用語解説

Cookie(クッキー)とは?顧客視点を持った情報の取り扱い方を心がけよう

インターネットでは、Cookie(クッキー)という技術を使い、ユーザーの閲覧情報等を保存することで、オンラインでの体験を向上させています。大変便利な技術ですが、プライバシーの観点から気をつけておきたいことも。今回は、Webマーケティングの基礎知識として、Cookieの仕組みやチェックしておくべき点を紹介します。

インターネットでは、Cookie(クッキー)という技術を使い、ユーザーの閲覧情報等を保存することで、オンラインでの体験を向上させています。大変便利な技術ですが、プライバシーの観点から気をつけておきたいことも。今回は、Webマーケティングの基礎知識として、Cookieの仕組みやチェックしておくべき点を紹介します。

Cookie(クッキー)とは?

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Cookie(クッキー)は、ブラウザに保存される小さなデータです。サイトへのアクセス時に自動的に送信される点に特徴があります。

Cookieを用いることで、サイト上でユーザーのログイン状態を維持したり、ログイン設定を記憶したりとユーザーの利便性に大きな役割を果たしています。

CookieはWebの初期からある一般的な技術であり、ウェブブラウザのシェア1位であるGoogle Chromeを始めとするほぼ全てのブラウザで使用可能です。そのため多くのサイトで利用されています。

参照:HTTP Cookie - HTTP | MDN

Cookie(クッキー)とキャッシュの違い

Cookieとキャッシュについて整理しておきましょう。キャッシュは、閲覧したWebページの画像などを一時的に保存し、2回目以降に表示する時に、前回の情報を読み込むことで、表示スピードを早くすることができる仕組みです。

サイトからの情報をブラウザに保存するのはCookieとの共通点ですが、Cookieは次のアクセス時にサーバに自動的に送り返される点がキャッシュと異なります。

Cookieのこの性質を利用すると、サイトに誰がアクセスしたかを識別し、ブラウザごとの情報の管理を行うことができます。

Cookie(クッキー)でブラウザを判別する仕組み

次に、Cookieでブラウザを判別する仕組みを解説します。

まず、Webサイトに最初にアクセスされた時、ブラウザごとに固有の値を、サーバーからCookieとして送りブラウザへ保存します。この値はサーバー上のデータベースなどにも保存しておきます。
それ以降、同じサイトにアクセスする時には、保存された値がブラウザからサーバーに送られるようになります。この値をサーバー上で照合することで、前回のアクセスと同一のブラウザであると判別することができます。

アクセスしてきているブラウザを判別することができれば、サイトの利用の履歴やその他の情報をブラウザの利用者と紐付けて活用することができます。

Cookie(クッキー)の種類

Cookieは発行元によって、1st party Cookie(ファーストパーティークッキー)と3rd party Cookie (サードパーティークッキー)の2種類に分けることができます。

1st party Cookieは、アクセスしているサイトが発行したCookieです。アクセス解析やログイン状態の保存、カートの管理などのために利用され、サイトを横断した利用を目的としません。

一方、3rd party Cookie は、アクセスしているサイト以外から発行れるCookieです。この仕組みは広告で多く利用されており、サイトを横断した計測のために利用されます。

ブラウザでの行動データを記録することで、年齢性別や趣味嗜好とブラウザがひも付きます。このおかげで、ユーザーの属性や志向に合わせてより訴求できる広告を表示する行動ターゲティング広告が利用できます。

参考:リターゲティングとは?広告配信を通じて顧客に適切なアプローチを行う

例えば、あるWebページを閲覧し、そこに広告バナーが表示された、もしくはその広告をクリックした時に、ユーザーのブラウザは広告配信サーバーから発行された3rd Party Cookieを受け取っています。

Cookie(クッキー)の用途

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まず1つ目は、アクセス解析です。セッション数やページの遷移などは、自社サイトの1st party CookieのIDを使うことで、計測することができます。

2つ目は、ログイン情報の状態の保持です。ログインしているセッションの情報をCookieに保存することで、再来訪時にもログイン状態が維持されたり、ECサイトにおいては買い物かごの情報が引き継がれるなど、ユーザーの利便性向上に影響を与えています。

3つ目は、リターゲティング・ターゲティング広告です。リターゲティング広告では、自社サイトに訪れたユーザーのCookieと紐付けすることで、自社サイト以外のページを見ている時にも広告を表示することができます。また、ターゲティング広告では、3rd party Cookieを発行することで、どのサイトにアクセスしているかを把握し、ユーザーの興味関心に合った広告配信が可能になります。

Cookie(クッキー)とプライバシーの問題

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Cookieは、企業のマーケティング活動に様々な面で活用できます。ユーザーにとってもログインパスワードの入力を省くことができるなどのメリットがあります。しかし、個人情報保護の観点から、課題も存在します。

3rd party Cookieについては、「知らぬうちに自分の閲覧したページ情報に基づき広告が表示される」、「個人が特定される恐れがある」、「行動がトラッキング(追跡)される」など、プライバシーの観点でユーザーの不利益になるとして近年批判を受けています。

EUでは、全ての個人のためにデータ保護を強化することを目指し、企業による個人データの取得利用を勝手に行えないようにするGDPR(General Data Protection Regulation: 一般データ保護規則)という規則が2018年5月5日に施行されました。

GDPRの施行前は、Cookieを本人の求めに応じて停止するというオプトアウトが一般的でしたが、施行以後は、Cookieや個人データ取得の開始前に、同意を求めるオプトイン方式をとるように義務付けられたのです。

参照:Data protection in the EU | European Commission

一方で、単純なトラッキング防止は、ユーザーの興味関心から遠い広告ばかりが表示される危惧があり、また広告収益によるサイト運営が難しくなるという批判も存在します。

2019年にAppleがSafariで導入したITPは、サイト横断の過度なトラッキングを防止することを目的としており、3rd Party Cookieを始めとするCookieの機能に対して制限をかける技術です。

また、Googleは、2019年8月に発表したユーザーのプライバシーを守りつつ、ユーザーにとっても適切な広告を表示できる仕組みである「Privacy Sandbox」を活用していく構想を明らかにしました。その上で、Googleは2020年1月14日、今後2年以内にChromeでの3rd party Cookieのサポートを段階的に廃止する計画を発表しています。

参照:Chromium Blog: Building a more private web: A path towards making third party cookies obsolete

情報の取扱いにも顧客視点が重要

このように、世界的にも個人情報を守る動きが加速しています。個人情報の扱い方にも顧客視点を持ち、プライバシーを尊重しながらマーケティング活動をしていきましょう。

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