「自分にちょうどいい案内」が、長く選ばれ続ける理由になる。お客さまの状況と歩幅に合わせて、auを使うほど「おトク」が膨らむ体験設計
KDDIが提供する、通信と金融をセットにしたお得なプラン「auバリューリンク マネ活2」。多くのお客さまに継続して利用いただくには、お客さまごとの金融リテラシーに合った対応が不可欠でした。同社の「auマネ活ポータル」は、お客さまが自分の特典の適用状況や各種金融サービスの利用状況を確認できる場所として、KARTEを活用して一人ひとりのお客さまの状況に応じた接客を行っています。担当者の横山氏、佐々木氏、寺田氏に、同ポータルの役割やKARTE活用の試行錯誤、今後の展望を伺いました。
KDDI株式会社が提供するスマートフォン向け料金プラン「auバリューリンク マネ活2」は、スマートフォンの通信料金と、銀行やクレジットカードなどの金融サービスをセットにすることで、おトクに利用ができる料金プラン。プランを継続してもらうためには、お客さまの金融リテラシーの多様さに対応していく必要がありました。
「auマネ活」各種プラン加入者向けの専用サイトである同社の「auマネ活ポータル」は、特典の適用状況やau金融サービスの利用状況を一目で確認できる場として設計されています。「My auアプリ」や「au PAY アプリ」、auマネ活LINE公式アカウントなど複数のチャネルで接点をつくりながら、KARTEを活用し、お客さま一人ひとりの状況に合わせて、「おトクになった」と感じてもらうための接客を続けています。
今回、同社のパーソナルグロース事業本部 グロース推進本部 金融事業推進部の横山 佳祐さん、佐々木 梨絵さん、寺田 裕貴さんに、「auマネ活ポータル」が担う役割、KARTE活用を通じた接点づくりの試行錯誤、今後の展望について伺いました。
「安くなるから」で加入したお客さまにも、おトクを実感してもらうために
まず「auマネ活ポータル」がどのようなサービスなのか、教えてください。
佐々木:「auマネ活ポータル」は、「auマネ活」各種プランに加入されたお客さま向けの専用ポータルサイトです。どの特典が受け取れる状態で、どの特典が未達成なのか、適用状況を一目で確認できるようにしています。あわせて、「au PAY カード」や「auじぶん銀行」など、auの金融サービスのご利用状況も確認できる場です。お客さまにおトクを実感していただける場をつくることで、サービスの継続的なご利用や満足度の向上につなげることを目的にしています。
横山:当社全体でauブランドのお客さまとのエンゲージメント強化を目指す中で、その中心的な役割を担うのがこの「auマネ活」だと考えています。その体験設計の中心が「auマネ活ポータル」です。
一般的なポータルサイトと比べたときに、運営面での難しさはどこにありますか?
横山:いちばん難しいのは、お客さまの金融サービスへの理解度や利用状況にバラつきがあることです。「auマネ活」をご利用いただいているお客さまが、必ずしも金融に詳しい方ばかりではありません。店頭で「金融サービスを組み合わせると毎月の通信料金が安くなる」と聞いて、「安くなるなら」と加入いただいたものの、普段はあまりクレジットカードやQRコード決済をお使いになっていないという方もいらっしゃいます。
一方で、「auマネ活」の特典取得条件は複数あります。銀行口座を開設し、クレジットカードを作り、通信料金の支払い設定を行い、複数のステップを踏んではじめておトクが積み上がっていく仕組みです。だからこそ、「よく分からない」というところからご利用を開始したお客さまにも寄り添いながら、使ってみた結果として「おトクになった」「auにして良かった」と実感していただける状態までご案内する。それが、ポータルサイトの大事な役割だと考えています。

KDDI株式会社 パーソナルグロース事業本部 グロース推進本部 金融事業推進部 横山 佳祐さん
チームとしてはどのようなミッションを担っているのでしょうか?
佐々木:チームとしては、「auマネ活」全体の体験設計を担当しています。加入前のアプローチ、店頭でのご提案、アフターコントラクト(契約後のお客さまへの伴走)までが対象です。その中で「auマネ活ポータル」は、加入後の継続利用と満足度向上を担う接点という位置づけです。
横山:ポータルサイトの運営だけでなく、アフターコントラクト全体の接点づくりも担っており、「My au アプリ」や「auマネ活LINE公式アカウント」など他のチャネルからのプッシュ通知を中心としたコミュニケーションも行っています。
ポータルサイトという性質上、お知らせなどのきっかけがないと来訪しづらい特性があります。だからこそ、別チャネルでお客さまの来訪を促し、お越しいただいたタイミングでサイト内の接客を行う。そうした連携をしています。
KPIはどのように設定していらっしゃいますか?
横山:大枠のKPIは、「auマネ活」を長くご継続いただくことです。これまでの分析では、金融サービスを使いこなしていただいているお客さまのほうが、通信プランの継続率が高い傾向が見えていました。そこで、金融サービスをしっかり活用していただくことを意識して、サブKPIを大きく2つ置いています。1つは、お客さまにとってサービス活用のための情報がまとまったポータルサイトに、定期的に来訪いただくこと。もう1つは、「au PAY ゴールドカード」と「auじぶん銀行」という、auマネ活をよりおトクにする2つの金融商材を実際にご利用いただくことです。
一人ひとりに合わせた接客ができるポータルサイトへ
KARTE導入前には、どのような課題を感じていましたか?
横山:課題は大きく2つありました。1つ目は、ポータルサイト自体はアクセス時にお客さまのステータスを取得して動的に表示できる設計だったものの、それを提案まで活かせていなかったことです。情報をお見せすることはできても、「この方にはこれを強調する」「この方にはこれをお伝えする」といったコミュニケーションが組めていませんでした。
2つ目は、サイト改修に時間がかかることです。フロントだけの改修だとしても、社内のバックエンドのシステムの制約があり、容易ではありません。少し変えたいだけでも数か月、場合によっては1年近くを要することもありました。サービス運営側でもっと柔軟にお客さまとのコミュニケーションを取れる方法を探していました。

課題を解決するためにKARTEを選んだ決め手は何だったのでしょうか?
横山:まずKARTEの導入を検討したのは、社内のUXチームから紹介を受けたのがきっかけでした。決め手としては、お客さまのセグメントを細かく指定して、1to1に近い形でコミュニケーションを取れること。次に、GTM(Google Tag Manager)連携すればタグ設置がシンプルなので、導入に時間がかからない仕様だったことも大きかったです。
また、金融サービスを扱っている以上、サービス上必要なお知らせをしっかりお届けする必要があります。たとえば銀行金利に関するお知らせのような重要情報も、KARTEを導入すればポップアップなどを通じて即座に、確実にお届けできる。サービス運営にも活用できる点が、導入の後押しになりました。
おトクな情報がそろうタイミングに合わせた、お客さまとの接点づくり
導入初期は、どのようにKARTEの活用を進められたのですか?
横山:「おトクになるから」と加入したお客さまがそれを実感できずに離脱してしまうというサービス運営上の課題を解消するためには、「auマネ活」ご利用のお客さまの、ポータルサイトへの来訪率が大きな課題ととらえていました。そこで最初の数か月は「繰り返しお越しいただくこと」を最優先に、毎月サイトに来ることを習慣化していただくための仕掛けづくりから始めました。並行してお客さまの特典取得ステータスとKARTEのデータ連携を進め、セグメント別の施策展開ができる準備をしていきました。
お客さまにとってポータルサイトを見に来るメリットの一つが、特典の取得状況がわかることです。毎月4日に前月分の特典情報が確認可能となるので、「My au アプリ」や「auマネ活LINE公式アカウント」などの外部チャネルとも連動させ、「4日にポータルサイトを見に来てください」というコミュニケーションを始めました。また、ホーム画面まで来ていただいたお客さまが特典の達成状況が分かるページに進めるよう、KARTEポップアップで案内を出し、特典ページへ誘導する仕組みも作りました。「サイトを訪れるとメリットのある情報が得られる」「おトクになっていることがわかる」とお客さまに認識いただけるよう設計しました。
データ連携が完了してからは、施策はどう変わりましたか?
横山:お客さまのステータスに応じて訴求を分けられるようになりました。たとえばクレジットカードに関するご案内であれば、ゴールドカードをまだお持ちでない方だけにキャンペーンをご案内する、といった施策です。ポータルサイトはそもそも、お客さまにとって「自分に関するおトクな情報を確認しに来る場所」です。だからこそ、すでにゴールドカードをお持ちのお客さまに同じ訴求が出てしまうと、ノイズの度合いがどうしても大きく感じられ、マイナスの体験になりかねません。そこを避けながら、必要な方だけに必要な情報をお届けできるようになったことは大きいですね。

KDDI株式会社 パーソナルグロース事業本部 グロース推進本部 金融事業推進部 寺田 裕貴さん
寺田:バナーやポップアップを出す際も、「あなた向けの情報です」と伝わることが大切だと考えています。そのためには、クレジットカードをすでにお持ちなのか、お持ちの場合はカードランクがレギュラーなのかゴールドなのか、いまどれくらいポイントを受け取っているのか、そうした情報が必要でした。データ連携後には、そうした情報でセグメントを作り、それぞれに訴求を分けられるようになったことの価値は大きかったです。
高度なデータ連携ができるほかにも、実際の画面表示の調整といった『最後のひと押し』が直感的に行えるのも助かっています。ポップアップの表示位置やデザイン変更が手元ですぐに反映できるため、データの分析結果をすぐ体験の改善に繋げられています。
「あなた向けです」が伝わる訴求へ、お客さまの状況に応じた情報の届け方
印象に残っている施策はありますか?
横山:先ほども少し触れたゴールドカードの訴求施策は印象深いです。ゴールドカードには入会特典、通信料金支払いでの還元、au PAYとの連動など、お客さまにとってさまざまなメリットがあります。ただ、どの訴求が最も響くのかは、実際に試してみるまで分かりませんでした。そこで、新規申し込みの方とランクアップの方を分けたうえで、クリエイティブをA、B、Cの複数パターンを用意し、入会特典、通信料金支払いでの還元、au PAY連動還元の各訴求ポイントを検証しました。

※2026年3月時点
ふたを開けてみると、入会特典の訴求が効果的だと見えてきました。複数のメリットの中でも、お客さまにとってすぐに理解しやすく、自分ごと化しやすい価値だったからだと考えています。A/Bテストは1〜2週間ほどのサイクルで数値効果を検証していますが、場合によっては2〜3日で差が表れることもあります。スピード感を持って効果の高いほうに寄せていく判断がしやすくなりました。
佐々木:LINEの「友だち」登録促進のA/Bテストでも、興味深い発見がありました。「毎月の特典還元をタイムリーにお知らせします」という訴求と、「疑問をいつでも解決できます」という訴求を比べたところ、前者の反応が顕著に良かったのです。お客さまは疑問解決よりも、還元のタイミングを知ることを求めているということが分かりました。
「すぐ閉じる=興味がない」ではなかった。お客さまへの理解の深さと施策スピードの両方が変わった
KARTEを活用することで発見したお客さまの行動はありましたか?
寺田:お客さまへのインタビューで、「ポータルサイトに来ても、何をしたらいいかわからない」というお声をいただいたことがありました。そこで、サイトをどう使うと良いかがわかるよう、操作性のあるチュートリアルコンテンツを用意して誘導したのですが、ポップアップをすぐに閉じてしまう方が一定数いらっしゃいました。最初は「興味がないから閉じて、そのまま離脱されているのだろう」と考えていました。

※2026年3月時点
ところが、KARTE Liveで実際の画面上でのお客さまの動きを見てみると、ポップアップをすぐに閉じたあともページ内を回遊し、特典ページにもきちんと進んでいることが分かりました。つまり、わかりやすさのつもりで用意した施策が、お客さまにとってはスムーズな回遊を妨げるノイズになっていた可能性があったということです。「使い方を説明すること」に固執せず、自分のペースで進みたいお客さまの体験をいかに損なわないか。施策のあり方を考え直すきっかけになりました。
そうした「もっとこうすべきでは?」という気づきを、今のチームではどのように施策へ反映させているのでしょうか。
横山:「こういうアプローチをしたい」と考えたときに、「これ、KARTEでいけるね」と判断できる場面が増えました。そうなると、クリエイティブのチェックが終わり次第、比較的すぐ実装できます。以前はポータルサイト内で取れる打ち手が限られていて外部チャネルに頼りがちでしたが、いまはポータルサイトそのものでも施策を実行しやすくなりました。
施策を決定する際の基準としては、まず工数が重すぎないこと、次に検証が早く回ること、そして結果が見えること。効果が弱ければ差し替える、2パターンならよい方に寄せる。そうした運用が自チーム内だけで素早くできるようになったのは、ポジティブな変化です。

KDDI株式会社 パーソナルグロース事業本部 グロース推進本部 金融事業推進部 佐々木 梨絵さん
佐々木:施策を検討する際は、「初めてご覧になるお客さまにもちゃんと伝わるかどうか」を大切にしています。普段ポータルサイトを見ていると、どうしてもサイトの内容に慣れてきてしまうので。受け取る情報の多さも含めて、本当はお客さまにとっては当たり前のことではないんですよね。初見の方がどう思うかという視点を持つことを大切にしています。
寺田:もう一つ大きいのは、データ活用の面です。KARTEで配信した施策のイベントデータをGoogle Analytics 4に連携し、そこからBigQueryやSnowflakeにも送られるように整備しました。例えば、Snowflakeには社内のさまざまな会員データが集約されているため、金融サービスのデータテーブルとイベントデータを結合することで、施策を表示したお客さまと、表示していないお客さまそれぞれについて、施策効果を比較できるようになりました。これにより、施策が実際にその後の行動にどれだけ影響しているのかを、データで検証できるようになっています。
店頭や外部チャネルとも連携を強め、ステップ・バイ・ステップでおトクを実感できる体験を
今後の展望をお聞かせください。
横山:ポータルサイト自体の機能改善も進めていきたいと考えています。その中で、お客さま一人ひとりに寄り添いながら、「次に何をすればいいか」が分かるステップ・バイ・ステップのご案内をさらに強めたいです。加えて、1ステップ達成したことでどれだけおトクになったかという「おトクの可視化」も強化したいと考えています。
一方で、情報が過剰になるとお客さまにとってマイナスの体験になってしまいます。だからこそ、どのお客さまに、どの順番で、何をお見せするのかという優先度も整理していく必要があります。いまは「au PAY ゴールドカード」と「auじぶん銀行」を主にご提案していますが、今後ほかにご提案できるサービスが増えたときにもお客さまの体験を損なわずに訴求できるよう、いまのうちから体系化しておきたいですね。
佐々木:auマネ活LINE公式アカウントとポータルサイトの相互連携も、今年度の重点施策の一つです。相互に送客しながら、それぞれの良さを感じていただけるように設計していきたいと考えています。また、店頭との連携も意識しています。ポータルサイトを熱心にご利用いただいているお客さまのデータを店頭に返して、ご契約時の提案がよりよくなるよう活かす。お客さま一人ひとりの活動を通じて、auとのつながりを深めていく流れをつくっていきたいです。
横山:冒頭でもお伝えしたように、当社全体としてauのお客さまとのエンゲージメント強化をしていく体験設計の中心が、まさに「auマネ活」のポータルサイトです。ありがたいことにすでにすべての特典を達成されているお客さまもいらっしゃり、そういったお客さまに次に何をご提案できるのかというテーマも見え始めています。開発リソースに縛られず改善を進められる環境があることは大きいですし、KARTEの力を最大限に引き出しつつ、将来的にはツール単体での施策に留まらない、より深い体験づくりに挑戦したいと考えています。ポータルサイトで得た知見を店頭や外部チャネルにも繋げ、あらゆる接点でお客さま一人ひとりに寄り添うことで、お客さまとauとの確かな絆を築いていきたいです。