今後KARTEを活用して実現したいこと
最後に、皆様の今後の展望や目標があれば教えてください。
重野:クーポン自動化によって、社内に「KARTEファン」が増えたと実感しています。単にファンというよりも、信頼に近い気持ちが醸成されていますね。KARTE Craftを使えばもっと高度なことができるのではないかと期待しているので、来年もGOLD STARを取って“殿堂入り”したいです。
小野:クーポン自動化を実装後、「これもKARTEでやれないか?」という相談が部門を越えて舞い込んでくるようになりました。自動化のニーズを抱えているチームは多いので、実績を作って組織横断的に裾野を広げていきたいですね。
湯本:KARTEの利点は機動力の向上に寄与するところだと思っています。JTBの場合はすぐに変更できないページも少なくないのですが、KARTEをうまく活用することで、暫定対応を行ったり、今後仕様が変わる可能性がある要素を実装したりしました。加えて、A/Bテストのような「課題解決のために試してみたい」という施策も実施できています。今後もKARTEの最大の利点である機動力を意識して施策を展開していきたいです。
セリン:来年度は、KARTEで今以上にユーザー行動を理解できる環境も期待できると聞いているので、ユーザー行動やユーザーの構成を気にしながら、どのユーザーにどのA/Bテストをするのか考えていきたいと思います。
大石:n1分析やユーザーストーリーを活用し、ユーザー行動の理解を深めていきたいと思っています。ユーザーになりきることを意識しながら、A/Bテストでもレコメンドのプロジェクトでも効果的な施策を提案できるようになりたいです。
富田:まだまだA/Bテストの結果に対して「どうしてこういう結果になったんだろう」という行動の深掘りができていないです。今年はメンバーも増えましたし、来年はさらにユーザー行動を深く考えた改善を行っていきたいです。
森田:私も富田さんと同じくA/Bテストにおいて、改善サイクルは確立できたと思うものの、分析はまだまだ深掘りできると感じています。KARTE Liveなども活用しながら、ユーザー行動の深堀りをしていきたいと思っています。
芹田:私はポップアップでのクーポンの見せ方に課題を感じているので、お客様にわかりやすい形に改善したいと考えています。
小野:チームみんなの話を聞いて、それぞれの課題を解決するアクションを先陣を切ってやっていきたいと思いました。ユーザー個別のn1分析ができていない、KARTE Liveを活用できていないというところも、他部門と連携し、環境を整えていきたいです。打ち手自体は考えているので、とにかく「0→1」をたくさんやってみて、裾野を広げていくということをしっかりやっていけたらいいなと思っています。
3年連続GOLD STARも期待していいのでしょうか?
小野:このメンバー、そしてこれからメンバーになる方々と力を合わせて頑張ります!
KARTE Friends THANKS DAY 2024 表彰式において
JTBの過去の取り組みについてはこちらの記事でもご紹介しています。詳細は各記事をご覧ください。
KARTEによる業務プロセス改善がCX向上に貢献、JTBにおけるBPRの実践例
CX向上の施策を社内に広げるために。GOLD STAR企業が語るKARTE活用の"コツ"